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「XPエクストリーム・プログラミング ソフトウェア開発の究極の手法」
(ISBN 4-89471-275-X)を、原書と対応して読んでいて、気づいた点を指摘
させていただきます。

なお、各訳の登場箇所に番号:X-Yを振りました。Xは和書での該当ページ、
Yは枝版です。序文のページ番号は先頭にPをつけました。
例; 和書のページ16 に現れる2番目の指摘には、番号:16-2 という表示が
つけられる。


Feb/23/2001 小野 剛
vol 1.8 (pre, ch 1-27, bib)
{{{ セクション1

[序文・第一章]
{{{

番号:P14-1
訳文:追放されたが、森にはいるときに遠回りしなければいけないだけであり
原文:they are exiled, but they only had to go a little ways into the forest,
コメント:
試訳:追放されたが、森のちょっと奥のほうに追いやられるだけであり、

}}}
{{{

番号:P15-1
訳文:不可能な仕事や、プログラミングから無理矢理才能を引き出すために、締め切りを強いるやり方とは全く違うものだ
原文:unlike the relentless drudgery of impossible, imposed deadlines that drives so much talent out of the business of programming.
コメント:drive * out of ..がおかしい
試訳:心やすむことのない単調な仕事に、不可能な締め切りが無理矢理押しつけられるという、結果として多くの才能をコンピュータ業界から失うことになるあのやり方とは違って、

}}}
{{{

番号:P16-1
訳文:彼らは激しい逆風にもかかわらず、最後まで私についてきてくれた。
原文:..for following me up the hill, then storming past me on the way to the top.
コメント:then を誤読した?
試訳:小高い丘のあたりまでは私についてきた彼らは、一気に抜き去って頂上までいってしまった。

}}}
{{{

番号:P16-2
訳文:彼のフィードバックがなかったら、本書は半分ぐらいになっていただろう
原文:this book wouldn't be half of what it is without his feedback
コメント:
試訳:...現在の半分もまだ完成していないだろう。

}}}
{{{

番号:4-1
訳文:リリースの間にユーザは、まだ完成していない機能について新しいアイデアを盛り込んだものとおきかえることができる。チームは新しく追加された機能であろうと、数年前に定義されたものであろうと気にする必要がない。
原文:During a release, the customer is welcome to substitute new functionality for functionality not yet compleeted. The team doesn't even notice if it is working on newly discovered functionality or features defined years ago.
コメント:訳文は間違いではないが、ちょっと不親切だと思う。「リリースの間」というと、リリース作業のことと取られる危険がある。
試訳:次のリリースまでに、ユーザはまだ実装が終わっていない機能要求をとりやめて、かわりに新しい機能要求を出してもかまわない。プログラマののチームのほうは、実装している機能要求が(要求変更で)つい最近に加わったものか、それとも一年前に提出されたものか、知ることすらないだろう。

}}}
{{{

番号:5-1
訳文:XPでは、プログラマは自分の仕事をきちんと見積もり、完了させることを求められる。また、...見積もりを改善させることができる。そして、その見積もりを忠実に守ることを要求される。
原文:XP asks programmers to accept responsibility for estimating and completing their own work, gives them feedback about the actual time taken so their estimates can improve, and respects those estimates.
コメント:asks, gives, and respects が同格に並んでいることを見抜けていない。最後の「要求する」は誤訳。
試訳:XPでは、プログラマに仕事の見積もりと完了に対する責任を取るよう求める。また見積もりの改善に役立つよう、実際にかかった時間をXPはプログラマにフィードバックする。そして、プログラマが行った見積もりをキチンと尊重する(勝手に変えたりしない)。

}}}
[第二章]
{{{

番号:7-1
訳文:一番上のカードには「4半期から1日分のチェックをエクスポートする」と書いてある。
原文:The top one says "Export Quarter-to-date Withholding"
コメント:難所であることは間違いないが、訳文のように訳してよいわけではない。
Quarter-to-*day* なら「4半期から1日分」と訳してもよいが、to *date* 「現在まで」とあるので、
それに則して訳す。調べると Quarter-to-date は株主への業績報告を行う英文ホームページにも
頻出する単語のようだが、定訳は不明。どなたかご存じの方は教えて欲しい。
「チェックを」というのも不思議。訳者は Withdrawal「預金引き出し」とWithholding「保留分」を
間違えたか?「エクスポート」も文脈がないので訳しにくいが、会計ソフトの開発を想定して試訳してみた。

試訳:一番上のカードには「当四半期の現在までの源泉徴収分を、外部参照可能にする(エキスポート)」と書いてある

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番号:7-2
訳文:「エクスポートステーションを実行する。エクスポートレコードの値はビンの値に対応している」
原文:"When we run the export station, the values in the export record should match the values in the bins.""
コメント:export station が何をさすのか、私もわからなかった(export statementのタイポ?)。「テスト」が何を検証するのか、という質問に対する答えであることがわかるように訳す必要がある。
(ONO Dec/23/2000) 馬目さん、上手さんから指摘を頂いた。ありがとうございます。
XP のサイト www.xprogramming.com 内のページに、Bin や Station という単語を用いたコード断片があるらしい(馬目さん:[XP-jp:01372])。
また、これらの単語がメタファに関係がありそうなこと、export station は、bin から外部参照可能フィールドへの「出力部」に相当する部分ではないか、との指摘を頂いた(上手さん:[XP-jp:01367])
とりあえず、「エクスポート用の出力部」として逃げることにする。
試訳:「エクスポート用の出力部を実行した時に、外部参照可能(エクスポート)レコードの値と内部変数(ビン)の値が一致していなくちゃいけない。」

}}}
{{{

番号:7-3
訳文:「どのフィールドが増えないといけないのか」
原文:"which fields have to be populated"
コメント:
試訳:「値を埋めるべきフィールドはどれになるの?」

}}}
{{{

番号:8-1
訳文:リファクタリングを行い、既存のテストを実行する。すべて実行するのだ。
原文:We do the refactoring. We run the existings tests. They all run.
コメント:他動詞のrun と自動詞のrun は意味が違う。
試訳:リファクタリングを行い、既存のテストを実行する。ぜんぶうまく通った。

}}}
{{{

番号:8-2
訳文:(...利用できることに気づいた。)そのタスクの結果を知りたいので、To-Doリストに..
原文:"We want to see some results on the task, "
コメント:「そのタスク」が意味不明。これは、「別の仕事を思いついたが、既に手をつけている作業を優先させるため、思いついた作業のほうをメモ書きしておく」という状況が訳せないといけない。
試訳:(...利用できることに気づいた。) が、作業中のタスクのほうを進めたいので、とりあえずTo-Doリストに..

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番号:8-3
訳文:これをどう実装するかわかる。…できるよ。
原文:I can even see how we will implement this. We can..
コメント:別に誤訳ではない。ただ、「テストを書いている最中に、実装のやり方を思いついたが、Test First の還俗に従って、まずテストを書かなくてはいけない」という状況を訳出したい。
試訳:この機能の実装方法も見えてきたよ。まずは…

}}}
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番号:8-4
訳文:「ちょっと待って。昨日の朝ラルフと僕は計算表の仕事をしていた。失敗するかもしれない5つの
テストケースを書いた。一つ以外はすべては最初のものでうまくいった」
原文:"Wait a minute," you say, "Yesterday, Ralph and I were working on a calculator in the morning. We wrote five test cases that we thought would break. All but one of them ran first thing."
コメント:first thing 「まっさきに」が訳せていない。また、テストが最初は通ってはいけない、ということをにおわせる必要がある。calculator は「計算表」ではない。
試訳:「ちょっと待って。昨日の朝、ラルフと僕は計算ルーチンをやっていて、その時には失敗する
はずのテストケースを五つ書いたんだけど、一つを除いて全部、最初で通ってしまったんだよぁ」

}}}

[第三章]
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番号:11-1
訳文:オプション価格という概念で...
原文:for the analysis of XP with options pricing.
コメント:車の外装なら「オプション価格」でもよいだろうが、ここでいわれているのは価格priceではなく価格付けpricingの問題である。ストックオプションのような「将来、ある財を一定の値段で売買する権利」を、現在、いくらの値段で取り引きすべきかという問題を、XPに応用したことを指している。
(ONO Dec/23/2000) 金融工学の世界では、「オプション価格」でも通じてしまうのでは、と馬目さんからコメントを頂いた([XP-jp:01372])。
この試訳では「オプションの価値付け」とするが、金融工学における定訳があればそちらを採用したい。
試訳:オプションの価値付け、という切り口で

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{{{

番号:11-2
訳文:利益率(利率)
原文:interest rates
コメント:プロジェクトの価値を測るには、機会費用を考慮する必要がある。資金をプロジェクトに投資しないで、他の投資対象(債権)に振り向けたり、また貯金したりした場合は、その額に見合った金利が付く。interest rates が指しているのはその率のことであり、決してプロジェクトの「利益率」のことではない。
(21 Dec 2000)羽田様よりコメントを頂いた。
> 多分、割引率を問題にしているのだと思います。オプションの世界
> では、割引率としてリスク・フリー・レートを適用するので、リスク
> ・フリー・レート即ち金利と言っていると思います。
> なぜ、リスク・フリー・レートを適用するかですが、馬目さんが触れ
> られていた、金融オプションの世界と同様に、変化を抱擁している
> (ボラティリティをキャッシュ・フロー計算モデルに組み込んでい
> る)ので、割引率にはリスクを加味しない、ということのようです。
> 非オプション(従来の規模の経済を狙い、変化を恐れる意思決定法)
> の場合、リスクの計算方法として、機会コスト(WACC:Weighted Average
> Cost of Change)を計算します。
とのことで、私のコメントの方は間違いです。御指摘有難うございます > 羽田様
試訳:金利

}}}
{{{

番号:11-3
訳文:遅く支払い、早く稼ぐ。使用した経費に対する利子を減らし、稼いだ売上げに対する利子を上げる。
原文:Spending later and earning sooner, so we pay less interest on the money we spend and we earn moer interest on the money we receive.
コメント:誤訳ではないが、「使用した」「稼いだ」と完了形で述べると分かりにくいのでは。
(Dec/23/2000) 羽田さんの訳例を参考にさせて頂きました。
試訳:稼ぎは早めて、支払いは遅らせる。支出額に対する利払いを減らし、収入額に対する利息分を増やす効果がある。

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番号:12-3
訳文:マーケットが、より多くの投資にみあい、より大きい生産物へ徐々にスケールアップできるなら..
原文: A project management strategy is more valuable if it can gracefully scale up to greater and greater production given greater investment
コメント:gracefully とgradually を間違えたか。主語はマーケットではありえない。
試訳:より多くの投資さえもらえれば、プロジェクト管理体制をより大きな生産向けに問題なくスケールアップできる、という場合には..

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番号:13-1
訳文:オプションを実行するために費やせる時間
原文:The amount of time in which you can exercise the options
コメント:ストックオプションと同じで、選択肢がなくなるまでの期限のこと。
試訳:オプションの有効期限

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番号:13-2
訳文:プロジェクトの価値を最大限にするプロジェクト管理戦略を作るために分析されたオプションから以下のことを引き出すことができる。
原文:Suppose we create a project management strategy that maximizes the value of the project analyzed as options by providing..
コメント:Suppose を全く訳していない。また、analyzed as options を analyzed options と訳している。
試訳:プロジェクトをオプションとして分析したときに、その価値を、以下のことを実現することで最大にするようなプロジェクト戦略を、仮にわれわれが作ったものとしてみよう。

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番号:13-3
訳文:もしかしたらユーザにとっての価値は自分の予測とは100%異なることもありうる。
原文:In fact, you figure that its value to the customer could vary as much as 100% from your estimate
コメント:数量の話をしているのであり、また as much as という限定の表現もあるのだから、正確に訳す必要がある。比喩的な慣用表現としての100%ではない。
試訳:実際、ユーザーにとっての価値は、自分の見積もり(15ドル)から最大 100%までずれることがありうる(0ドル~30ドル)、と思ったとしよう。

}}}
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番号:13-4
訳文:不確実性に満ちた状況では、今実装してしまうよりも、待って何も悪化させないほうが、機能の確実性が高くユーザにとって価値がある。そうしないと価値のないことをしてトラブルを抱えたときに価値が0になりうるのだ。
原文:With that much uncertainy, the feature certainly might be much more valuable to the customer, in which case you're no worse off waiting than you would have been by implementing it now. Or it could be zilch -- in which case you've saved the trouble of a worthless exercise.

コメント:訳文は一読して意味をとることができるが、内容は原文とはかけ離れている。仮定法がきちんと処理できていない。というか、訳者が「待つ」オプションの意味を取れていないように見受ける。
前提として、番号13-3で述べた通り、その機能の価値は0ドルから30ドルまで変化しうる。
「待つ」オプションを選択した場合には、今から一年間の間に、機能の価値が10ドルを超えない間は実装をしない。10ドルを越えた場合には、実装をしてもよい(オプションなので、権利を行使してもよいししなくてもよい)。「すぐ実装する」場合には、機能の価値が結局10ドル未満になって損をするリスクがあるが、「待つ」オプションではそれがヘッジされる。これがオプション間の現在価値の違いとして現れる。

試訳:これだけの不確実性があると、もしかしたらこの機能って、今思っているよりもユーザにとってずっとずっと価値が高くなることも十分ありうる。しかし仮にそうなっても、今すぐ実装した場合に比べて、最大一年は待つという場合が劣るということはありえない(どのみち実装されるのだから)。一方、この機能がユーザにとって何の価値もなくなることもありうる。そうなった場合には、待っていたおかげで、無駄なことをやる手間を節約できるわけだ。

}}}

[第四章]
{{{

番号:16-1
訳文:逆に、プロジェクトに与えられる時間がすくないと、品質は
損なわれる。すなわち、スコープに与える影響は、時間のほうが
コストよりもはるかに大きい。
原文:Give a project too little time and quality suffers, with scope, time, and cost not far behind
コメント: 付帯状況を表す with の用法が訳せていない。また、A, B, and C という同格の並置が訳せていない。
not far behind 「すぐ近くに」。しかし与える時間が少ないと時間が犠牲になる、というのは tautology だから、
原文は不必要ことを言っていると思うが。
試訳:プロジェクトに与えられる時間が短すぎると、品質が犠牲になる。スコープ、時間、コストもほぼ同様に影響を被る。

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番号:16-2
訳文:以前どこかの管理者から、「女性が18人集まっても、赤ん坊は一ヵ月では生まれない」というのも聞いたことがある
原文:And contrary to what I've heard from some managers, eighteen women still can't make a baby in one month.
コメント:contrary to が抜けている。
試訳:18人にすればなんとかなると言っている管理者もいるようだけど、やっぱりダメである。

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番号:17-1
訳文:コストにおける他の問題は、よりコストを高くするとステータスやプレステージのような派生するゴールが多く与えられることである。
原文:The other problem with cost is that higher cost often feed tangential goals, like status or prestige.
コメント:「派生する」は弱い。feed + O は「O を産みだす」ではなく「O に与える」。
試訳:コストにおける他の問題は、高いコストが、地位やら威信やらといった本質的でない目標に貢献してしまうことである。

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番号:17-2
訳文:プロジェクトの時間を管理する制約は、一般に外部からくる。
原文:The constraints on controlling projects by controlling time generally come from outside
コメント:間違いではないが、不親切。「プロジェクトの時間」ではない。
試訳:時間という変数をいじってプロジェクトを管理する方法には制約があり、それは一般に外部からもたらされる。

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番号:18-1
訳文:リリース日が近付くにつれ、出荷をもっと遅らせれば、古いシステムのエラーに至るまで再生産可能なことが判明した。
原文:.... I became apparent that we could reproduce all the erros in the old system, but only by shipping much later.
コメント:強調すべき場所がずれている。
試訳:リリース日が近付くにつれ、古いシステムのエラーに至るまで再現することはできるが、それだと出荷はもっと遅れることが明らかになった。

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番号:18-2
訳文:意識的に品質を下げ、当初の予定よりも早く終えたとしても、生産へのモラル低下がテストをしなかったり、レビューをしなかったり、
標準に固執しなかったりという形で現われるだろう。
原文:If you deliberately downgrade quality, your team might go faster at first, but soon the demoralization of producing crap will overwhelm any gains you temporarily made from not testing, or not reviewing, or not sticking to standards
コメント:訳者は demoralization を moral(モラル、道徳) の否定と解しているが、これは morale (モラール、やる気、士持)の否定と解した方がよいだろう。また、相変わらず複文の処理がめちゃくちゃ。「テストをしなかったり、レビューをしなかったり」したからこそ「予定よりも」早く終えることが可能だったのだから、この二つが「としても」と逆接でつながるはずがない。
試訳:意識的に品質を下げれば、もちろん最初のうちは開発が早く進むだろう。しかしすぐに、くだらないもの(crap)を作っているという意識が
チームのやる気を吹き飛ばし、その悪影響たるや、テストをしなかったり、レビューをしなかったり、標準に固執しなかったことで得た一時的な利得を圧倒してしまうだろう。

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番号:19-1
訳文:見積りがよければ、機能を落さなくてもよいだろう。
原文:Better estimates reduce the probability that you will have to drop functionality.
コメント:不親切。
試訳:見積りをより正確にすれば、(最後に)機能を落さなくてはならない、という事態になる可能性は低くなる。

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[第五章]
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番号:23-1
訳文:これはXPが前提条件とすることの一つである。XP の技術的な前提である。
原文:This is one of the premise of XP. It is _the_ technical premise of XP.
コメント:原文で the が強調されていることを、訳文は無視している。
試訳:これはXPが置く前提のうちの一つである。実際、XP の「技術的な」前提は、たったこれ一つなのである。

}}}
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番号:24-1
訳文:明日必要と予測されるものは、現実化しないことにする
原文:You would only implement what you had to, in hopes that the needs you anticipate for tomorrow wouldn't come true.
コメント:in hopes 以下の処理がめちゃくちゃ。とはいえ、訳文のままでも意味は通るのが恐ろしい。
試訳:明日になったら要るかも、という予想が外れることを期待して、しなくちゃいけないものだけ実装するようになるだろう。

}}}
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番号:24-2
訳文:しかし変更が安いままなら、追加された価値と初期の具体的なフィードバックにより減らされたリスクは、初期の変更のコストよりずっと価値があるだろう。
原文:But if change stays cheap, the additional value and reduced risk of early concrete feedback outweights the additional cost of early change.
コメント:難所である。しかし訳文のように訳して良いわけではない。
1) reduced risk の前に the が入っていない以上、「初期の具体的なフィードバック」は「リスク」だけを修飾すると考えることは出来ない。
2) 「フィードバック」とは何のフィードバックか?変更を行ったことのフィードバックと考える他ない。
3) reduced risk とはなにか?「フィードバックを副作用無く得ること」か「フィードバックからプロジェクトの危険要因を先に察知すること」か?とりあえず前者で訳してみた
ここで話されていることは、XP で提唱されている「勇気」に近いことなので、そのことが分かるようにしたい。「初期の」という単語を使うと「設計を先にする/後にする」という別の話と混乱するから、使用しないほうが良い。
試訳:変更のコストが安いままだとしよう。その場合、とりあえず変更を行ってしまっても、その変更から価値ある具体的なフィードバックを得られること、そしてそのフィードバックを早めに、より安全に得られることが、変更自体に含まれるコストを大きく上回るだろう。

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番号:24-3
訳文:オブジェクトデータベースはこのフレキシビリティを保ち続けたまま保存することができる。
原文:Object databases transfer this flexibility into the realm of permanent storage
コメント:「保ち続けたまま保存」は意味不明。permanent storage はディスクとかテープとかを指す。「ストレージ」は日本語になっている。
試訳:オブジェクトデータベースがあれば、この柔軟性を、永続的なストレージ(記憶媒体)の領域でも展開することが可能になる。

}}}
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番号:24-4
訳文:完成から数年たってもコードを修正しやすくするストーリー(物語)から、いくつかの要因を導き出すことができる。
原文:Several factors come out of the story about what made our code easy to modify, even after years of production:
コメント:story about … を「修正しやすくするストーリー」と訳すのは間違い。'made our code easy' と過去形になっている点に注意。
なお、この訳文に続く三つのアイテムの文章も原文では全て過去形で表されている。
(ONO Dec/23/2000) 上手さんの訳例を参考にさせて頂きました。
試訳:自分たち書いたコードの修正を、稼働にはいって何年たった後でも、楽にしてくれたものは何だったか。このような議論から、いくつかの要因が導き出せる。

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番号:25-1
訳文:二年間稼働(運用)したシステムで、膨大なコーディングの中でどこを直せばよいかと言うことを数分で見極めて、30分で変更を終わらした。
原文:A change that would have taken a few minutes before much coding had occurred took 30 minutes after we had been in production for two years.
コメント:訳文はもっともらしいが、原文とかけ離れている。仮定法が見抜けていない。「変更のコスト」カーブがたいして急ではなかった、ということをここでは言いたいのだから、そう訳す必要がある。
試訳:ある変更は、まあコーディング作業の大部分が始まる前にやっていれば数分ですむようなものだったが、我々が開発を初めて二年間たってから行ったときでも、30分しかかからなかった。

}}}
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番号:25-2
訳文:それ [開発アプローチ] は、各決定をすばやく行い、自動テストにより各決定に戻り、...
原文:an approach to software development that makes each decision quickly, but backs each decision with automated tests, and ..
コメント:戻るな。
試訳:それ [開発アプローチ] は、各決定をすばやく行うが、自動化されたテストによりその決定に裏付けを与え、...

}}}
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番号:25-3
訳文:次の段階に移ろう。ここまででまだ話していないことは、次のストーリーだけだ。
原文:We can take the journey in stages. We'll start with a story, a story that will anchor everything else we do.
コメント:
試訳:ここからの旅路は、いくつかの段階にわけることができる。最初は、ある物語から始めよう。ぼくらのやること全ての核となるような、そんな物語だ。

}}}

[第六章]
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番号:27-1
訳文:最初に必要なものはメタファ(比喩)と共感できるストーリー(物語)である。
原文:The first thing we need is a metaphor, a shared story that ...
コメント:同格が見抜けていない。
試訳:最初に必要なものは、メタファ、つまり共有されたストーリー(物語)である。

}}}
{{{

番号:27-2
訳文:上手くできたので、ちょっとびっくりした。
原文:I was doing great. My mind wandered a little..
コメント:wander と wonder を取り違えている。
試訳:うまくいっているぞ。と、少し注意が散漫になってしまった。

}}}
{{{

番号:28-1
訳文:変化はただの定数である。
原文:Change is the only constant.
コメント:the only constant と only a constant と取り違えている。
試訳:「変化する」ということだけが唯一変わらないのだ。

}}}
{{{

番号:28-2
訳文:.. 私達がソフトウェア開発にどのような感情を持つべきかを述べている。
原文:how software development should feel.
コメント:自動詞の feel なのだから、そう訳すべき。少なくとも感情はおかしい。
試訳:ソフトウェア開発が、どんな感触のものであるべきか、教えてくれる。

}}}

[第七章]
{{{

番号:29-1
訳文:人間的にも商業的にも需要を満たす恒久的な価値..
原文:.. that celebrates a consistent set of values that serve both human and commercial needs:
コメント:consistent と persistent を取り違えた?
試訳:人間的な需要も営利的な需要も共に満たす、調和する価値観のセットを..

}}}
{{{

番号:29-2
訳文:私たちの社会はこのような対立を避けるために共通価値を生み出した。神話、おきて、罰、賞である。
原文:Societies have learned to deal with this problem by developing shared set of values, backed up by myths, rituals, punishments, and rewards
コメント:「神話、おきて、罰、賞」は価値そのものではない。
試訳:この問題を解決するために、多くの社会は、神話とか儀式とか刑罰とか報賞とかで護られた、一群の共通価値をつくり出すことを学んで来た。

}}}
{{{

番号:30-1
訳文:しかし、無理やり先の事を考えてしまうと、変更のコストカーブが急激に上がる方向に進んでしまう。時には、.. と、遠回しにコーチはチームが複雑な方向に向かっていることを知らせる必要がある。
原文:But compulsively thinking ahead is listening to the fear of the exponenial cost of change curve. Sometimes the coach has to gently remind the team that they are listening to their fears, ...
コメント:listen したくらいでは、「変更のコストカーブ」は上がらない。
試訳:先々のことを強迫的に考えてしまう、ということは、変更のコストが指数的なカーブを描くことを恐れている、ということである。時にはコーチは遠回しに、心配のしすぎであるということを伝える必要がある。

}}}
{{{

番号:32-1
訳文:これによりプログラマは、自分達の決断が正しいという具体的なフィードバックと、開発はタイヤが道路につく直前に着手し始めるという開発プロセスを得る。
原文:This gives the programmers concrete feedback about the quality of their decisions and development process that never comes until rubber meets the road.
コメント:that 以下は feedback を修飾。 quality of (their decisions and development process) である。
試訳:これによりプログラマは、自分達の決断や開発プロセスが良かったのか悪かったのか、という確かなフィードバックを得られる。このフィードバックは、実際に車を道路で走らせてみなくてはなくては(訳註:実運用までこぎ着けなくては)、絶対に得られないものなのだ。

}}}
{{{

番号:32-2
訳文:もちろん稼働のサポートと新しい機能の開発を同時にやらなければいけない。稼働とより早い開発の両方を操ることに慣れなければならないのだ。
原文:You are going to have to live with supporting production and developing new functionality simultaneously. Better to get used to juggling production and development sooner rather than later.
コメント:live with 「~を我慢する、~を耐える」 と are going to have to が訳せていない。第二文は、強調の置き方がおかしい。
試訳:どのみち、運用のサポートと新機能の開発とを両方同時に行うはめになるのだ。だったら、「運用と開発のお手玉遊び」という芸を覚えるのに、早いに越したことはないだろう。ああ全くだァ、全くだ。(訳註:ちょっと小野のグチ入っています)

}}}
{{{

番号:33-1
訳文:最初の3つの価値、(コミュニケーション、シンプル、フィードバック)がきちんと行われる環境にあっても、修羅場は訪れる。
原文:Within the context of the first three values -- communication, simplicity, and feedback -- it's time to go like hell.
コメント:go like hell と go to hell とは違う。
試訳:最初の三つの価値(コミュニケーション、シンプル、フィードバック)がきちんと達成されているなら、あとは釈迦力になって進むだけだ。

}}}
{{{

番号:34-1
訳文:このような丘を登るアルゴリズムでは身近なゴールにたどり着くため...
原文:The problem with hill-climbing algorithm is reaching local optima,
コメント:local optima 「局所解」は定訳。
試訳:このような丘を登るアルゴリズムの問題点は、局所解に捕まってしまうことである。

}}}
{{{

番号:35-1
訳文:ソフトウェアを書く(何かを終わらせる)というアプローチはたいていそうだろうが、XP はこのことに極めて重点をおいている。
原文:So probably are most other approaches to writing software (or getting anything done), but XP is extremely sensitive to this.
コメント:get things done 「仕事をこなす」 sensitive 「敏感である」
試訳:おそらく、他の大部分のソフトウェアを書くための(あるいは何であれ仕事をこなすための)アプローチも失敗するだろうが、XP はとりたててこの影響を被りやすいのだ。

}}}
{{{

番号:35-2
訳文:XP は互いの間をいったりきたりするピース(断片)の潤滑油の役割を果たすだろう。
原文:... XP might provide some ongoing lubrication for all those pieces moving against each other
コメント:against each other が訳せていない。piece はチェスや将棋などの「コマ」のことか?ここでは「個性」と意訳してみた。ongoing 「絶えざる;進行中の」は特に訳出しなかった。
試訳:XP が、向き合ってお互いにぶつかり合う個性の間で、なんらかの潤滑油の役割を果たせるかもしれない。

}}}

[第八章]
{{{

番号:38-1
訳文:それはどれほど仕事に情熱を傾けているかによる。
原文:depending on whether lives are at stake or not.
コメント:team member の lives ではない。
試訳:それは、人命のかかった仕事かどうかで変わる。

}}}
{{{

番号:38-2
訳文:学習の教育
原文:Teach learning
コメント:
試訳:「学ぶ」ことを教えよ

}}}
{{{

番号:39-1
訳文:人の本性に背かず、本性にそった仕事
原文:Work with people's instincts, not against them
コメント:work 「仕事」ではなく、work with という句動詞で訳すべき。
試訳:人々の直観に背かず、直観に従うべし

}}}
{{{

番号:39-2
訳文:「XYZ のようにテストしなさい」と命令口調でやらせることはよくない。それより戦略として、どの位多くのテストをすべきかを教育すべきだ。
原文:Rather than make a bunch of doctrinaire statements like "Thou must do testing like XYZ,", we will focus on teaching
strategies for learning how much testing you should do.
コメント:自主性を育てることが大事、という話が訳文からは見えて来ない。
試訳:「汝、かくのごとくテストすべし」と純理論的な宣言をいくつも作り上げるかわりに、我々が教えたいのは、あなたがどれだけのテスト作業をすべきか把握するための「戦略」である。

}}}
{{{

番号:39-3
訳文:しかし、それは読者が自分自身で答えを学ぶという戦略である。
原文:.. those we will state as strategies with which the reader can learn thier own answers.
コメント:訳文はもっともらしいが、原文とは違う。 with witch に着目。
試訳:それらは、読者が自分なりの答えを見つけるにあたって導きとすることのできる戦略として、提示することにする。

}}}
{{{

番号:39-4
訳文:スコープ、期日、品質、コストのことばかり述べる人には、成功という結論はほど遠い。
原文:If you have someone dictating scope, dates, quality, and cost, then you are unlikely to be able to navigate to a successful conclusion
コメント:have (O) (C) が見抜けていない。 conclusion は「結末」。
試訳:誰か他の人にスコープ、期日、品質、コストを握られているのなら、あなたは成功という結末にこぎ着けることが難しいだろう。

}}}
{{{

番号:39-5
訳文:そうやって何度も勝っていた。それは、リラックスしていたからだ。
原文:After all, they had won so many, many times before. So, they are relaxed.
コメント:勝ちグセをつけることの重要性を説いているのであり、リラックスの重要性を説いているのではない。
試訳:だって、今まで何度も何度も勝ったことがあるのだから。だから、彼らはリラックスしていた。

}}}
{{{

番号:40-1
訳文:すべての人が本にしたがって開発しようとしている。
原文:Everyone is trying to develop "by the book," ..
コメント:慣用句である。
試訳:すべての人が「規則」に従って開発しようとする。

}}}
{{{

番号:41-1
訳文:人は管理されることが好きである。
原文:People like being in control.
コメント:好きではない。
試訳:人はものごとを自分で決めたがるものである。

}}}
{{{

番号:41-2
訳文:品質保証を欲しがる管理者が
原文:the quality assurance wannabe manager
コメント:
試訳:品質保証を担当するマネージャ気取りが、

}}}
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番号:41-3
訳文:「XPはプログラマのワイルドな部分を観察するのにぴったりだ」
原文:"XP matches the observations of programmers in the wild."
コメント:observation は意見であって観察ではない。
試訳:「XPは、「野性のプログラマ」と意見が一致するんだ」

}}}
{{{

番号:41-4
訳文:どんな行為もそのチームや人から生活を奪い取ってはいけない。
原文:No single action takes the life out of a team or person more than being told what to do, especially if the job is clearly impossible.
コメント:訳文の述べるところは、それはそうだが、life 「活力」を見抜けていないので、原文とはかけ離れている。
試訳:これをやれと命令されることほど、チームや個人からやる気を奪い取るものはないだろう。とくにそれが明らかに不可能な事であればなおさらだ。

}}}
{{{

番号:42-1
訳文:代替案は、責任は「与える」のではなく「受容させる」ことである。
原文:The alternative is that responsibility be accepted, not given.
コメント:間違いではないが、ニュアンスが抜け落ちている。
試訳:代替案は、責任を「与える」のではなく「受け入れてもらう」ことである。

}}}
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番号:43-1
訳文:正直な見積り
原文:Honest measurement
コメント:見積もるな。
試訳:信頼できる測定

}}}
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番号:43-2
訳文:私達はやりたい仕事の相互関係を測定する方法を、熱心に見つけようとするだろう。
原文:We will also strive to choose metrics that have correlation to the way we want to work.
コメント:correlation を相互関係と訳してしまうと、意味が取れない。
試訳:さらに、自分がやりたいと思う仕事のやり方と、正の相関を持つ測定法を私たちが求めてしまう、ということがある。

}}}


[第九章]
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番号:45-1
訳文:プログラミング以外のことをしなくてはいけない。
原文:I needed to do something beyond programming.
コメント:
試訳:単なるプログラミング以上のことをする必要があった。

}}}
{{{

番号:46-1
訳文:コードは学位や給料によって評価されたりしない。
原文:Code isn't impressed by college degrees or large salaries.
コメント:
試訳:コードは、大学の学位や多額の給料を見て感心したりすることはない。

}}}
{{{

番号:46-2
訳文:コードは、自分が必要な構造を自分自身ですらまだ完全に理解していないことを教えてくれる。
原文:There are certain signs in the code that tell you that you don't yet understand the necessary structure.
コメント:間違いではないが、「自分」がまだるっこしい。
試訳:コードには、まだ必要とされる構造をあなたがはっきりと理解していない、ということを示すなんらかの徴候があらわれるものである。

}}}
{{{

番号:46-3
訳文:将来的な拡張や衝突の指摘などを伝える。
原文:spots for possible future expansion and contraction
コメント:contraction と contradiction とを見誤ったか?
試訳:将来的に拡張や削除が起きうる場所を伝える。

}}}
{{{

番号:47-1
訳文:それは、システムの操作と意味のある操作仕様の提供をすべてのレベルでテストすることである。
原文:tests that both objectively test the operation of the system and provide a valuable operational specification of the system at all levels.
コメント:objectively が抜けている。また、テストが仕様の操作的な定義を与えうる、という議論だと思う。
試訳:システムの各レベルにおいて、客観的にその動作を検証すると同時に、重要な動作上の定義を与える、そんなテストである。

}}}
{{{

番号:47-2
訳文:テストは必要なものを実装する方法とは別の次元で考えられる。そして、自分の思い通りに実装されているか確認することができる。
原文:The tests give me a chance to think about what I want independent of how it will be implemented. Then the tests tell me if I implemented what I thought I implemented.
コメント:文の切り方がおかしい。テストは、「考えられる」の主語にも目的語にもならない。
試訳:テストがあれば私は、自分が欲しいものは何かということを、それをどう実装するかということとは切り離して考えることができる。その上でテストは、自分が実装したと思ったものを本当に実装したか否か、確認してくれる。

}}}
{{{

番号:47-3
訳文:自動テストというと、たいていの人は機能、数字の計算方法をテストすると思うだろう。
原文:When most people think of automated tests, they think of testing functionality -- that is, what numbers are computed.
コメント:「機能」「数字の計算方法」は同列ではない。how ではなくwhat なので、計算方法は不適。
試訳:たいていの人は「自動テスト」というと、正しい数字が計算されたかどうか、といった、「機能」のテストを思いつくだろう。

}}}
{{{

番号:48-1
訳文:もしあなたが、テストに対して異論があれば、テストをしなくても仕方がない。
原文:If all you could make was a long-term argument for testing, you could forget about it.
コメント:argumentには「口論」という意味があるが、ここでは「議論」だろう。またここでのyouはいわゆる「不定代名詞のyou」だから、とくに「あなた」と訳出する必要はない。
試訳:テストするべきだという議論が、長期的な観点のものしか出てこないとしたら、テストのことなど忘れてしまうだろう。

}}}
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番号:49-1
訳文:背後に罠があることに気づかずに移動して、武器を突きつけられ、次にその道を通るときには吹き飛ばされる。そんなイメージが思い浮かぶ。
原文:You move on, little realizing that you have left a trap behind you, armed and ready to spring the next time you come that way.
コメント:いや、思い浮かばない。armed and ready to spring という状態にあるのは罠のほうであってあなたではない。
試訳:トラップをやり過ごしたことにほとんど気づかぬまま、先に進んでしまう。そのトラップはまだ活きていて、次に通りかかったあなたに飛びかかろうと待ちかまえているのだ。

}}}
{{{

番号:49-2
訳文:テストのトリックは、耐えられる欠陥のレベルを見つけることである。ユーザ(顧客)の月一回の不満に我慢できるのであれば、テストに投資して、テストのプロセスを耐えられるレベルにまで改善する。
原文:The trick with testing is finding the level of defects you are willing to tolerate. If you can stand one customer complaint per month, then invest in testing and improve your testing process until you get to that level.
コメント:間違いではないが、訳語の選択が甘い。重要な箇所なので、訳し直すことにする。
試訳:テスト作業のコツは、許容可能な「欠陥のレベル」はどこまでなのか、見つけておくことである。ユーザーから月に一回程度は文句が来る、という状況でもよいのなら、そのレベルに達するまで、テスト作業をスタートしてテストプロセスの改善を重ねていけばよい。

}}}
{{{

番号:49-3
訳文:そしてテストの標準を利用し、あたかもシステムがOKでテストが全部通ったものとして先に進む。
原文:Then, using that standard of testing, move forward as if the system is fine if the tests all run.
コメント:「テストの標準」は誤訳。standard には基準という意味もある。また、as if以下の切り方がおかしい。
試訳:そうしたら、そのテストを基準として用いて、全部のテストが通ったらシステムに問題なしとして先に進むことにする。

}}}
{{{

番号:49-4
訳文:テストを解決するためには...
原文:if you resolve to test,
コメント:解決するな。
試訳:テストをやる、と決めたからには、

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番号:49-5
訳文:プログラマは大勢のいうことも聞く必要がある。
原文:Programmer must listen in the large, too.
コメント:難所である。listen to the larger audience ならともかく、in the largeで慣用句となっている以上、訳文のような訳はできない。この前の段落では、プログラマがテストの準備のために質問をしてその答えを聞く、という特殊な状況での「聞く」を話題にしている。
この文のある段落では、それより広い、一般的な意味で相手の話を「聞く」にはどうするか、という話をしていることに注意。
試訳:もっと一般的な意味でも、プログラマは「聞く」必要がある。

}}}
{{{

番号:50-1
訳文:コミュニケーションを構築する方法を見つけ、必要なときにうまく伝えなければならない。
原文:We have to find a way to structure the communication so that the things that have to be communicated get communicated when they need to be communicated and in the amount of detail they need to be communicated.
コメント:原文での繰り返しのしつっこさが、訳文には出ていない。というより省略のしすぎ。
試訳:伝えるべきものを、伝えなくてはいけないときに、伝えるのに必要な程度のディテールと共に伝達する、そうなるようなコミュニケーションの構造をどう作るか、考えなくてはいけない。

}}}
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番号:50-2
訳文:そして、開発ルールはコミュニケーションの無駄な部分をカットする。伝えられるものが明確でないときは、意味のないコミュニケーションのやりとりが行われる。そして、内容が細かすぎると、重要な部分を被ってしまったりするものである。
原文:Similarly, the rules we develop also have to discourage communication that doesn't help, that is done befoe what is to be communicated is really understood, or that is done in such great detail as to conceal the important part of the communication.
コメント:the rule we develop を開発ルールと訳すのは誤訳。the way we do our development ならともかく。
試訳:同様に、われわれが作り出すコミュニケーション作法は、無駄な部分だったり、正確な理解が得られる前に終わってしまったり、細かすぎて重要な点を覆い隠してしまうようなコミュニケーションを取り除くようなものでなくてはならない。

}}}
{{{

番号:50-3
訳文:エントロピーは他の何かを犠牲にする。
原文:Entropy claims another victim.
コメント:他の何かではない。
試訳:エントロピーの犠牲者がまた増えた。

}}}
{{{

番号:50-4
訳文:本当に起こっていることを見つけるために4つの層が必要で、これらの層に特定の機能を説明できる目的がないとしたら...
原文:If a design requires four layers of indirection to find out what is really happening, and if those layers don't provide any particular functional or explanatory purpose,
コメント:
試訳:ある設計で、何が起きているか見定めるために間接参照を四層もくぐらなくてはならなくて、しかもその四層には、機能面での目的やわかりやすくするための目的が見あたらない、というなら、...

}}}
{{{

番号:51-1
訳文:新しい規律を構築するために必要な最後のアクティビティは設計である。
原文:So, the final activity we have to structure in our new discipline is designing.
コメント:「構築する」の目的語が違う。
試訳:私たちの新しい規律で、構造として取り出すべき最後のアクティビティは「設計すること」である。

}}}
{{{

番号:51-2
訳文:設計という活動はオプションではない。ソフトウェア開発を効果的に行うためのアイデアが必要である。
原文:.. the activity of design is not an optoion. It must be given serious thought for software development to be effective.
コメント:第一文は間違いではないが、誤解を生まないか。第二文はおかしい。
試訳:設計という活動は、するかしないか選べるものではない。だから、ソフトウェア開発を効果的に行うには、設計という活動を真面目にとりあげる必要がある。

}}}
{{{

番号:51-3
訳文:そうだ。
原文:That's it.
コメント:そうか?
試訳:これが全てだ。

}}}

}}}

{{{ セクション2

{{{ 終了分

[第十章]
{{{

番号:53-1
訳文:・原則
原文:The principles
コメント:複数ある
試訳:・種々の原則

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番号:57-1
訳文:リリースの集約--ソフトウェアを導入してビジネスを良くするためには、どれたけのことが必要なのだろうか。
原文:Composition of releases -- How much or how little needs to be done before the business is better off with the software than without it?
コメント:難しいところだが、集約だと意味がつかみにくい。構成のほうがよいのでは。
試訳:各リリースの構成--そのソフトウェアが業務に不可欠になるには、どこまでやる必要があるのか、またやらなくてもいいのか。

}}}
{{{

番号:57-2
訳文:これらを決定しないとビジネスは行えない。
原文:Business can't make these decisions in a vacuum.
コメント:in a vacuum が訳せていない。次の文とのつながりも不明確。
試訳:利用者側も、これらの決定を全くの無から作り出すことはできない。

}}}
{{{

番号:57-3
訳文:ビジネスはベンチャーよりも大企業とやったほうがうまくいくかもしれない。しかし、ベンチャーとのビジネスが必ずしも余計なリスクをもたらし、不快感を産むとは限らない。
原文:Business might rather work with a huge company than a startup, but a factor of 2 in productivity may make the extra risk or discomfort worth it. Or not.
コメント:第二文は省略のしすぎ。開発者が説明すべき「結果」をきちんと訳出していない。
試訳:利用者側(ビジネス側)は、ベンチャーよりも大企業と一緒に仕事をしたがるかもしれない。しかし、
ベンチャーと組むことにまつわるリスクや苛立ちは、生産性の二倍の向上で帳消しになるかもしれない。また帳消しにならないかもしれない。

}}}
{{{

番号:58-1
訳文:リリースは全体として意味を持つべきである。
原文:The release has to make sense as a whole.
コメント:
試訳:リリースは単体として意味を持つべきである。

}}}
{{{

番号:58-2
訳文:1万メートルにも及ぶシステムのビュー
原文:10,000-meter view of the system
コメント:
試訳:高度1万メートルから眺めたシステムの姿

}}}
{{{

番号:58-3
訳文:なぜなら、それはアーキテクチャによってシステムが凝集されていないことを意味するからだ。
原文:architectures don't necessarily push the system into any sense of cohesion.
コメント:間違いではないが、「凝集」だとなんだかわからない可能性がある。
試訳:なぜなら、そんなアーキテクチャがあっても、システムはあらゆる意味でバラバラのままだからだ。

}}}
{{{

番号:58-4
訳文:アーキテクチャは大きな箱でありそれぞれのコネクションである。
原文:An architecture is the big boxes and connections.
コメント:the が付いていること、boxes と複数形になっていることに注意。Kent Beck が嫌いな、クラス図などの表記法を指していると思われる。
試訳:アーキテクチャは、大げさな箱を大げさな接続線でまとめたもの(訳注:UMLなどで書かれたシステム図)となり果てる。

}}}
{{{

番号:59-5
訳文:自動化されたテストなくして、プログラムの機能はありえない。
原文:Any program feature without an automated test simply doesn't exist.
コメント:間違いではないが。
試訳:自動化されたテストが付いていない機能なんて、存在しないと同じだ。

}}}
{{{

番号:60-1
訳文:ブレイクされる可能性のある運用対象のコードだけでよい。できるかどうか確かめたいだけの時もある。30分探し、可能なコードが見つかったらコードから離れて、テストに取り掛かろう。
原文:.., only production methods that could possibly break. Sometimes you just want to find out if something is possible. You go explore for half an hour. Yes, it is possible. Now you throw away your code and start over with tests.
コメント:第一文における possibly break と、第二文におけるpossible が掛かっていることを見抜けていない。「できるかどうか」は誤訳。この二つは、
○possible=バグはそこにあるので、運用中に、これが顕在化する可能性がある。
○could possibliy break=今はともかく、将来に渡る改変の中で、バグや仕様違いが混入することでメソッド呼び出しが失敗する可能性がある
という違いだと考えて、「今」「将来」と訳しわけた。start over は「やり直す」。「取り掛かる」は誤訳。
試訳:運用対象のメソッドで、将来、失敗する可能性のある部分だけでよい。たまに、とある失敗の可能性が
もう既にいま入っているかどうか確かめたい、という時もある。30分くらい時間をかけてみよう。実際にその可能性がある、というなら、コードを放り投げる。テスト書きからやり直しだ。

}}}
{{{

番号:61-1
訳文:あまりなじみのない仕事の責任者になったら、経験者にペアになってもらう。
原文:If you have responsibility for a task in an area that is unfamiliar to you,
コメント:「タスク」はXP用語。
試訳:あまりなじみのないタスクの責任者になったら、

}}}
{{{

番号:61-2
訳文:結果として混乱が起きた。特に行と行の関係が静的には決まらないようなオブジェクトの時である。
原文:The result was chaos, expecially with objects where the relationship between a line of code over here and a line of code over there was not easy to determine satically.
コメント:間違いではないが、第二文は修飾関係が読みとりにくい。ある性質を持ったオブジェクトに付いて述べているのではなく、「オブジェクト指向」を用いた場合一般においてある性質が現れることを示すべき。原文でもwhereになっていることに注意。
試訳:結果として混乱が起きた。特にオブジェクトを使った場合、行と行の関係を静的には見定めにくいので、なおさらひどかった。

}}}
{{{

番号:61-2
訳文:最大でも一日後に。
原文:a day of development at most.
コメント:
試訳:少なくとも、開発が行われた当日中には。

}}}
{{{

番号:62-1
訳文:ボンドトレーディングシステムを構築しているなら
原文:If you are building a bond trading system.
コメント:
試訳:債権取引のシステムを構築しているなら

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番号:63-1
訳文:管理者はソフトウェアを早くよく動かすことと、1人か2人分の労働を犠牲にすることの、どちらが価値があるか...
原文:Manager will have to decide which is more valuable -- having the software working sooner and better or having the output of one or two people.
コメント:比較がめちゃくちゃ。一人二人の労働を犠牲にするからこそ、ソフトウェアを早くよく動かすことが可能になるのだから。
試訳:管理者は、「ソフトウェアをより早く、よりよく動かすこと」を取るか、「1人か2人分の労働生産」を取るか、どちらが価値があるか...

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[第十一章]
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番号:65-1
訳文:ここでは実践がどのようにうまくいくかに焦点を当てている。
原文:... but this time focused on what usually makes the practice untenable,
コメント:untenable の処理がおかしい。
試訳:ここでは、各実践をうまくいかなくさせてしまう一般的な理由にまず焦点を当てる。

}}}
{{{

番号:66-1
訳文:開始時に十分な全体の計画があり、ユーザーはこの先数年間で何が可能かおおまかに考えることができる。
原文:You had enough of a plan at the beginning to give the customers a rough idea...
コメント:「十分な全体の」はミスリーディング。
試訳:開始時に、ユーザーがこの先数年間で何が可能かおおまかに把握するために十分なだけの計画がある。

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番号:67-1
訳文:今日書いたコードだけで十分な設計をほどこすことはおそらくできないだろう。
原文:You couldn't possibly have just enough design for today's code.
コメント:
試訳:今日書くはずのコード分に、ちょうど必要なだけのな設計、なんてものは作りようがない。

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[第十二章]
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番号:73-1
訳文:しかし、「わたしは彼らに立派な仕事をさせようとしている」と言うのと、「わたしは彼らがよりよい仕事をする手伝いをしている」と言うのでは、大きな違いがある。
原文:However, there is a big difference between "I am trying to get these guys to do a decent job" and "I get to help these guys do an even better job."
コメント:大きな違いが見えない。というか、どちらも立派に聞こえる。a decent job と get to とが訳出されていない。
試訳:しかし、「彼らに仕事をまともにやらせようとしているのだ」と言うのと、「私がすべきなのは、彼らが更によりよい仕事をする、その手助けだ」と言うのでは、大きな違いがある。

}}}
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番号:74-1
訳文:正直な見積り
原文:honest measurement
コメント:見積もるなって
試訳:信頼できる測定

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番号:74-2
訳文:その比率が上昇したら.. チームのプロセスがうまくいっていることを意味する。あるいはチームが要求された作業しか行っておらず、それ以外のこと(リファクタリングやペアリング)を十分に行わないと、そのつけが後から回ってくるということになる。
原文:If the ratio rises .. , it can mean that the team process is working well. Or, it can mean that the team isn't doing enough besides fulfilling requirements (like refactoring and pairing), and that a price will be paid in long-term.
コメント:間違いではないが、it can mean をきちんと訳した方がいいのではないか。
試訳:その比率が上昇したら.. チームのプロセスがうまくいっているという意味かもしれない。あるいはチームが要求された作業しか行っておらず、それ以外のこと(リファクタリングやペアリング)をちゃんとやっていない、だからそのつけが後から回ってくる、ということを意味するかもしれない。

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番号:75-1
訳文:測定値が100%に近付いたら、新しく別の測定値に切り替えて、カウントダウンできるように一桁の数字にした方がよい
原文:If a metric gets close to 100%, replace it with another that starts confortably down in the single digits.
コメント:カウントダウンではない。新たに一桁から「カウントアップ」する。
試訳:測定値が100%に近付いたら、十分に低い一桁数字から始まる別の測定値に切り替えるべきだ。

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番号:75-2
訳文:XP管理者が変更の必要を感じるバロメータは自身の物理的、精神的な感情に注意すればよい。
原文:The XP manager's most sensitive barometer of the need for change is awareness of his or her own feelings, physical and emotional.
コメント:「物理的な」感情などない。physical - emotional の対比に注意。
試訳:変化が必要であることをXP管理者に知らせるバロメータで、もっとも敏感なものは、自分自身の身体的/感情的な感触に注意することから得られる。

}}}
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番号:75-3
訳文:技術的実行(と評価)
原文:with the technical execution (and evolution)
コメント:evaluation と evolution を見誤ったか
試訳:技術的実行(と進歩)

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番号:75-4
訳文:コーチにしたいような人物は、他のチームでリードプログラマやシステムアーキテクトだったことが多い。しかし、XPでのコーチの役割はまったく違う。
原文:Often, as coach you want to use the person who on other teams would have been the lead programmer or system architect.
コメント:過去完了の仮定法が訳せていない。
試訳:コーチにしたいような人物は、他のチームでならリードプログラマやシステムアーキテクトに選ばれていたような人物でだろう。しかし、XPでのコーチの役割は、これらとはまったく違う。

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番号:75-5
訳文:コーチの役割は、技術的な決断を最小限しか行わないことだ。そのかわり、コーチの仕事は他の人によい決定をさせることである。
原文:The measure of a coach is how few technical decisions he or she makes: The job is to get everybody else making good decisions.
コメント:measure には「手段」という意味もあるが、ここは「評価基準」だろう。
試訳:コーチの善し悪しは、技術的な決断をどれだけ行わないかで決まる。他の人によい決定を下してもらうことが、コーチの仕事だからだ。

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{{{

番号:76-1
訳文:XPプロジェクトは魅力的なおもちゃに弱い。
原文:XP project seems to attract toys.
コメント:attract「引き寄せる」と attractive 「魅力的な」 を間違えたか。
試訳:XPプロジェクトには、どうも「おもちゃ」が集まって来るようだ。

}}}
{{{

番号:76-2
訳文:典型的なコンサルタントが推奨するものは、たいていやたらと難しいゲームであることが多い。
原文:Lots are of the ordinary brain-teaser type recommended by lateral thinking consultants everywhere.
コメント:「コンサルタントの推奨」と XP プロジェクトの関連が見えない。lateral thinking は「水平思考」だろう。六色ハット思考法のデボノ博士などが念頭におかれているのでは?
試訳:ほとんどは、「水平思考」を実践する典型的なコンサルが奨めそうな、頭を使うパズル(brain-teaser)の類である。

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番号:76-3
訳文:休息して誰かとパンを食べることもプロジェクトに影響する。
原文:There is something powerful about breaking bread with someone.
コメント:慣用句。
試訳:「共に食事をとる」ことには、なにかしらの力が働くようだ。

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番号:77-1
訳文:トラッカはゲームのルールを冷静に理解する必要があり
原文:The tracker needs to know the rules of the game cold and ..
コメント:cold の解釈がおかしい。
試訳:トラッカはゲームのルールを完全に理解する必要があり

}}}
{{{

番号:77-2
訳文:トラッカは測定を少なく、効果的に行わないといけない。
原文:Instead, the tracker should experiment with just how little measurement they can do and still be effective.
コメント:
試訳:トラッカは、どれだけ測定を少なくしても効果が損なわれないか、試してみるべきである。

}}}
{{{

番号:77-3
訳文:第一に管理者は、問題を回避するために気づくべきことや、事前にしておくべきことを、注意深く探し出さないといけない。
原文:First, though, the manager must search carefully to discover if there was something they should have been aware of or done earlier to have avoided the problem entirely.
コメント:時制の処理が悪い。これだと、今から行う対処において、「気づくべきこと」「しておくべきこと」を検討すべきだ、ととられる危険がある。原文はそんなことを述べていない。
試訳:しかし管理者はまず、「事前にこれに気づいていれば、これをやっていれば、問題の発生は完全に防ぐことができた」ということがあったのかなかったか、注意深く調べる必要がある。

}}}
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番号:77-4
訳文:介入のときは、白い鎧を着て、攻撃をかわすときではない。
原文:The time for intervention is not the time for donning white armor and leaping on a charger.
コメント:ホソカワ様の指摘([XP-jp:01413]) を反映させていただきました。
試訳:介入のときは、白い鎧を着て、馬に飛び乗るときではない。

}}}
{{{

番号:77-5
訳文:もしチームメンバー間でうまくいっていない場合、
原文:If a team member just isn't working out,
コメント:メンバー間のことを言っているのではない。
試訳:もしもあるメンバーが、資質に難ありという場合は、

}}}
{{{

番号:77-6
訳文:攻撃者が状況を改善させるシナリオが
原文:[any] scenario in which the offender would be a help rather than a hindrance,
コメント: 間違いではないが、あいまい。攻撃者が「主体的に」状況を改善させるのではないのだから、そうとられない訳にすべき
試訳:その人が「足手まとい」ではなく「手助けになる人」となるようなシナリオが

}}}
{{{

番号:78-1
訳文:もうすこし楽な方法は、.. である。
原文:A slightly more pleasant duty is ..
コメント:同じ目的に体する別種の方法の比較ではない。
試訳:より不愉快でない義務の一つに、.. がある。

}}}

[第十三章]
{{{

番号:80-1
訳文:XP は、むしろ多すぎるくらい共有スペースを必要とする。
原文:XP wants to err on the side of too much public space
コメント:間違いではないが。
試訳:XP では、共有スペースは少なすぎるよりは多すぎるほうがよい。

}}}
{{{

番号:80-2
訳文:.. 質問が叫ばれているのを聞き、偶然会話を聞いてしまうことで、チームに対して貴重な貢献をしているのだ。
原文:The team members need to be able to see each other, to hear shouted one-off questions, to "accidnetally" hear conversations to which they have vital contributions.
コメント:one-off が訳出されてない。 to which は conversations にしかかからないと思うが、いかがか。
(ONO Mar/23/2001) [XP-jp:01413] でのホソカワ様の御指摘を参考にさせて頂きました
試訳:.. 単発の質問が叫ばれているのを聞いたり、「偶然」聞いた会話に参加して重要な貢献をしたり、そういったことが起こらなくてはいけない。

}}}
{{{

番号:81-1
訳文:同時に各チームはチーム単位で構成されるべきである。
原文:At the same time, the team should be saparated from other team.
コメント:訳文は意味が通らない。
試訳:同時に各チームは、他のチームからは分け隔てるべきである。

}}}
{{{

番号:81-2
訳文:できるなら、一番いいスペースを共同スペースにとって置こう。
原文:If you can, reserve a little of the nicest space off to one side for a communal space
コメント:off to one side が訳出されていない。
試訳:できるなら、壁に面した、居心地の良い小スペースを共同スペースにとって置こう。

}}}
{{{

番号:81-3
訳文:その机には両側に小さなとってのついた引出しがあり、その隙間に足を滑り込ませるのがやっとだった。
原文:The desks had two sets of metal drawers on either side of a little slot into which you could just slide your legs.
コメント:「両側に小さなとってのついた引出し」ではない。引出しが、隙間の両側にある、という話。「小さなとって」は出て来ない。slot は足をいれる空間。

真正面から机を見た図で示すと、

□□□□□□□□□□□□
 □        □ 
 □        □ 
 □ A    B □ 
 □        □ 
 □        □ 

上図でAとBに相当する部分に、鉄製の引出しがくっついており、使用者はその間に足を挟む必要がある、ということ。
試訳:その机の下には、引出しがが二組、両側に付いていて、その隙間に足を滑り込ませるのがやっとだった。

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番号:82-1
訳文:ファシリティには一定の実験(仕事にフィードバックする価値)を行う価値がある。
原文:Facilities are worthy of constant experimentation (the feedback value at work).
コメント:constant が訳せていない。at work は「仕事」ではない。
試訳:ファシリティには定期的な実験(まさに「フィードバック」の実践だ)を行う価値がある。

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[第十四章]
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番号:83-1
訳文:... 開発を行っている間に要求を変わるという大きなリスクを生む。こうした技術的なリスクも、大きいものになることが多い。
原文:... so there is greater risk that the requirements will change all diring development. Somehow, they also tend to be technically riskier.
コメント:「こうした技術的なリスク」はおかしい。要求変更は技術的なリスクではない。
試訳:... 開発を行っている間に要求が変わるという大きなリスクを生む。なぜかこれらは、技術的なリスクとしてもより大きいものになることが多い。

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番号:84-1
訳文:ピカピカの写真だけでよい決断ができるはずがない。
原文:you can't possibly make a good decision based only on glossy photographs.
コメント:その前で、車を買うときの選択の話をしているのだから、それにそって訳したほうがよい。
試訳:つややかなグラビアを眺めるだけでよい決断ができるはずがない。

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番号:85-1
訳文:そのため、ビジネス的な人にビジネス上の決定の責任を負わせると、ユーザ(顧客)はXPのチームにとって、プログラマと同じような立場に置かれる。
原文:.., giving business people responsibility for business decisions implies that a customer is as much a part of an XP team as a programmer.
コメント:実は、原文を読んでもロジックの関連が見えなかった。しかし「XPのチームにとって」は誤訳。「ビジネス的な人」は意味不明。
試訳:そのため、ビジネス側の人間にビジネス上の決定の責任を負わせるということは、ユーザ(顧客)が、プログラマそうであるのと同様に、XPチームの一部になる、ということを意味する。

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番号:85-2
訳文:「このシステムが欲しい。そしてこのリレーショナルデータベースと、あの Java IDE を使わないといけない」とユーザが言ったら、その決定を指摘するのが私の仕事だ。
原文:If a customer says to me, "We want this system, and you have to use this relational database and that Java IDE," my job is to point out the consequences of that decision.
コメント:「決定を指摘する」は誤訳。
試訳:「このシステムが欲しい。そしてこのリレーショナルデータベースと、あの Java IDE を使わないといけない」とユーザが言ったら、私の仕事は、その決定がもたらす結果を示してあげることだ。

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番号:86-1
訳文:つまり、どうやったらシンプルに出来るのかあなたにもまだ分からないぐらい、根本的に難しい問題を解決できるようにするための分類方法なのだ。
原文:It is a way of sorting out those jobs that are genuinely tough from those jobs that you just haven't figured out how to make simple yet.
コメント:訳文はもっともらしいが、原文とは違う。from を読み飛ばしたか?
開発陣が「まだシンプルに扱う方法が見出せていない仕事」のなかには、ビジネス上の決定でなんとかなるものもある。これは、単純で簡単である。しかしビジネス上の決定としても不可欠で、技術的には困難な仕事は、 genuinely touch であろう。この違いを見分けるために、「ビジネス上の責任と技術上の責任を分けろ」と言っている。
試訳:つまりこれは、まだシンプルに扱う方法が見出せていない仕事のなかから、根本的に困難な仕事を、ふるい分けするための方法なのだ。

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[第十五章]
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番号:88-1
訳文:開発側で新たな方法を発見したんだ。
原文:"Development learned something. It needs help..."
コメント:learn に特に肯定的な意味合いは無い。
試訳:開発側で、何かあることが判明して、これにうまく対処するには...

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番号:89-1
訳文:チームの戦略は、投資を最小にして、もっとも価値のある機能をなるべく早くシステムとして稼働させることである。それは、リスクを減らすために作られたプログラミングと、設計の戦略だけではない。
原文:The strategy for the team is to invest as little as possible to put the most valuable funcionality into producitoin as quickly as possible, but only in conjunction with the programming and design strategies designed to reduce risk.
コメント: conjunction の処理がおかしい。
試訳:チームの戦略は、投資を最小にして、もっとも価値のある機能をなるべく早くシステムとして稼働させることであるが、ただしこれを、開発リスクを低減するようなプログラミング/設計上の戦略なしに行ってはいけない。

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番号:90-1
訳文:ピース(単位)
原文:The Pieces
コメント:ゲームの話なのだから、 peice も素直に訳したほうがいいと思う
試訳:ゲームのコマ

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番号:91-1
訳文:グループへのフォーカス
原文:Focus groups
コメント:日本語になっている?特定のプロファイルを持つ個人からなる集団。テストやアンケートの協力をお願いする。
試訳:フォーカスグループ

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番号:91-2
訳文:一番良いビジネス側の役は、パワーユーザである。
原文:Some of the best players of Business I have seen have been expert users.
コメント:自分の経験を語っている。
試訳:私が出会った、ビジネス側としてもっとも優れたプレーヤーの中には、パワーユーザの人達が含まれていた。

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番号:91-3
訳文:展開
原文:The Moves
コメント:ゲームの話なので。 「展開」だと、探検・コミット・運転という3つの段階のことだと誤解されないか。
試訳:さし手/選択肢/コマの動き

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番号:93-1
訳文:最初のイテレーションのストーリーは未完成ではあるが、システム内で最後まで(end-to-endで)実行されるようにならないといけない。
原文:The stories for the first iteration must result in a system that runs end-to-end, however embryonically.
コメント:システム内でストーリーが動く、という話ではない。ストーリーを実装した結果、一つの閉じた系=システムができあがる、という話。
(ONO Jan/29/2001) ホソカワ様の訳を参考にさせて頂きました。
試訳:最初のイテレーションのストーリー群が実装された結果、どれほど萌芽的なものであれ、最初から最後までつながったシステムが動作しなくてはいけない。

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番号:95-1
訳文:本質的でないタスクを縮小する
原文:shedding nonessential tasks
コメント:
試訳:必須ではないタスクを取り除く。

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番号:96-1
訳文:イテレーション計画とリリース計画の違いは、イテレーションを行ったほうが、コミットしたスケジュールよりスケジュールの変更をしやすいということである。
原文:The differneces between iteration planning and release planning are primarily that you can tolerate more wiggling in the iteration schedule than in the commitment schedule.
コメント:「イテレーションを行う/行わない」の比較ではない。ミミズ(wiggler)のように、均等でなく進展するスケジュールのしわ寄せを、どこで解消するか、という話。
試訳:イテレーション計画とリリース計画の主要な違いは、各イテレーション内のスケジュールのほうが、コミットしたスケジュールに比べて、スケジュールの伸び縮み(wiggling)をより多く吸収できるということだ。

}}}
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番号:96-2
訳文:まだほんの少ししか開発が進んでいないため、
原文:No programmer is going to get the feeling that the whole project is falling apart at that point (not after a little experience)
コメント:開発のステージの話ではない。
試訳:プログラマとしての多少の経験から、

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番号:96-3
訳文:もちろんそんなことはない。よく考えると何も隠していない。ユーザが... 見たいと言えば、... 必ず歓迎される。
原文:It is important that this doesn't become true. You don't deliberately conceal anything. If the customer wants .., but they are certainly welcome.
コメント:命令形で訳すのでは?「よく考えると」は意味不明。
試訳:もちろん、そんな事にならないようにしなくてはいけない。意図的に何かを隠す、などと言うことをしてはいけない。ユーザが... 見たいと言えば、... 当然歓迎するのだ。

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番号:96-4
訳文:イテレーション間とイテレーション内の計画の違いは..
原文:The distinction between inter- and intra-iteration planning is
コメント:
試訳:イテレーション間の計画と、イテレーション内の計画とを区別することは..

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番号:96-5
訳文:開発の作業に吸収できないほどの
原文:hidden in the cracks of development
コメント:
試訳:開発の隙間仕事に収まらないほどの

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番号:96-6
訳文:それ自体がタスクとなり、スケジュールが組まれ、他のタスクよりも優先される。
原文:then it becomes a task of its own, scheduled and prioritized with all the other tasks.
コメント:優先されない。
試訳:それ自体がタスクとなり、他のタスクと一緒に、スケジュールされたり、優先度を付与されたりする。

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番号:97-1
訳文:納期通りに作成することとともに、見積もりについても、責任を個人に持たせたい。
原文:You want the individuals responsible for delivering something to also be responsible for estimating it.
コメント:「個人」が見積もりの責任を負うことを協調しているのではない。仕事を引き受けた「本人」が見積もりも行う、という話。
試訳:なにかを納品する作業の責任を引き受けた個人には、同時に、その作業の見積もりに対しても、責任を引き受けて欲しい。

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番号:97-2
訳文:一週間の計画
原文:Planning in a Week
コメント:まぎらわしい。
試訳:計画を「一週間」でたてるには?

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番号:97-2
訳文:チームに与えられた予算が限られた時によく起る状況である。要望を受け、回答をするまでに一週間が与えられた。
原文:This is a situation that comes up often for teams making fixed-price bids. You receive a tender and you have a week to respond.
コメント:まだ受注(落札)していないのでは? fixed-price には「協定価格」という訳もあるが、ここでは固定予算とした。
receive a tender という表現だと、自分が入札者ではなく募集者のように見えるが、そうではないと考えて工夫した(ちょっと自信なし)。
状況としては「この仕事を○○円でやるか?」というオファーを受けて、Yes/No の返事を決めたい、しかし回答期限が一週間なので、
そのための分析(ストーリー書き)をやっている暇がない、という感じであろう。

試訳:固定予算の仕事に入札したチームによく起きる状況である。入札が回って来たので、受けるかどうか、一週間以内に返事をしなくてはいけない。

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番号:98-1
訳文:プロトタイプを書く時間はなく、経験からストーリーを見積もるしかない。
原文:You don't have time to write prototypes so you can estimate the stories from experience.
コメント:so that 構文を見抜けていない。
試訳:プロトタイプを書いて、その経験からストーリーを見積もる、などという余裕もない。

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番号:98-2
訳文:XP の解決策は実際よりも大きなストーリーを使って、計画に多めのリスクを盛り込むというものである。
原文:The XP solution is to accept more risk in the plan by having bigger stories.
コメント:「実際よりも」は余計では?
試訳:XP の解決策は、計画により大きいリスクを見積もるため、より大きなストーリーを書く、というものである。

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番号:98-3
訳文:以前に似たシステムを書いた経験から見積もるべきである。
原文:You should be estimating from previous experience writing similar systems.
コメント:should estimate と should be estimating の区別がついていない。この should は当為ではなく必然。
試訳:そういう場合、きっとあなたは、以前に似たシステムを書いた経験から見積もりを行っているに違いない。

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番号:98-4
訳文:予算の限られた要望にビジネス的に回答する方法はない。
原文:you have no business responding to a fixed-price tender
コメント:business の意味が違う
試訳:この固定予算の仕事に応じるなんて、あなたの領分ではない、ということだ。

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[第十六章]
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番号:99-1
訳文:XP でのプログラミングは、自動テストのように小さい単位で少しずつ追加して行く。
原文:.... with a few small things added, like automated testing.
コメント:
試訳:XP でのプログラミングは、まさにプログラミングであり、これに自動テスト等の細かいいくつかを付け加えただけだ。

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番号:99-2
訳文:しかし XP の他の部分と同様、XP の開発は信じられないほどシンプルである。
原文:However, like all the rest of XP, XP development is deceptively simple.
コメント:deceptively は「当てにならない・欺く」
試訳:しかし XP の他の部分と同様、XP の開発のシンプルさは見掛け上のものである。

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番号:99-3
訳文:このようなスタイルをサポートするインフラとバンド幅がないと、この方法はうまく行かない。
原文:Aside from the infrastructure ... , this wouldn't work well.
コメント:インフラやバンド幅以外の問題として、開発者の「自分だけ」幻想を尊重するという問題がある、と言っている。
試訳:このようなスタイルをサポートするインフラとバンド幅のことは別としても、この方法はうまく行かない。

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番号:100-1
訳文:あなたが即座に制御できない変更があると..
原文:Having changes happen out of your immediate control would ..
コメント:間違いではないが。「即座」ではないはず
試訳:あなたの直接の監督下にない変更が発生してしまうと...

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番号:100-2
訳文:結合に関するすべての実践によって、製品はリリースする頃までにはとても手軽になっている。
原文:And all that practice at integration comes in very handy when it comes to creating the final project.
コメント:「製品」は結合を繰り返したからといって手軽にはならない。when it comes to は慣用句。final project は final product の誤植?
試訳:製品のリリース版を作るということに関しても、これらインテグレーション時の全ての実践を、労無く用いることが出来る。

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番号:100-3
訳文:数週間後、経験のないパートナーは経験のあるパートナーが使っているより大きなパターンを選択し、パターンからの派生に気づく。
原文:After a few more weeks, the junior partner will start picking up the larger patterns that the senior partner is using, and notice deviation from those patterns.
コメント:derivation と deviation とを間違えたか?また、pick up は「選択」ではない。
試訳:数週間後、経験のないパートナーは、経験のあるパートナーが使っているより大きなパターンを見出し始める。さらに、そのパターンから外れている部分にも気づくようになる。

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番号:102-1
訳文:タスクが複数なら
原文:And, if you both have tasks to do,
コメント:細かいですが。
試訳:ペアの両方ともがタスクをかかえてるなら、

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番号:103-1
訳文:開発のこの行はどこにいくのか
原文:Where is this line of development going?
コメント:まあ、もとの英文の想像がついてしまいますが
試訳:この開発の方向はどこを向いているのか?

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[第十七章]
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番号:105-1
訳文:多くの点で、この章の内容が一番説明しづらい。XPの設計戦略は、いつでもテストスィートを実行できるように、もっともシンプルな設計にしておくことである。それがそんなに難しいことだとは思えない。シンプルなテストスィートに問題があるのだろうか。
原文:In many ways, this is the most difficult chapter to write. The design strategy in XP is to always have the simplest design that runs the current test suite. Now, that didn't hurt so bad. What's wrong with simplicity? What's wrong with test suites?
コメント:第二文、「実行できるように」は強調すべき所をずらしている。第三文 "That didn't hurt so bad" と過去形になっているのは何故?「章を書き上げたこと」を that で受けているのかとも考えたが、自信がないので試訳には反映させていない。
試訳:いろんな意味で、「設計戦略」ほど書くのが難しい章はない。XPの設計戦略は「現在のテストスィートをパスする、もっともシンプルな設計を常に保つようにする」というものだ。でも、それがそんなに難しいこととは思えない。「シンプル」や「テストスィート」に、なにか問題が含まれているのだろうか。

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番号:105-2
訳文:ゴールにたどり着くまで一貫してとるべきである。
原文:consistent with the rest of our goals
コメント:
試訳:他の目標と矛盾しない範囲内でとるべきである。

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番号:106-1
訳文:少し設計をしたあとに、もう一度考える時間を作る。しばらく経って、設計に自信が持てたら、必要に応じて追加する。この方法以上に勇気が持てるやり方はあるだろうか。
原文:What could be more courageous than stopping after a little bit of design, confident that when the time comes, you can add more, when and as needed?
コメント:stop は「もう一度考える時間を作る」ではない。 confident は 設計にはかからない。強調すべきポイントがずれている。
試訳:必要の生じた変更を必要な時に加える、そのための時間は、必ずとれるのだ、と信じて、少しだけ行った設計作業をそこで止めてしまう。これ以上に勇気を必要とされることがあるだろうか?

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番号:106-2
訳文:要求仕様の変更によるやり直しが起こる前の設計への投資は、できるだけ少なくすべきである。
原文:We should make the smallest possible investment in the design before getting payback for it.
コメント:payback は「支払」でよいのでは?「やり直し」ではない。a payback period (投資額の)回収期間.
試訳:回収が始まるまでは、設計への投資は、できるだけ少なくすべきである。

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番号:106-3
訳文:変化を前もって抱えこまないで、シンプルな設計で開始し、常に洗練していく。
原文:If we embrace changes, we will be willing to start simple and continually refine.
コメント:逆じゃん。
試訳:変化を受け入れようというならば、まずはシンプルな設計から初めて、ひんぱんに洗練させていく道を選ぶだろう。

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番号:107-1
訳文:将来何が起きそうか正確にわかっていて、さらに解決方法もわかっているのならかまわない。一般的には必要なものは今追加し、将来必要になるものも後から追加するほうがよい。
原文:If you know exactly what is going to happen, and you know exactly how to solve it, it is generally better to add what you need now, and add what you need later, too.
コメント:二文に分ける必然性がない。むしろ generally の限定範囲が外れてしまい、誤解を招くから一文のほうがよい。「将来必要になるものも後から追加するほうがよい」は誤訳。
試訳:将来おきることが、その解決方法も含めて正確にわかっているというのなら、一般的にいって「今必要なもの」も「将来必要になるもの」も両方追加してしまうのが正しい。

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番号:108-1
訳文:例えばオブジェクトの目的とそのメソッドは何かといったような
原文:What are the objects and their visible methods?
コメント:「目的」って?
試訳:例えば、オブジェクトとその公開メソッドは何か、といったような。

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番号:109-1
訳文:ときどき、チームはあやしい人物が背後からのぞき込んでいるように感じることがある。あなたの仕事が見積もりから少しかけ離れていると測定したのかもしれない。
原文:From time to time, the team will get the feeling that the crud has been creeping up behind them. Perhaps they have measured a consistent deviation from their estimates.
コメント:第二文の主語は「チーム」である。「少しかけ離れる」って何?
試訳:ときどき、いやなものに追いかけられているような、そんな感じをチームが抱くことがあるだろう。どうも見積もりを越えてしまうことが多い、と気づいたことが原因かもしれない。

}}}
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番号:109-2
訳文:次第に小さなリファクタリングの繰り返しが集まった結果、大きな作業が行われることになる。
原文:Eventually all that will remain of the big refactoring is a little job.
コメント:大きめに見えたものが、実際は小さくなった、という話。
試訳:そうしていけば、大きなリファクタリングとはいえ残る部分はあとわずか、ということになる。

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番号:112-1
訳文:今日設計を決めるコストは、それだけではなく、そのコストに支払う利子とシステムに追加する仕様の揺らぎを足したものである。
原文:So, the cost of making a design decision today is the cost of making the design plus the interest we pay on that money plus the inertia it adds to the system.
コメント:「仕様の揺らぎで」はないと思う。
試訳:設計の判断を今日行うことのコストには、設計のコスト、そのコストに支払う利子、そしてシステムに与えられてしまう惰性を足したものがはいる。

}}}
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番号:112-2
訳文:その日に十分なことは、今後のトラブルである。
原文:Sufficient to the day are the troubles thereof.
コメント:「明日は明日の風が吹く」ということを原文は言いたいのだから、訳文だと XPと逆の結論になるのでは? thereof は the day を修飾。
試訳:その日に起きた問題だけで、その日はもう手一杯だ。

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{{{

番号:113-1
訳文:正しいと思えることについて今日決定すべきである。
原文:then we should make the decision today on the off chance that we are right.
コメント:on the off chance はイディオム。
試訳:ひょっとしたら我々は正しいかもしれない、と考えて、決定を今日下せばよいだろう。

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番号:113-2
訳文:一つの設計をコーディングする間に、3つの設計を比較対照することができる。
原文:In the time it would take you to code one design,
コメント:間違いではないが、would は仮定法だから、それがわかるように訳すべき。
試訳:一つの設計のコーディングにかかるだろう時間で、3つの設計の比較対照をすることができる。

}}}
{{{

番号:113-1
訳文:それは、テストケースを実行するのか、シンプルなコードをサポートするのか、
原文:Will this run the test cases? Does this support simple code?
コメント:
試訳:テストケースは通るのか、コードはシンプルになるのか、

}}}
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番号:114-1
訳文:「勝つための仕事」は不安..をかくすために図を使わない、ということをしない。
原文:Play to win -- suggests that we don't use pictures out of fear..
コメント:逆。
試訳:「勝つための仕事」から導かれることは、不安..をかくすために図を使うようなことはしてはいけない、ということである。

}}}
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番号:114-2
訳文:..一度コードに効果があった図でも忘れてしまうようになる。
原文:Embrace change and travel light -- suggests that we don't save the pictures once they have had their effect on the code,
コメント:suggest that S do not V の処理が変。推薦・禁止と解釈するべき。叙述ではない。
試訳:すでにコードに反映された図は、保存すべきではない、ということが導かれる。

}}}
{{{

番号:114-3
訳文:図として非常によく表現されているソースコードのようなものがあれば、
原文:If there is a kind of source code that is best expressed as pictures,
コメント:
試訳:ソースコードで、どうしても図で表現するのが一番よい、というものがあるなら、

}}}
{{{

番号:114-4
訳文:そしてそれまで苦労してきたリスクを軽減するため、システムに向き合う。
原文:then turn to the system to reduce the risk that you have been fooling yourself.
コメント:
試訳:そして、今までしてきたことを無駄にしないために、システムに向き合う。

}}}
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番号:115-1
訳文:アーキテクチャ全体を一望できる場所に置くか、
原文:Either you can put the whole architecture in place on speculation,
コメント:on speculation 「やま勘で」
試訳:やま勘でアーキテクチャ全体をひねり出すか、

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[第十八章]
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番号:117-1
訳文:コードをかくまえにテストを書く。分ごとに。
原文:We will write tests before we code, minute by minute.
コメント:
試訳:コードをかくまえにテストを書く。いつでも。

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番号:117-2
訳文:コードが動くと考えるたびに、そこから自信を持ち、プログラムの形にする。
原文:So every time they think some code is going to work, they take that confidence out of ether and turn it into an artifact that goes into the program.
コメント:「自信」の持ち方が変。「動くと考える」ことから「自信」が出る、という話ではない。エーテルは敢えて訳出しなかった。
試訳:そのコードが動くと思ったらすぐ、その「動く」という確信をあやふやなままにせず、プログラムという人工物に変換してやる。

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{{{

番号:117-2
訳文:その自信は自分自身の役に立つ。自信はプログラム内にあるので、他の誰もがその自信を使うことができる。
原文:The confidence is there for there own use. And because it is there in the program, everyone else can use that confidence, too.
コメント:
試訳:その確信をプログラマ自身が頼りにすることもできるし、またプログラムの形を取っているので、他の誰でもがその確信を頼りにすることもできる。

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番号:118-1
訳文:テストなしに開発することが可能なら、すぐにテストをすべて捨ててしまおう。
原文:If it was possible to develop without tests, we would dump all the tests in a minute.
コメント:これは条件法(角を曲がればビルが見える)ではなく反実仮想の仮定法(もし私が鳥ならば、あなたの元に飛んでいくのに、でも鳥じゃないから)と取るべき。
試訳:テストなしで開発できるものなら、全てのテストをすぐにでも打ち捨ててしまうだろうに。


}}}
{{{

番号:118-2
訳文:ペアプログラミングはパートナーが同時にタコなこーどをリリースする可能性を減らしていることにも気づく。
原文:pair programming reduces the possibility that both partners are releasing their pigs at the same moment.
コメント:releae one's pig の pig は、ここでは非理性的な衝動の喩え。コードを喩えているわけではない。
試訳:ペアプログラミングは、内なる衝動に従ったふるまいを二人が同時に行う可能性を減らしていることにも気づく。

}}}
{{{

番号:118-3
訳文:テストに信憑性がないことほどテストの価値を下げるものはないだろう。
原文:Nothing discourages tests more than false negatives.
コメント:原文のfalse negativeという表現は変。通常false negatives(偽陰性) は医学用語の文脈で、「本当は感染しているのに検査に引っかからなかった」という状況を指すのであり、この段落のコンテクストから外れているように見える。
試訳:テストが間違った警告を発することほど、テストの価値を下げるものはないだろう。

}}}
{{{

番号:118-4
訳文:それが大したことないとわかったら、かなりホッとするだろう。
原文:When it turns out to be no big deal, it's a big letdown.
コメント:事実としてはホッとするかもしれないが、ここで述べたいことは別である。
試訳:大したことがないと判明したら、大いにやる気が削がれるだろう。

}}}
{{{

番号:118-5
訳文:テストが複雑で、コードにエラーがあると、すべてをもれなくテストすることは不可能である。
原文:It is impossible to test absolutely everything, without the tests being as complicated and error-probe as the code.
コメント:without は附帯条件。「コードにエラーがある」はミスリーディング。どのコードか訳出すべき。
試訳:本当に全てをテストするなど不可能だ。もしやれば、テストはテスト対象のコードと同じくらい複雑でかつ間違いをふくんだものになってしまうだろう。

}}}
{{{

番号:119-1
訳文:コードが特定の状況下で動くことを想定しているなら、その状況を伝えるためにテストを書く。
原文:If you think of an unusual circumstance in which the code should work as written, you write a test to communicate the circumstance.
コメント:訳文だと「特定の状況」だけが動作環境として想定されている印象を与える。
試訳:普通とは外れているが、それでもコードが書かれたとおり動くべき状況を思いついたのなら、その状況をわかってもらうためのテストを書く。

}}}
{{{

番号:120-1
訳文:機能テストは必ずしもパーセンテージでは現せない。
原文:the measure of the functional tests is by necessity based on percentages.
コメント:逆だって。
試訳:必然的に、機能テストを測る度合いはパーセンテージとなる。

}}}

}}}

}}}

{{{ セクション3

[第一九章]
{{{

番号:125-1
訳文:一度につき一つのXPの実践を採用すると、チームは最も差し迫った問題に取り組むことになる
原文:Adopt XP one practice at a time, always addressing the most pressing problem for your team.
コメント:
試訳:XPの実践を、一度に一個づつ、つねにチームの最重要な問題を解決するために採用していきなさい。

}}}
{{{

番号:125-2
訳文:各実践について徹底した仕事をすることができる。
原文:you can do a thorough job of learning each one.
コメント:learning が訳抜けしている。
試訳:各実践を徹底的に学ぶことが可能になる。

}}}
{{{

番号:125-3
訳文:XPがどのような状況にも適用できるわけではないことを意味している。
原文:... also addresses the objection to XP that it is "one size fits all."
コメント:「適用できるわけではない」にもかかわらず適用してしまうことが one size fits all の意味。
試訳:「一つのサイズの押し着せだ」という XP に対する非難への応答になっている。

}}}
[第二十章]
{{{

番号:127-1
訳文:自分用のプロセスを覚えること
原文:making the process your own.
コメント:
試訳:プロセスを自分のものにすること

}}}
{{{

番号:129-1
訳文:新しい機能を追加するたびに、以前より遅くなったと感じるに違いない。
原文:you will feel like you make progress on new functionality more slowly than before
コメント:more slowly は副詞で、make progress を修飾する。訳文だとプログラムが遅くなったという意味に取れる。
試訳:新しい機能の実装が、以前ほど捗らなくなった、と感じるに違いない。

}}}
{{{

番号:130-1
訳文:XPの管理は婉曲な表現と影響力のゲームである。
原文:XP management is a game of indirection and influence.
コメント:「婉曲な表現」ではない。他人に判断権限を移譲することを指している。
試訳:XPの管理は、間接的な働きかけと影響力のゲームである。

}}}
{{{

番号:130-2
訳文:しかし毎日、状況に気を配り続ければ、
原文:As you pay attention to the situations that occur day in and day out,
コメント:situation には「難局、難題」という意味がある。
試訳:絶え間なく立ち現れる難題に対応していれば、

}}}
{{{

番号:130-3
訳文:時として、以前の「エクストリーム」に行っていなかった状況が起きるかもしれない。
原文:From time to time, however, a situation will arise that you haven't 'done extreme' before.
コメント:「以前の」の係り方が変。副詞のはず。
試訳:時として、まだ「エクストリーム流に」対処したことが無かった状況に出くわすだろう。

}}}
{{{

番号:130-4
訳文:チームメンバが疲れすぎていないかどうかを判断することだ。
原文:.. deciding that a team member isn't working out.
コメント:その後でやめさせる話をしているので、訳文の「疲れすぎ」は誤訳。疲れているなら休めばいい。
試訳:あるチームメンバについて不適格と判断することだ。

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[第二十一章]
{{{

番号:134-1
訳文:XPには全く合わない価値観をもとに、専門家が習慣で開発しているときがある。
原文:Experts sometimes develop habits that are based on value systems not entirely in tune with extreme programming.
コメント:develop habit「習慣が身に付く」。開発とは関係ない。
試訳:専門家は、時にXPとは食い違うような価値体系に基づいた習慣を身につけてしまっている場合がある。

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番号:135-1
訳文:探検フェーズにこれ以上時間をかけるよりは、小さく現実的でシンプルにできるプロジェクトを探し出して、そのプロセスに緊急に乗り出すべきだろう。
原文:If exploration took longer than this, I might look for a small but real project that they could complete easily to lend urgency to the process.
コメント:シンプルはどこから出てきたか不明。
試訳:探検フェーズにこれ以上時間が掛かりそうなら、プロセスにはっぱをかけるためにも、むしろ小さいが現実的で簡単にこなせるプロジェクトを探し出すだろう。

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番号:137-1
訳文:パーティは開発中に高まった緊張感を少しでも取り去ることに役に立つ。
原文:If you're not a little scared, you're crazy, but the party can...
コメント:訳抜け。
試訳:稼働に入ったことで緊張しないなんて、まともな人間ならありえないが、しかしパーティは...

}}}
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番号:139-1
訳文:これらは長い間戦ってきた結果としての、混沌とした終りである。
原文:This is the entropic death you have fought against for so long.
コメント:「戦ってきた結果」ではない。fight against 「~と争う」
試訳:これこそが、あなたが永きに渡って抵抗してきたところの「熱力学的な死」である。

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[第二十二章]
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番号:141-1
訳文:スポーツチームは各選手が自分の責任を果たしている時に最も良く機能する。
原文:A sports team work best when there are certain roles that someone takes responsibility for.
コメント:強調すべきところがずれている。役を割り振ることの重要性を言いたいのであって、各人の責任感の話ではない。
試訳:スポーツのチームは、誰かが責任を負う「役割」が定められている場合に、最大の能力を発揮できる。

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番号:141-2
訳文:役割は習慣となり、正確に動作するので、ゲームのルールの一部にすらなっている。時には別々の責任を組み合わせることがある。
原文:These roles become customary, and sometimes even embedded in the rules of the game, precisely because they work. At some time, probably every other combination of responsibilities has been tried.
コメント:自然発生的な役割分担が、規則に取り入れられるまでの流れを述べている。presicely の掛かりかたがおかしい。最後の分、at some time in the past と取らないと意味が通じない。
試訳:こういった役割は慣習となり、果てはゲームの規則に取り入れられるものもある。なぜなら、まさにそうするとうまくいくからにほかならない。おそらく過去において、責任分担に関する他の全ての組み合わせが試されたのであろう。

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番号:142-1
訳文:このことは後に大きな警告となる。
原文:All of this is leading up to a big warning about what follows.
コメント:この章の後半で「役割分担」について詳述するが、それが固定的なものだと考えてはいけない、という「警告」のことをここでは指している。「後に」じゃ意味不明。
試訳:ここで示したかったことは、次節から述べることに対する、一つの大きな警告となるだろう。

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番号:142-2
訳文:人の方を変えようとしてはいけない(もちろん、やりすぎないように)
原文:Don't try to change the people (well, not too much)
コメント:しかたなく変えることはあるだろうが、やりすぎないように、という話。
試訳:人の方を変えようとしてはいけない(少なくとも、やりすぎてはいけない)

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番号:142-3
訳文:実際、プログラマがいつも短期的、長期的、そして優先順位ごとに注意深くバランスの取れた決定を行ったら、
原文:Actually, if programmers could always make decisions that carefully balanced short-term and long-term priorities, ..
コメント:priorities のかかりかたが変。
試訳:実際、プログラマがいつも短期的な優先順位と長期的な優先順位を注意深くバランスした決定を行えるなら、

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番号:143-1
訳文:プログラムが実行しても、コミュニケーションのコンポーネントがまだ残っていれば、終わりではない。
原文:
コメント:これだと(TCPスタックとかドライバといった)通信用モジュールを書き忘れていませんか、という話に聞こえる。他人への情報伝達もプログラムと同じくらい大事という話。
試訳:プログラムが動いても、他人に伝えるべき内容で、まだ大事な部分が終わっていないというなら、仕事はまだ終わりじゃない。

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番号:143-2
訳文:意図をよりよく反映させるシステムの名前を見つける。
原文:You find a system of names that more accurately reflects your intent.
コメント:a system of names であって the name of a systemではない
試訳:意図をよりよく反映した命名方法を見つける。

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番号:143-3
訳文:もちろんそれ以外の何ものでもない。
原文:It is anything but.
コメント:逆だって。XPは完全主義の対極にある、という話。
試訳:そうであろうはずがない。

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{{{

番号:143-4
訳文:言いかえると、マニアックなプログラマはたいてい話が苦手である。
原文:Perhaps I should state this less equivocally -- nerds aren't generally good at talking.
コメント:
試訳:もっと直截に言ったほうがいいだろう -- オタク野郎は、概して話ベタなのだ。

}}}
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番号:143-5
訳文:プログラムを合理的に書かなくてはいけない。
原文:you have to be able to program reasonably well.
コメント:reasonably と rationally を間違えたか? reasonably が副詞として修飾するのは program ではなく well
試訳:プログラムだって、そこそこうまく書けるようになっていないといけない。

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番号:144-1
訳文:何よりも、ユーザの立場とはプロジェクトをコントロールするのではなく、プロジェクトに影響を与えることだと認識しないといけない。
原文:Most of all, though, you have to become comfortable influencing a project without being able to control it.
コメント:become comfortable ~ing は、「認識」ではなく「習熟」。
試訳:しかし何にも増してユーザは、プロジェクトの管理を行うことなく、プロジェクトに影響を与える術を、難なくこなせなくてはいけない。

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番号:144-2
訳文:チームの集合と能力
原文:the composition and capability of the team
コメント:
試訳:チームの構成と能力

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番号:144-3
訳文:これらすべてがソフトウェアがどのように納品されるかに巨大なインパクトを与える。
原文:... all of these have a huge impact on what software gets delivered.
コメント:how と what を間違えた?
試訳:これらすべてが、納品されるソフトウェアがどのようなものになるかを、大きく左右するのだ。

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番号:145-1
訳文:あなたは最善をつくせるようになるだろう。
原文:so that they can do their best for you.
コメント:逆だって。
試訳:チームはあなたのために全力をつくすだろう。

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番号:145-2
訳文:最良のユーザとは、開発中のシステムを実際に使い、問題点に対してある見解を持っている人々である。
原文:The best customers are those who will actually use the system being developed, but who also have a certain perspective on the problem to be solved.
コメント:
試訳:最良のユーザとは、将来その開発中のシステムを実際に使うことになる、問題点に対してある見解を持っている人々である。

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番号:145-3
訳文:あなたがそのようなユーザだとしても、開発プロジェクトはいつもこのように終わっているからという理由だけで、本質的な品質改良のために解決策を探しているわけではないとしたら、気をつける必要がある。
原文:If you are one of these customers, you will have to be aware of when you are thinking a certain way because that is how things have always been done, rather than because of some essential quality in the problem.
コメント:誤訳とは言い切れないが、どうにも意味を取りにくい。
試訳:あなたがそのようなユーザなら、気をつけなくてはいけないことがある。それは自分が、「これがいつものやり方だから」というだけである決まった考え方をしてしまい、問題点の本質をつかんだうえでそう考えたのではない、ということになっていないかどうかだ。

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番号:145-4
訳文:実際にシステムを使うことから1歩か2歩退いてしまったら、その分本当にユーザが求める機能を理解するためによけな仕事をすることになるだろう。
原文:If you are a step or two removd from acturally using the system, you will work extra hard to be sure that you accurately represent the needs of the real users.
コメント:If you are .. removed は動作ではなく状態。「よけいな」はよけい。ていうかhardを修飾しているのだから..
試訳:一方、あなたはその一歩か二歩手前にいて、実際にシステムを使うわけではないというなら、自分が実ユーザの要求を正しく代表しているんだと言えるために、よりいっそう努力する必要がでてくるだろう。

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番号:145-5
訳文:フォームに基づいたプログラム(例えばワークフロー)
原文:Programs with a formulaic basis (like workflow, for example)
コメント:
試訳:定型処理を行うプログラム(例えばワークフロー)

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番号:146-1
訳文:テストの責任の多くはプログラマの両肩にかかっている。しかしXPチームにおけるテスタの役割は実際にはユーザに焦点が向けられている。
原文:Since a lot of testing responsibility lies on the shoulders of the programmers, the role of tester in an XP team is really focused on the customer.
コメント:接続詞が変。テスト作業の全責任のうち、プログラマが背負う分を引いた残りはテスタの責任となるが、それは必然的にユーザとの関連が強い部分となる、という話。
試訳:テストの責任の多くがプログラマの両肩にかかっているため、XPチームにおけるテスタの役割は、実際にはユーザのほうを向いたものとなる。

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番号:146-2
訳文:XPのテスタは外部からあてがうべきではない。またシステムをひんぱんに止めたり、プログラマに恥をかかせるような人であってもならない。
原文:An XP tester is not a separate person, dedicated to breaking the system and humiliating the programmers.
コメント:テスタはテストだけやる(dedicated)のか他の作業もするのか、という話。チームにとっての外部かどうかは関係ない。
試訳:XPのテスタには、システムを壊してプログラマに恥をかかせることに専念するような一個人を割り当てるわけではない。

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番号:146-3
訳文:トラッカとは、チームの象徴である
原文:As a tracker, you are the conscience of the team..
コメント:conscience が抜けている。
試訳:トラッカとは、チームの良心の象徴である

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番号:146-4
訳文:あなたの推測がどの位正確に現実と直面するか気づかないといけない
原文:.. and then notice how reality conformed to your guesses.
コメント:現実と「直面」する? confront と conform を見誤ったか。
試訳:現実があなたの推測にどれほど当てはまるか、把握していないとだめだ。

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番号:147-1
訳文:しかし質問から逃げている人の首根っこを捕まえるような真似はできない。
原文:But you can't be such a pain in the neck that people avoid answering you.
コメント:じゃあ質問しなくていいの?
試訳:とはいえ、みんながあなたへの回答を避けるようになるくらい、うるさくやりすぎてもいけない。
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番号:147-2
訳文:次の2週間では2週間分の仕事しかできず、それ以上でもそれ以下でもないことを思い出させる。
原文:remembering that in the next two weeks you can only get two weeks' worth of work done or less, and either two weeks's worth is enough or it isn't.
コメント:remember だけで「思い出させる」と使役として使う用法はない(辞書では<古>扱い)。自分が冷静である理由を延べているのだから、「(事実を事実として)受け入れる」ことを意味する。
試訳:次の二週間でこなせる量は、二週間分かそれ以下の仕事量でしかないこと、そして二週間分の仕事量で間に合うか間に合わないか、二つに一つであることを、受け入れる。

}}}
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番号:147-3
訳文:上手にそして間接的に仕事をするということである。
原文:.. that you work best when you work indirectly.
コメント:best と indirectly とを同格に並べてはいけない。
試訳:間接的に行うことが最高の仕事だ、という事実である。

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番号:148-1
訳文:しかしながら、時には、不備を直接指摘しないといけないときもある。
原文:Sometimes, however, you must be direct, direct to the point of rudeness.
コメント:to the point of の処理がおかしい。訳抜けしたか、「不備を..」と誤訳したか。
試訳:しかしながら、不作法と取られるくらい直截なものいいをしなくてはいけない時もある。

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番号:148-2
訳文:あなたがもしコンサルタントなら究極に働くことに慣れていない。
原文:Chances are, if you are a consultant you won't be used to working extreme.
コメント:誰だって慣れないだろうよ
試訳:あなたがもしコンサルタントなら、エクストリーム流に働くことに慣れていない。

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番号:148-3
訳文:あなたはチームがやっていることをある程度懐疑的に眺めることが可能である。
原文:You are likely to view what the team does with a certain amount of skepticism.
コメント:可能であるかどうかの話ではない。蓋然性の高さを言っている。
試訳:おそらくあなたは、チームがやっていることに、小さからぬ懐疑の目を向けることだろう。

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番号:150-1
訳文:上司がチームを止め、何をしようとしているか見るときである。
原文:That's when the team is relying on you to make them stop and take a look at what they are doing.
コメント:「見る」のは誰?
試訳:上司がチームを立ち止まらせて、チームに自分たちがやっていることを確認させる時である。

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番号:150-2
訳文:上司の役割、スキルを...
原文:You got to your position for a reason. The team wants to put that skill ...
コメント:一行訳抜け。
試訳:あなたがその地位に付いたのも、故無きことではないはずだ。そのスキルを、...

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[第二十三章]
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番号:151-1
訳文:20-80ルールを信頼してできるだけ能率的に活用する。
原文:rely on the 20-80 rule to defer optimization.
コメント:
試訳:20-80ルールを信頼して、最適化を後回しにする。

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[第二十四章]
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番号:153-1
訳文:個々の実践はブルーカラーのプログラマによって実行されるが、
原文:Even though the individual practices can be executed by blue-collor programmers,
コメント:
試訳:個々の実践はブルーカラーのプログラマでも実行できるが、

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番号:154-1
訳文:挑戦するためにはあなたの価値体系を変えないといけないかもしれない。
原文:The challenge is that you may have to change your value system.
コメント:challenge は困難。
試訳:困難なのは、あなたの価値体系を変えないといけないかもしれない、ということだ。

}}}
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番号:154-2
訳文:とはいえ、私はいつもこのように感情的にプロジェクトを進めてきたわけではない。
原文:If this makes XP sound like a Big Sur, touch-feely, brandy-sipping, hot-tubbing experience, well, I don't think of it that way.
コメント:難解。しかし訳文のように訳して良いわけではない。第一、原文が過去形でないのに「進めてきたわけではない」とは訳せない。あくまでXPというプロセスそのものの性質について、著者の現在の考え方を述べている。
リーダーズプラスをひくと、Big Sur は「リゾート地」、touchie-feelie は「人間関係を良くするための感受性訓練」、brandy-sipping は「ブランデーをなめなめ」、hot-tubbing は「温水浴槽」と出てくる。
このことから、XPを、単に「慰安旅行」や「イベント」や「うわべのにこやかさ」といった、プロジェクトと関係ないところでの感情的高揚=「盛り上がり」によって、プロジェクト本体のつらさから目を背ける装置だと考えられては困るのだ、という著者の見解が浮き上がってくる。
この後で、感情の偽りのない表明が、プロセスの円滑な運営にかかせないという話をしているので、この文はそれにつながるような訳にする必要がある。
試訳:こう聞いて XP のことを、リゾート地に出かけたりするような体験、「対人関係トレーニング」みたいな体験、ブランデーを一杯きこしめたり、熱い一風呂を浴びたりしてくるような体験だと思ったのなら、それは違うと言っておきたい。

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番号:156-1
訳文:最終的に難しい点、XP が成功しない理由は多くの企業文化ではハンドルさばきが十分ではないということだ。
原文:A final difficulty, and one that can easily sink an XP project, is that steering is just not acceptable in many company cultures.
コメント: not acceptable は「十分ではない」とは訳せない
試訳:最終的に難しい点、XP が成功しない理由は、「ハンドルさばき」という考え自体が多くの企業文化では受け入れられないということだ。

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[第二十五章]
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番号:157-1
訳文:国際間の文化ではなく、
原文:Not national culture,
コメント:
試訳:国ごとの文化を指しているのではなく、

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番号:158-1
訳文:あなたはユーザが管理者に(計画ゲームのような)要求されている内容を理解するためのドキュメントを代わりに要請するだろう。
原文:You will be asking the customer or manager to trade a document that gave them a feeling of control for a dialog (the Planning Game) that requires them to be continuously engaged.
コメント:trade A for B 「A と B とを交換する」 A は a document, B は a dialog という構文が見抜けていない。
試訳:あなたは、ユーザか管理者に対して、彼らの支配欲を満たすだけの「ドキュメント」を渡すことをやめて、彼らを常に巻き込まずにはいられない(計画ゲームのような)「対話」をすることを求めるだろう。

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番号:158-2
訳文:頭のよい人は、時として親密なコミュニケーションや進化し続けるシステムのために「正しく推測」するゲームにうまく参加出来ないことがある。
原文:Sometimes the smart people have the hardest time trading the "Guess Right" game for close communication and continuous evolution.
コメント:「正しく推測」ゲームのほうが居心地がよい人は、XP の勧める「コミュニケーション」や「システム」にうまく移行できないという意味。また trade を誤解している。
試訳:「正しく推測(Guess Right)」した人が勝つというゲームをあきらめ、親密なコミュニケーションや連続的な発展のゲームへと乗り移ることが、頭のよい人には非常につらい、といったことがたまにあるのだ。

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番号:159-1
訳文:これを何とか拡張し、一台の結合マシンで簡単に扱えるようにコードストリームの量を増やさないといけない。
原文:You would have to expand this somehow to deal with more code streams than could easily be accommodated by a single integration machine.
コメント:than could == than the amount of code streams that could be .. という関係が見抜けていない。
試訳:何とかこれを拡張して、一台の結合マシンで簡単に扱える量を上回るようなコードの流れに、対抗しなくてはならなくなるだろう。

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番号:159-2
訳文:ソフトウェアを稼働に回す前に品質管理のサイクルを2ヵ月も経ないなら、成功するのは難しいだろう。
原文:If you have to go through a two-month quality assurance cycle before you can put software in production, you will have trouble learning enough to be successful.
コメント:原文を全く読んでいない。
試訳:ソフトウェアを稼働に回す前に品質管理のサイクルを二ヵ月も通すような環境なら、成功させるために必要な「学習」は十分にできないはずだ。

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番号:159-3
訳文:この場合、あえてテストをしないのは正しい。
原文:In this case, you are absolutely right to trade testing for thought.
コメント:for thought を訳出しよう
試訳:この場合テストの代わりにじっくり考える、という判断は正しい。

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番号:160-1
訳文:地理的に離れている状況では、関連したプロジェクトのチームが限られたイテレーションに従事しているのなら、多分できるだろう。
原文:Geographically separated -- you could probably do this if you really had two teams working on related projects with limited interaction.
コメント:iteration と interaction とをとりちがえたか?
試訳:地理的に離れている状況ではどうか。関連したプロジェクトで働く二つのチームの間に、限定されたインタラクションしかないなら、多分できるだろう。

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[第二十六章]
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番号:161-1
訳文:典型的なビジネスの実践
原文:common business practices
コメント:実践かなぁ
試訳:よく見られるビジネス上の慣行

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番号:161-2
訳文:固定価格契約を絶対に守ろうとすることが
原文:with running a fixed price contract extreme.
コメント:extreme は「XP流に」という副詞
試訳:固定価格契約でXP流を実践することが、

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番号:162-1
訳文:XPはさらに短いリリースを導入する。
原文:Another difference XP introduces is caused by small releases.
コメント:「導入」されるものは「違い」であって「リリース」ではない
試訳:XPがもたらす、また別の違いは、「短いリリース」によって引き起こされるものだ。

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番号:162-2
訳文:チームとユーザーは共に楽しく仕事ができる。
原文:The team could come live with the customer or the customer could come live with the team.
コメント:楽しい話ではない。前文で"if you really wanted" とあるように、本来はXPとoutsourcing の相性は良くない。
試訳:チームがユーザーの元に行くか、ユーザーがチームの元を訪れるかするのだ。

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番号:163-1
訳文:ユーザーから技術者をチームのメンバと徐々に入れ替えたらどうだろうか。
原文:What if you gradually replaced the members of the team with technical folks from the customer?
コメント:間違いではないが、意味が取りにくい。
試訳:チームのメンバを、ユーザー側から来た技術者でもって徐々に置き換えたらどうだろうか。

}}}
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番号:163-2
訳文:プログラムをサポートし、開発を続けることができ、労働はゆったりしている
原文:ready to support the program and continue development, albeit at a slower pace
コメント:ゆったりするな。
試訳:進展は遅くなるとはいえ、プログラムをサポートし、開発を続ける準備が整う。

}}}
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番号:164-1
訳文:時間と成果物
原文:Time and Materials
コメント:material は「原料」ではないか?定訳語があるかどうか不明。自信はないが、人月計算に基づいた契約の話だと思う。
試訳:人月計算による契約

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番号:164-2
訳文:プロセスの残りは記述形式で進められる。
原文:The rest of the process works as described.
コメント:「記述形式」って何?ここでは、支払額の計算が「人月」方式で行われることを覗けば、後は普通のXPと同じ、ということを言っている。
試訳:それ以外は、今まで説明してきたプロセス通りに行う。

}}}
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番号:164-3
訳文:完全報酬とペナルティの両方がXPと共に使われる場合の注意点は計画ゲームがプロジェクトのスコープを頻繁に変更することが避けられないということである。
原文:one feature of both completion bonuses and penalty clauses to watch for when used with XP is that the Planning Game inevitably results in changes in the scope of the project.
コメント:両方でなく片方の場合だけでも成り立つ。
試訳:完全報酬の条項、またはペナルティの条項をXPプロジェクトで用いる場合に、気をつけるべき点が一つある。それは、計画ゲームがプロジェクトのスコープを変更することが不可避だということだ。

}}}
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番号:164-4
訳文:...プレゼントがきちんと全部あるかどうかなんて数えないだろう。特に、ユーザ自身がプレゼントに変わるものを自分自身で作ってしまったとしたら。
原文:...., especially if the customer has made the substitutions themselves.
コメント:「プレゼントに変わるもの」ではなく、最初のお願いに変わるものを substitution と言っている。
試訳:ユーザ自身が心変わりをした場合はとくにそうだ。

}}}
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番号:165-1
訳文:供給者への埋め合わせとして短期に新しい契約を見つけることができるように追加費用を支払う必要もあるかもしれない。
原文:perhaps with an additional payment to compensate the supplier for having to find a new contract on short notice.
コメント:見つけることができるように、ではない。見つけなくてはいけないことに(for having to find)補償を出す、と言う話
試訳:供給者は、別の新しい契約を短期に見つけなくてはならなくなるので、補償として追加費用を支払う場合もあるだろう。

}}}
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番号:165-2
訳文:計画ゲームでそのフレームワークがサポートを想定しているアプリケーションを実際に構築するプログラマがビジネスを演じる。
原文:In the Planning Game, Business would be played by a programmer who had acually built the kind of applications the framework was supposed to support.
コメント:
試訳:計画ゲームでは、そのフレームワークがサポートするはずのアプリケーションに似たものを、実際に作ったプログラマーにビジネス側を演じてもらう。

}}}
{{{

番号:165-3
訳文:Deprecation(廃止予定)をすると、機能が将来は廃止されることをある程度ユーザに警告し、しばらく2つのインターフェースを生かせ続けながら、フレームワークのインターフェースの改良を続けないといけない。
原文:Deprecation, where you give customers a certain amount of warning of the impending demise of a feature, lets you continue evolving the interface of the framework at the cost of keeping two intterfaces alive for a while.
コメント:複文の処理がめちゃくちゃ。また、lets you V は「~といけない」にはならない。
試訳:Deprecation(非推奨)とは、その機能がゆくゆくは廃止されることをある程度ユーザに警告することである。これを使えば、しばらくの間は二本立てにならざるを得ないとはいえ、フレームワークのインターフェースの改良を続けることができるようになる。

}}}

[第二十七章]
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番号:167-1
訳文:そういう意味ではXPは私が作り出したものであるから、ある程度私の不安を反映している。
原文:To the degree that XP is my baby, XP reflects my fears.
コメント:間違いではないが、XPが個人崇拝で無いようにしたい、というKentの意志を汲んでみたい。
試訳:XPを「私の子供」と呼べる程度には、XPには私の不安が反映されている。

}}}
{{{

番号:167-2
訳文:特にこれらは恐るべきことで、避けるためには熱心に働くしかないと言われ続けるような環境では。
原文:... especailly with so many voices crying that these were exactly the things I should be afraid of, the things I should work very hard to avoid.
コメント:work hard の処理がおかしい。
試訳:特に、これらは恐るべきこと、なんとしても避けるべきことだと四方から言われ続けるような環境では。

}}}
{{{

番号:168-1
訳文:四隅を注意深く覗き、
原文:peeping carefully around corners..
コメント:そんなとこ覗くな。
試訳:角を曲がる前には注意深くのぞき見をして、

}}}

[解説付き参考文献]
{{{

番号:171-1
訳文:明らかに絶望的な状況下で、前進するためのモデルケースを考えて楽しむ。
原文:Entertaining examples of proceeding under apparently hopeless circumstances.
コメント:entertaining は形容詞。
試訳:どうみても絶望的な状況下において前進することの、痛快な実例。

}}}
{{{

番号:172-1
訳文:新しく出現するプロセス
原文:Emergent Process
コメント:定訳語?
試訳:創発的なプロセス

}}}
{{{

番号:179-1
訳文:分析的決定をするための共通言語
原文:A common vocabulary for making analysis decisions.
コメント:「分析的」は analytic. 総合的・分析的の区別を述べているわけではない。
試訳:分析上の決定を行うための、共通言語

}}}

}}}

(了)