Date:  Wed, 19 May 2010 17:20:15 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部: 2010-19号】
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                          No.327 2010/05/19

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┣【要件定義】要求とか要件についての四方山話 [3]
┃            〜要求の上下を考える〜
┣【アジャイル】アジャイル・プラクティスの見つけ方 [15]
┃              〜たまにTwitterを使ってみる〜
┗ 編集後記

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┣【要件定義】要求とか要件についての四方山話 [3]
┗            〜要求の上下を考える〜

こんにちは、平田です。
前回の記事の中で、ユーザーストーリーを使った対話の話を書きました。
この中で、私は「最下層の要求」という言葉を使っていました。いきなり「最
下層」なんて言っているんですが、そもそも要求の上下ってなんなんでしょう
か?

私は、目的に向かえば上位、実現手段に向かえば下位、という形で上下を考え
るようにしています。言い方を変えるとwhyとhowと言ってもいいのかもしれま
せん。
「〜〜したい」「〜〜できること」など、いろんな書き方で要求を表現したと
しても、それらには様々なレベルが存在し、上下(目的と実現手段)との関連
を持つことになります。
たとえば、「在庫切れをなくしたい」という要求には、上位の「在庫切れによ
る機会損失を減らしたい」だったり、下位の「在庫がしきい値を下回ったらア
ラートをあげる」などとの関連が存在するでしょう。

実は要求にレベル、階層のようなものが存在すると考えるということは一般的
に本などでも提唱されています。それは「業務要求 - ユーザ要求 - 機能要求」
や「ビジネス要求 - ユーザ要求 - ソフトウェア要求」などと呼ばれていたり
します。この連載の1回目で書いた「要求」と「要件」を分けて考える方法も
同様の考え方だと思います。要求開発アライアンスで提唱されている「要求分
析ツリー」も同様の考え方ではないでしょうか?

要求を手に入れたとき、「その上位になった要求はなんなんだろうか」「この
要求を満足させるために必要な実現手段はなんなんだろうか?」と考えること
で、要件定義の質はあがっていくのではないかと思っています。

ただ、そうやって世の中で一般に階層を持つと言われているものの中で私がま
だ確信を持てていないのが、その階層に名前(=ユーザ要求やビジネス要求など)
を付けることができるのかということです。
お客様からの文書、発言や既存業務を調査した結果など、様々な要求の発生源
があるかと思いますが、それらからあがってくる要求が「これはビジネス要求
ね」などのように分類できるものなのかどうかまだよく分かりません。
これについては、今後どこかでとりあげていきたいと思っています。(平田)

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┣【アジャイル】アジャイル・プラクティスの見つけ方 [15]
┗              〜たまにTwitterを使ってみる〜

こんにちは。チェンジビジョンのこんぴろです。突然ですが宣伝です。InfoQ
Japanにて僕も翻訳に携わったミニブック、『かんばんとスクラム - 両者のよ
さを最大限ひきだす-』[*1]が公開されました。最近スクラムについては様々な
ところで聞かれるようになりました。しかし、新規開発ではなく一定のペース
でプロジェクトを運営する、例えば保守フェーズのプロジェクトでは、スクラ
ムよりもかんばんという運営方法の方がより合っている、と言われる事もあり
ます。このミニブックは、両者を比較することで、それぞれの運営方法を理解
しようというものです。かんばんについてより深く知りたい場合は、『「かん
ばん」をソフトウェア開発に適用する:アジャイルからリーンへ』[*2]もあわ
せてお読みください。

ところで、IT業界ではTwitterをご存知ない方はほとんどいないくらいTwitter
は広まりましたよね。今年のオブラブカレンダーには、誕生日に各メンバーの
Twitter IDが書かれていますので、よろしければフォローしてください。

そういう状況の中で、たまにぽろっとつぶやくと、想像以上に反響がありびっ
くりします。だれも見ていないだろうと思ってつぶやくと、オフラインで会っ
たときに「あれってどういうことだったんですか?」と尋ねられたりすること
もあるんじゃないでしょうか?ぽろっとつぶやいた事をいろんな人に見られて
いる。ある意味怖い時代ですが、それは逆にうまく活用する事もできるんじゃ
ないでしょうか?

例えば先日、ある方が、分散開発をしている中で相手が何をしているのかよく
分からずあまり信じられない、という話をTwitter上でツイートしていました。
僕も分散開発プロジェクトに参加していますが、同じチームの方を信じられな
い、という事はまだありません。どうしてだろう、と尋ねてみると、一度も同
じ開発チームのメンバーと会った事がない、ということでした。一度も会った
事のない人と同じ仕事をしているという状態は想像以上に心理的に負担がかか
るものです。相手がどんな感じの人か、顔も見ずに的確にはほとんど分からな
いため、例えば何かお願いしようとしても、どうお願いするのがいいのか、い
つも以上に気を使うのではないでしょうか?

『アドレナリンジャンキープロジェクトの現在と未来を映す86パターン』[*3]
でも分散開発の難しさが取り上げられていますが、何度か会い、食事をし、時
間を共にしたメンバーであれば、分散開発の難しさも減衰できるのだと感じて
います。それをパターンに書くとこんな感じです。

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● プラクティス名
「プロジェクトのキックオフでは顔を合わせて食事をしよう」
分散開発に関わらず、プロジェクトのはじめにメンバーが顔をあわせて食事を
する、ただそれだけの事です。

● 悪魔の囁き
「仕事を進めるだけだから、予算の無駄だよね。」

● 天使の言葉
「一緒に食事をすることで、普段の姿とは違ったところを見つけましょう。」

● こんな気分
「なるほど。Aさんはこんな感じに神経質な方なのか。話すよりもメールで細か
  く丁寧に書いた方が、伝えやすそうだな。」等々。

● バランスが肝心
お酒に呑まれないように気をつけましょう。
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宴が盛り上がり、楽しむことはいいのですが、お酒はホドホドに、ですね。こ
ういった事を考えるきっかけになったのは間違いなくTwitterのおかげです。
自分が日々感じていること、困っていることをぽろっとツイートしてみると、
案外反応があるものですよ。ではまた。(こんぴろ)

[*1] http://www.infoq.com/jp/minibooks/kanban-scrum-minibook
[*2] http://www.infoq.com/jp/articles/hiranabe-lean-agile-kanban
[*3] http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822284018/xpjp-22

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┗編集後記

こんにちは、編集人のナガタユウコです。肌寒い日が続いた春が終わり、いよ
いよ夏本番ですね。夏といえば、オブジェクト倶楽部夏イベント!ということ
で、今年もイベントを企画中です。詳細はまたこのメルマガにてご案内します
のでお見逃しなく☆今年もオブジェクト倶楽部夏イベントにて、暑い、熱い一
日を過ごしましょう!(ナガタユウコ)

*** オブラブスタッフ自己紹介 ***
No.12 伊藤
( @koic, http://www.edit.ne.jp/~koic/ )
伊藤です。こんにちは。
オブジェクト倶楽部では、スピーカー、ドラ業、司会、アイスブレーカー、ス
タッフ、懇親会での蛍の光など、主にイベントで関わってきました。
私自身がオブジェクト倶楽部のイベントで思い出深いことをひとつ取り挙げて
みます。
はじめてオブジェクト倶楽部のイベントに参加したときのことです。オブジェ
クト指向やエクストリーム・プログラミングというキーワードでオブジェクト
倶楽部と出会った私としては、イベントの話の内容がプロジェクト・ファシリ
テーションやQoEL(Quality of Engineering Life)と、人に焦点をあてたテーマ
が多く、自分が思い描いていた技術系イベントのイメージを良い意味で裏切ら
れたことがよく印象に残っています。(XPへの理解が浅かったとも言えますが。)
そして、オブジェクト倶楽部のお客さんも単に技術を学びにきているわけでは
なく、人と人との出会いを作り、その出会いを大切にされている人が多いこと
が印象的でした。少し調べたところオブジェクト倶楽部の第1弾イベントは2003
年のクリスマスイベントだそうです。今では同窓会的な思いを持ってイベント
に参加されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
人生で出会える人の数は限られていると言われますが、機会があれば、まだお
会いしたことのない読者のみなさんとも思い出を作っていきたいです。みなさ
んとオブジェクト倶楽部のイベントでお会いできるのを楽しみにしています。
(伊藤)

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