Date:  Wed, 08 Jul 2009 17:02:03 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部: 2009-22号】
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                          No.287 2009/07/08

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┣【Topics】「オブジェクト倶楽部2009夏イベント」終了しました!
┣【プログラミング】組込みシステムの話 [6]
┣【要件定義】プログラマにも役立つ要件定義の技術 [2]
┃            -理由を追い求める-
┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

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 〇 「オブジェクト倶楽部2009夏イベント」終了しました!
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「オブジェクト倶楽部2009夏イベント」はおかげさまで大盛況のうちに終了し
ました。イベントにご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございまし
た!

イベントへのご意見・ご感想をお待ちしております。みなさまの声を、ぜひこ
ちらのブログまでお寄せください。お待ちしております!
→ http://d.hatena.ne.jp/objectclub/20090708

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┗【プログラミング】組込みシステムの話 [6]

こんにちは。藤井です。
今回もTKYからお送りします。

前回の連載から時間が空いてしまったので例によってリハビリを兼ねて雑談を
することにします。

● 洋服に体をあわせる
この前「c++で開発したいのだが、サポートされている方式だとメモリが厳しそ
うだ。どうしましょうか?」というような内容の話を聞く機会がありました。
業務系のシステムだと「じゃあ、メモリを増やしましょうか」となるのかもし
れませんが、組込み系のシステムの場合は「じゃあ、c言語で開発したらどうで
すか?」となると思います。「与えられた洋服に自分の方をあわせる」組込み
システムの開発では当たり前のことが思い出されるシーンでした。

● 制約との闘い
モノ作りは制約との闘いです。それは昔も今も変わりません。昔、日本に海軍
があった頃、三菱重工業戦闘機開発チームは、海軍から「格闘性能と運動性能
を両立させる戦闘機」の開発を命じられます。格闘性能を満たすには重武装を
しなければなりませんが、そうすると機体の重量が増えて運動性能が犠牲にな
ります。格闘性能と運動性能、本来トレードオフの関係にある両者を満足する
ために設計者達は徹底的な機体の軽量化を行いました。それは当時の日本には
まだ高出力の航空機のエンジンが無かったためです。限られた出力のエンジン
しか使えないという制約の中、設計者達は翼の厚みを可能な限り薄くし、機体
のフレームに肉抜き穴をあけて機体の剛性と重量がギリギリバランスをとると
ころを模索します。
組込みシステム開発の根っこの部分はこの零戦の開発とよく似てるな、と最近
思います。いかに与えられた制約と折り合いを付けるか、折り合いを付けるた
めに組込みの現場では例えば、GCも無いc言語が50%近く(c++を入れると90%ぐら
い)使用されているわけです。

● さて
制約を満たせるようにシステムを作る、組込みシステムの大事なところを伝え
るには、たまにはこんな話もいいのでは?(アポロ計画の話でもいいんですが)
と思って内容を変えてお送りました。タスクの話を聞きたかった方には申し訳
ありません。
さて、次回の予定ですがテンよく連載周期が来れば勿論「タスクと優先度」の
話を、そうでなければリハビリで「GT-Rと戦艦大和 両者に見る現場力」を福井
からお送ります。

では、それまでさようなら。(藤井)
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┣【要件定義】プログラマにも役立つ要件定義の技術 [2]
┗            -理由を追い求める-

こんにちは、平田です。
前回はこの連載を始める動機について書きましたが、今回からは具体的なTips、
進め方のアイディアなどを紹介していきます。
今回は「理由を追い求める」というプラクティスを紹介します。私たちの周囲
にあるすべての物事には必ず理由があります。これは、システム開発で起こる
様々な事象でも同様です。要件、仕様、お客様の発言、メンバーの体調、表情
の変化、・・・などなど。

ここでは要件定義の連載ということで、上記の中でもお客様との関係において
理由を追い求めるということに着目します。

● とにかく徹底的に聞く
システム開発の進行度合いにもよりますが、しつこいくらいにお客様の発言の
理由、根拠を聞いてみましょう。特にシステム開発の序盤では有効です。たと
えば以下のようなものになります。

・業務フロー上のアクティビティが必要な理由
・業務フロー上、唐突に出てくる部署の存在意義
・この機能が必要な理由
・そもそも、システムを必要としている理由

受け取るこちらの感覚で「あれ?」とか「理不尽だなぁ」と感じるような発言
のときは、本質を暴き出すチャンスになります。開発側のプログラマは業務の
専門家ではありませんが、物事をロジカルに考える習慣は身についていると思
います。素人の目線でも構わないので、ゼロから立ち返って質問を投げかけて
みましょう。
必ずしも自分が解をもっている必要はありません。質問を投げかけることで対
話を生み出すことを重視しましょう。

システム開発が進んでいく中で、ある程度の共通のコンテキストができている
場合には、ここに挙げたようなしつこすぎるやり方は、打ち合わせの速度を落
とすことになるかもしれません。
その辺りはバランスの問題になるんですが、基本的にはしつこ過ぎるくらいで
よいと思っています。普通のプログラマなら、できるだけ画面などの作りに近
い部分である仕様の決定を急ごうとするインセンティブが働いてしまうため、
自分が少し「しつこいかな?」と思うくらい立ち止まって、理由を追い求めて
いく方がよいでしょう。

● ノンバーバルコミュニケーションにも注目しよう
ノンバーバル(非言語)コミュニケーションも重要です。たとえば、
  開発「〜〜ということですね」
  顧客「はい」
という会話があったとしても、そのときのお客様の表情、発言の間など、確認
するべきポイントはたくさん存在します。お客様が「はい」と答えただけの会
話であっても、何かを迷って下した決定かもしれません。発言された方や、そ
の件についてのキーマンの表情には注目しましょう。

● 自分の質問にも理由を明示しよう
相手の発言(特に要求を引き出すときのお客様の発言)の理由を確認するだけで
なく、自分が質問するときにもその意図、理由を明確にすることで、コミュニ
ケーションの質が高くなります。
自分が確認したいと思って投げる質問の背景を示すだけで、相手との見解の相
違が見つかることだってあります。

ソフトウェア開発はコミュニケーションによって作られている、という意見が
ありますが[*1]、コミュニケーションとは何かと問われれば、相手の意思の背
景を理解する活動だといいかえても過言ではありません。
相手の発言だけに理由を求めるのではなく、自らの発言においても積極的に理
由を開示していくのがコミュニケーション、ひいてはソフトウェア開発を円滑
に進めていくコツだと思います。

● 理由が必要な理由(補足)
要求を探しながら開発していくアジャイル開発の場合は言うに及ばず、いわゆ
るウォーターフォールプロジェクトでも、プログラマの手元に仕事がやってき
た時点で、要求や要件が明確になっていることは残念ながらあまり多くはあり
ません。契約が可能なレベルでスコープを定めただけで要件定義工程の完了と
なっていることもあります。

そんなときこそプログラマの出番です。
お客様は開発チームを困らせようとして機能を追加したいと言うわけではあり
ません。なんらかの理由をもって機能が必要だと発言しています。ただし、そ
の機能が本当にお客様にとって有益なものになりうるかどうかは別の話です。
業務の専門家であるお客様の意見に対して、開発者がシステムの専門家の視点
を持って、一緒になってその機能の必要性を明らかにしていくべきだと思いま
す。

次回は、「お客様の発言を揺さぶる」というテクニックについて書きたいと思
います。お楽しみに!

[*1] オブジェクト倶楽部2006クリスマスイベントでの平鍋さんの講演
     http://www.atmarkit.co.jp/im/carc/serial/lookingfor13/lookingfor13b.html
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┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

今週は「7月7日はなにしてましたか?」のホントのところ。オブラブ夏イベン
トが無事に終了いたしました。みなさま、ご参加ありがとうございました。
ということで!毎年恒例の、「昨日はなにしてましたか?」をみなさまに聞い
てみたいと思います。

  イベント会場で講演に参加しました。
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  講演から懇親会まで参加しました。
     /special/kininaru/vote?vol=253&choice=1
  講演から懇親会に参加したことに加え、更に呑み続けました。
     /special/kininaru/vote?vol=253&choice=2
  スタッフ朝会から懇親会に参加したことに加え、更に呑み続けました。
     /special/kininaru/vote?vol=253&choice=3
  残念ながら、業務都合で参加できませんでした。
     /special/kininaru/vote?vol=253&choice=4
  参加したいなと思いつつ、申込みしそびれました。
     /special/kininaru/vote?vol=253&choice=5
  今回のイベントには興味が持てなかったため、仕事をしていました。
     /special/kininaru/vote?vol=253&choice=6
  気がついたら、イベントが終わっていたようです。
     /special/kininaru/vote?vol=253&choice=7
  それは秘密です。
     /special/kininaru/vote?vol=253&choice=8
  ちょっと語らせて!
     詳細をこのメールに返信ください!!

アンケート結果はオブジェクト倶楽部サイト上にて公開します。お楽しみに。
なお、前号「iPhone3GS買いましたか?」の結果は公開中。ぜひご覧下さい。
⇒/special/kininaru/vol252/PlonePopoll_results2

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┗編集後記

こんにちは、編集人のナガタユウコです。夏イベント翌日がメルマガ発行日だ
なんて!涙目で編集した今週のメルマガ、いかがでしたでしょうか?そして夏
イベントに参加されたみなさま、イベントはいかがでしたでしょうか?
メルマガやイベントなどコミュニティ活動を続けていく中で一番嬉しいのが、
みなさまからのフィードバックです。ぜひぜひ、イベントのご感想をブログに
書いていただいたり、メルマガのアンケートにお答えいただければ幸せです。
どうぞ、よろしくお願いします!

今週の強引な一言
*** 宵だくみの朝臥せり(ことわざ) ***
明日はあれをしよう、これをしよう、と計画しておきながら、その日になると
朝寝して、計画の実行ができないこと。
なぜか布団に入ると頭が冴えてきて、いろいろアイディアが湧く経験、ありま
せんか?でもそのために次の日寝坊して実行に移せなかったら意味がありませ
んよね。とことんアイディアを出したり練ったりすることは大切ですが、生活
のリズムが狂わないように注意しましょう。
出典参考:故事ことわざ辞典 東京堂出版
(ナガタユウコ)

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