Date:  Wed, 26 Aug 2009 17:26:48 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部: 2009-28号】
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                          No.293 2009/08/26

■ I N D E X
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┣【アジャイル】アジャイル・プラクティスの見つけ方 [8]
┃              〜一言メモを活用する〜
┣【要件定義】プログラマにも役立つ要件定義の技術 [3]
┃            〜お客様の発言を揺さぶる〜
┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

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┣【アジャイル】アジャイル・プラクティスの見つけ方 [8]
┗              〜一言メモを活用する〜

こんにちは。こんぴろです。お盆休みも終わり、秋の空気がただようこの季節。
みなさんも再びエンジンがかかってきた頃でしょうか。ちょうど今シカゴでは、
Agile2009という熱いカンファレンスが開催されています。今年はオブジェクト
倶楽部のやっとむが、"The Kanban Game"と題したセッションを行います。日本
でもスクラムが再び話題になっていますが、海外だとスクラムは想像以上に一
般的になっており、今度はカンバンと呼ばれるトヨタ生産方式由来のやり方が
話題になっています。やっとむのかんばんゲームは、日本でも既に、すくすく
スクラムというコミュニティで体験会が開催[*1]されています。このかんばん
ゲームのセッションを通して、かんばんがどのように働き、かんばんがどう効
果的に使えるのか、そしてセッションで体験したものを持ち帰り、同僚に教え
られる・伝えられるセッションになっています。

セッションは現地時間27日の午後2時から。日本時間だと28日午前4時から[*2]
です。セッションの模様はビデオに収録される予定なので、機会があればビデ
オをご覧いただいたり、セッションに参加していただければと思います。

さて、みなさんはセッションやワークショップなどで体験したものを同僚に伝
えることはよくやられているのでしょうか。オブラブのイベントでは、参加後
にブログに書くまでがイベントとご案内させていただいていますが、それがな
ぜなのか、考えてみたことはありますか?その理由は意外とシンプルです。少
し考えてみて、紙に書いてみてください。

はい。紙に書いてみましたか?私が考える答えは、「一度言葉にした知識は人
に伝えやすくなる」というものです。一度自分の頭の中から出し、知識を形に
することで、頭の中が整理されます、もちろん、体験したすべてを言葉にする
ことは不可能ですが、要点だけでも形にしておき、そのメモをもとに話をする
と、ずいぶん頭の中が整理されます。整理した要点は、伝えたい事柄の中心で
す。それだけでも言葉にすることができれば、話すうちに枝を伸ばしていくこ
とができます。そのあたりはマインドマップと同じかもしれません。センター
イメージを書いておき、そこから枝を伸ばしていく。ここではイメージではな
く「言葉」ですが、枝を伸ばしやすいのはなんとなく理解できるのではないか
と思います。

また一言メモを書いておくとよいのは、「今、何について話しているのか」が
より明確に伝わるという利点があります。よく会議などで、話しているうちに
話が脱線し「あれ?今何の話をしていたんだっけ?」と本題を見失うことはな
いでしょうか?このメモがあるだけでも、本題を見失うことを防げるのです。

要点を一言メモにするときは、無理に一枚にまとめようとせず、複数のメモを
書き、その中から大事なものを選びましょう。特にブログに書くのが敷居が高
い場合、結構簡単に始められるので、おすすめです。

もしかすると、一言メモで興味を持つ上司や同僚がいるかもしれません。そう
いった方を見つける事ができれば、次のイベントのときに誘ってみて、どんど
ん巻き込んでいきましょう。

今回はアジャイルプラクティスの見つけ方というよりも、学んだことの伝え方
の一つの方法でした。次回はまた見つけ方を紹介できればと考えています。お
楽しみに!

[*1] http://www.slideshare.net/ebacky/4-thekanbangame
[*2] http://timeanddate.com/s/1by1
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┣【要件定義】プログラマにも役立つ要件定義の技術 [3]
┗            〜お客様の発言を揺さぶる〜

こんにちは、平田です。
前回は「理由を追い求める」というテクニックについて書きました。連載3回目
となる今回は「お客様の発言を揺さぶる」というテクニックについて書いてい
きます。
お客様はシステムの発注をしてくださるありがたい存在です。その神様のよう
なお客様の発言を揺さぶるとはどういうことなのでしょうか?具体的な揺さぶ
る手法を見ていきましょう。

● 視点を変える
ひとつ目の揺さぶる方法は、「視点を変える」です。話している人は、どれだ
け客観的な視点で話そうと努力されていても、どこかの立場に必ず依拠してい
ます。経営層としての立場、事業部の推進者(マネージャ)としての立場、現場
としての立場など。その意見はその視点から見た「生の声」なので丁寧に取り
扱う必要があります。しかし同様に最適解を求める立場から相手の視点を変え
る質問を投げることで、「気づき」を生み出すことを目指しましょう。例えば、
「この機能を追加した時、現場の人たちから見て、魅力的なシステムになって
いますでしょうか?」のように、オープンな質問で考えてもらえるものならよ
いでしょう。

● 制約を取り除く
物事を遂行するには必ず制約が存在します。ハイコンテキストな会話において
は、その制約は暗黙的なものとしてそこに織り込まれていることになります。
当然のことながら、排除することができない制約が多数存在するのも事実です。
しかし、制約をあるものとして考えてしまった時点で、システム開発における
業務改善効果というものは著しく低下してしまうでしょう。制約を取り除くこ
とができないかを常に意識しておく必要があります。

また、情報伝達において誤解を避けるという意味でも、「制約を取り除く」と
いう会話は有効です。あることを実行するのに「仮に何の制約もないすると」
と考えて話を進めてみましょう。これをすることで、考慮する必要のある制約
の存在を明確にすることができます。

● 自分の解釈をぶつける
受け取った内容を、自分が業務の専門家でないという理由だけで、そのまま受
け取るのみというのはもったいないことです。自分なりに解釈した内容(たとえ
ば新しい業務フロー)をお客様にぶつけてみるとよいでしょう。要求の引き出し
という仕事は、お客様と開発チームのコラボレーションから生まれます。お客
様の発言内容の確認という目的だけでなく、自分なりの解釈を提示することに
よって、新しい要求が創出できるかもしれませんよ。

● 全会一致を避ける
全会一致で物事が決まっていくのはとても気持ちのいいものです。打ち合わせ
はスムーズに進み作るべきソフトウェアの仕様もどんどん固まっていきます。
しかし、そうやって決めた仕様は本当にお客様の業務に役立つものでしょうか?
全会一致で意見がそろったことであっても、常に「他の手段はないか」「決め
たやり方以上に良いやり方はないか」ということを意識して、疑問を投げかけ
ることが重要です。要件定義の場に参加するプログラマとして、「全会一致を
避ける」という心構えで望むのがよいでしょう。

● まとめ
お客様の発言を揺さぶるというTipsを紹介しました。いろいろ書きましたが、
目的は以下のふたつに集約されています。

・コミュニケーションによる情報の喪失を避ける
  視点を変えたり、制約を取り除いた状態を想像しながら会話することで、双
  方の認識の差異を浮き彫りにすることができる
・新たな要求を生み出すことができる
  業務の専門家であるお客様と、外部から来たシステムに精通しているプログ
  ラマが対話することで、新たな価値を与える要求を生み出すことができる

対話を通じてコミュニケーションの質を高めるとともに、受け取るだけではな
く双方の力で新たな要求を生み出すということに踏み込んでいきたいものです。

● 過去の連載一覧
1) /ml-arch/magazine/291.html
2) /ml-arch/magazine/297.html
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┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

今週は「朝は何時に起きる?」のホントのところ。
夜寝る時間は、その日の予定や残業の有無によって、なかなか固定するのが難
しいもの。それでも、朝起きる時間だけはなんとか固定して、少しでも規則正
しい生活を送るよう心がけたいですよね。みなさまは平日の朝、何時ぐらいに
起きていますか?

  5時までには起きます。
     /special/kininaru/vote?vol=259&choice=0
  5時〜6時。
     /special/kininaru/vote?vol=259&choice=1
  6時〜7時。
     /special/kininaru/vote?vol=259&choice=2
  7時〜8時。
     /special/kininaru/vote?vol=259&choice=3
  8時〜9時。
     /special/kininaru/vote?vol=259&choice=4
  9時より遅いです。
     /special/kininaru/vote?vol=259&choice=5
  それは秘密です。
     /special/kininaru/vote?vol=259&choice=6
  ちょっと語らせて!
     詳細をこのメールに返信ください!!

アンケート結果はオブジェクト倶楽部サイト上にて公開します。お楽しみに。
なお、前号「もらって嬉しいお土産は?」の結果は公開中。ぜひご覧下さい。
⇒/special/kininaru/vol258/PlonePopoll_results2

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┗編集後記

こんにちは、編集人のナガタユウコです。先週の木曜日から昨日まで夏休みを
いただき、ハワイに行ってきました!夏休み前の仕事納めは先週のメルマガ、
夏休み後の仕事初めは今週のメルマガと、編集人は夏休みの取得もメルマガ次
第という悲しさ・・・それでも時差ボケの頭で必死に編集しましたので、今週
のメルマガも、みなさまのお役に立てていれば幸いです☆

オブジェクト倶楽部カレンダーの2009年9月分の電子データを公開します。
こんにちは。オブジェクト倶楽部の近藤(dot)です。9月のカレンダーは「私の
オススメプラクティス」です。アジャイルプラクティスにあるプラクティスは
どれも素晴らしいものですが、中でも私が気に入っていものをオススメしてい
ます。
みなさんもいろいろなプロジェクトで苦労や失敗を経験されているかと思いま
す。そういった経験から自分のお気に入りのプラクティスを見つけ、ことある
ごとに思い出せるようにしておくのは、有効なプラクティスの使い方ではない
でしょうか。例えば自分の場合、過去に手法に拘泥して上手くプロジェクトが
まわらなくなりそうになった経験から、「7.時が来たら習慣を捨てる」がお気
に入りです。以来、うまくいっているやり方も常に見直し、新しいやり方を模
索するよう心がけています。
すでに読み終わっている方も、自分の経験や状況が変わることで、また新しく
「あるある!」とか「なるほど!」を見つけることができるようになっている
かもしれません。いま一度アジャイルプラクティスを読み直して、自分のお気
に入りのプラクティスを見つけてみてはいかがでしょうか?
●『アジャイルプラクティス』
http://www.amazon.co.jp/dp/4274066940/xpjp-22
●カレンダー電子データ
/special/#calendar

今週の強引な一言
*** 身にまさる宝なし(ことわざ) ***
わが身より大切なものはないこと。
システム業界は、いわゆる「肉体労働」には分類されないかもしれませんが、
それでも体が資本なことには変わりありませんよね。まず第一に自分の体を気
遣い健康でいることで、仕事に打ち込めるようにしましょう。
出典参考:故事ことわざ辞典 東京堂出版
(ナガタユウコ)

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