Date:  Wed, 30 Apr 2008 17:15:47 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部: 2008-17号】
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                          No.233 2008/04/30

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┣【Topics】いよいよ明日開催! 「受託開発とエンジニアの幸せ」
┣【イベントレポート】デブサミ[Test]レポート
┗【プログラミング】DOS窓を知らない子供たち [1]

〇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━T o p i c s━
 〇 いよいよ明日開催!  「受託開発とエンジニアの幸せ」
      トークイベント&懇親会開催のお知らせ
  〇 〇━━━━━━━━━━━━━ ━━・ 
いよいよ明日に迫りました。お申込みがまだという方は、急いでくださいね。
「現場」を大切に思う3人の熱いトーク。お楽しみに!

≪トークイベント≫
タイトル : 「受託開発とエンジニアの幸せ」刊行記念トークセッション
日  時 : 5月1日(木) 19:00〜
会  場 : ジュンク堂書店 池袋本店 4F喫茶スペースにて
お申込み : ジュンク堂書店池袋本店にて
       1階 案内カウンターにて。電話予約可。
定  員 : 40名
講演予定 : 岡島幸男、天野勝、角谷信太郎
詳  細 : ジュンク堂書店
      http://www.junkudo.co.jp/newevent/talk-ikebukuro.html

≪懇親会≫
日  時 : 5月1日(木) 21:00〜
場  所 : 個室・炉端料理 かこいや 池袋東口店
       http://r.gnavi.co.jp/kakoiya8/
参 加 費 : 4,000円
お申込み : 下記ページからお願いします
http://chosuke.rumix.jp/main.aspx?id=1LKSJ6cGsmIzCEGJUs5IhjPCjy2xmCZU

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┗【イベントレポート】デブサミ[Test]レポート 
            ― デブサミとテストのフュージョン

こんにちは、オブジェクト倶楽部のガマの油のガマガエル、やっとむです。
ガマガエルがたらーりたらりとかいた汗、これを煮詰めたのがガマの油。
やっとむも、発汗系入浴剤で爆汗かいてダイエッツ!煮詰めたらなんになる?

2月に開催されたDevelopers Summit通称デブサミ[*1]、このデブサミのテスト
特集イベントである「Developers [Test] Summit 2008」[*2]が先週水曜日、
4月23日に開催されました。オブジェクト倶楽部および日本XPユーザグループ
もオフィシャルコミュニティとして参加させていただいています。[*3]

テスト、とは言いつつも実は、テスト技術について真剣に論じるというのとは、
ちょっと違うイベントだったと感じています。参加者は250名、開発寄りの人
と品質保証寄りの人が、半々程度だったようです(パネル開始時に会場に質問
して、挙手しました)。いわゆるテストの専門家という人は、比較的少なく、
現場でテストについて悩んでいる人が大半だったのではないでしょうか。

セッションの内容ですが、最初のセッションはなんとアジャイル事例報告。品
質の話題にも触れつつ、アジャイル手法をいかに導入したか、壁をどう乗り越
えてきたか、プラクティスや人の問題を中心とした発表でした。テスト技法の
話を聴きに来たつもりの人は、ビックリしたかもしれません。

続く3セッションではテストの技術や管理的側面から、ツールの利用方法も交
えながらの講演がありました。最終セッションのパネルディスカッションでは
しかし、「今日ここまでは、テストの王道の話。しかし現場で本当にテストを
するためには、どうすればよいのか」という問題が提起されます。

パネリストのひがやすをさんは「テストはコスト。コストは削減すべき」そこ
でと、Programming First Development(PFD)の考え方を紹介します。[*4]ユ
ニットテストを書かないことで(テストの)コストを減らす、そのためにできる
ことは何か。まずプログラムを書いてしまい、ユーザと確認しあって仕上がっ
たものを仕様化する。QA的テストをおこない、バグがあったら、その部分に集
中してユニットテストをすればよい。これがひがさんの提示した、ひとつの解
でした。バグは偏在する。[*5]この現実を、コストダウンに利用しようという
わけです。

その大胆発想には、パネリストの太田さんや和田さん、また会場からもツッコ
ミが殺到。いろいろな疑問点や問題点、適用が難しい状況が指摘されます。仕
様の不整合が起きないか、大規模でどう役割分担するのか、優秀な人にしかで
きないのではないか。[*6]私自身も、これはスゴい!と思いつつ、頭に疑問符
がいっぱい浮かびました。

しかし、そこにこそ今回の“デブサミ”の妙味があったと思うのです。

今日の最初のセッションは、アジャイルの事例紹介でした。アジャイルプロセ
スを導入し、受け入れられず、組織や文化に合わせて調整し、また問題が起き、
それをまた工夫していき、最初に目標としていた生産性や品質、また人の課題
を解決し、成果を上げたという事例でした。

品質保証についても、たとえばPFDという新しいやり方を導入して、失敗しな
がらも改善を積み重ねる。目標に一歩ずつ近づいていく、そんなアプローチが
できるはずです。そうやって目標を達成できる組織が勝ち組になれるのでしょ
う。今日のセッションの組み合わせで、“デブサミ”なればこその、異なる立
場の考え方が参加者の頭の中で交じり合って、なにかの化学反応、フュージョ
ンが起きたのではないでしょうか。[*7]

詳しい内容については、他のところでレポートやパネリストのブログなど、す
でにあちこちで語られているので、そちらを紹介しておきます。[*8]具体的に
どのような意見があったのかなど、参考にしてください。(やっとむ)

[1] : http://codezine.jp/devsumi/2008/
      ちなみに期間限定で資料公開中です。
      http://codezine.jp/devsumi/2008/data/index.html
[2] : http://codezine.jp/devsumi/2008/test/
[3] : http://codezine.jp/devsumi/2008/test/sponsor.aspx
[4] : 極力ユニットテストを書かずに品質を確保する方法(ひがやすをblog)
      http://d.hatena.ne.jp/higayasuo/20080423/1208922541
[5] : 「再作業の例がパレート分布に従う傾向がある」
      「ソフトウェアの検証と確認の活動を…リスクの高い問題を識別し除去す
       ることに集中すべき」
      (ソフトウェアコストの理解および制御、Barry W. Boehmら、1988、
     「ソフトウェアエンジニアリング論文集80's」所収)
[6] : 最後の指摘は、アジャイルについてもよく聞かれるものですね。
      アジャイル勘違い集 - デキる人じゃないと無理?
      http://www.ObjectClub.jp/technicaldoc/xp/agile_misunderstanding#q2
[7] : 品質保証とアジャイルを直接組み合わせても、あまり相性はよくないと思
      います。XPなどのプロセスにも、品質の向上や確保につながるプラクティ
      スはあっても、品質保証についてはほとんど触れられていません。品質保
      証はやはり、工学的な手法が有効な部分でしょう。手法を改善するにはア
      ジャイル的原理も使えますし、PDCAやカイゼン活動も有効なはずです。
[8] : 「テストをすべきなのは知っているが,現実にはできない」という現場の
      状況をいかに打破するか,気鋭のソフト開発者とテスト技術者がパネル討
      論(ITPro)
      http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080424/300072/
      デブサミ [TEST] 2008、「現状を変えるには新しいことをやるしかない」
      (CodeZine)
      http://codezine.jp/a/article/aid/2462.aspx
      Developer [Test] Summit 2008 のパネルディスカッションの司会兼パネ
      ラーとして参加させていただきました(t-wadaの日記)
      http://d.hatena.ne.jp/t-wada/20080423/p1
      [event]Developers[Test]Summit2008(Road to NAgiler)
      http://d.hatena.ne.jp/kumat/20080424
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┗【プログラミング】DOS窓を知らない子供たち [1]

はじめまして、久保秋といいます。
普段は株式会社アフレルで企業向けの研修をしています。一昨年から大学で情
報系の学部3年生を対象に、インターネット・プログラミングという講義の非常
勤講師をしています。

講義を受け持つのは初めての体験。緊張もあって欲張って準備してしまいまし
た。ところが、いざ講義が始まってみると、私の想定していない発見や困った
ことに遭遇します。そのいくつかを紹介しましょう。

●C言語が…
講義ではネットワークの基礎やTCP/IPの解説もしますが、どちらかといえばソ
ケットを使ったプログラミング演習が中心です。ソケットといえば、Unixライ
クなOSでは標準入出力やプロセス間通信と並んでシステムブログラミングの重
要なお題の一つ。
彼らも1、2年でUnix環境とC言語を学んでいるとのこと。ならば、やっぱり使う
のはC言語でしょう!

と、そこで3年生の学生と話してみると…、

私:「どんな環境で演習したの?」
学:「え?VCですよ。」

私:「ポインタ使えるようになった?」
学:「いやー、そいつは鬼門でしょう。」
私:「・・・。」

私:「構造体は?」
学:「あー、名前は聞いたことありますねぇ。」
学:「講義で説明あったか…な?」
私:「・・・。」

といった感じです。

うーん、これには困りました。C言語でソケットを扱うには、構造体や構造体へ
のポインタを使わないわけにもいきません。また、送受信するデータは基本的
に文字列なので、文字列の操作もできなければならないわけです。

いろいろ思案しましたが、結局Rubyを使うことしました。TCPSocketなどの基本
的なクラスがありますし、文字列操作も得意ですからね。

でも、C言語を勉強するなら、もうちょっとがんばってほしいなぁ・・・。
プログラムはデータ構造とアルゴリズムでできているわけで、構造体や文字列
が使えないとプログラムは作れないよー。>学生諸君

●DOS窓が…
演習ではLinuxマシンを使ってみようと思いましたが、授業で使えるのは
Windowsマシンだけ。実はVM Wareで動作するLinuxも用意されていたのですが、
他のPCとは接続できない設定になっていました。
「これではサーバーアプリケーションを作成しても、学生同士が接続して試す
ことができない。」ということで断念。
そんなこんなのうちに言語をRubyに決めたので、Windows用のRubyを使うこと
になりました。

大学も安全対策に大変だと思いますが、もうちょっと実験できるように環境を
考えてほしいなぁ。
学生は試して失敗してみて、初めてその考えや技術の必要を悟り学ぶのじゃぁ
ないかなと。

問題はここから。
ECHOだのHTTPといったアプリケーション・プロトコルを、telnetコマンドを
使って体験させようと思いました。

ところが、

私:「コマンドプロンプト開いてー。」
学:「えー、なにこの真っ黒な画面。」
学:「これってWindowsのデバッグ用じゃないんすかー?」
私:「そっかそっか、みなさんはDOS窓はお使いにならないのですね・・・」

とまぁ、そんな感じです。
さらに聞いてみれば、ファイルシステムが木構造なことも、フォルダとディレ
クトリが同じものを指すことも、ましてやコマンドラインのコマンドなんて!
という世界です。
Rubyを使うことにしてC言語の講義に化けるのを回避したのに、OSの講義みた
いになっちゃいました。

私、「全部GUIなツール群で演習したほうがいいですか?」って考えましたが、
旧人類ゆえそれもできず、dir、cdといったコマンドから教えたわけです。

でも、OSの講義とったというなら、もうちょっとわかっててほしいなぁ・・・
大多数のプログラムは裏方の仕事をするわけで、それにはしくみがわかってい
ないとね。できあいのアプリケーションの使い方に習熟するだけでは情報系の
学生とはいえないよー。>学生諸君

●おわりに
読者の中には学生もいらっしゃるのでしょうか?みなさんのところはどうです
か?私が体験したのがたまたまの状況ならよいのですが、なんだかとっても心
配なんです・・・つづく。(久保秋 真)
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┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

今週は「一番お金を投資しているものは何ですか?」のホントのところ。一番
お金をかけていて、且つ時間をかけているものが「好きなもの(こと)」という
定義という考え方を知りました。皆さんは心当たりありますか?さて、今週は
読者の皆さんが一番お金を投資しているものについて聞いてみたいと思います。
あなたがこれまでに、一番お金を投資しているものって何ですか?

  仕事関係(セミナーの参加や書籍や必要器具の購入など)。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=198&choice=0
  趣味(スポーツ、娯楽、芸術の鑑賞、コレクションなど)。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=198&choice=1
  装飾品(アクセサリー、時計、洋服など)。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=198&choice=2
  人(お付き合い、プレゼント、それにまつわる飲食など)。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=198&choice=3
  食事(食べ物、飲み物など)。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=198&choice=4
  健康(健康食品、サプリメント、トレーニング)。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=198&choice=5
  学習(仕事以外で自分にとって必要な学びのための費用)。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=198&choice=6
  それは秘密です。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=198&choice=7
  ちょっと語らせて!
     詳細をこのメールに返信ください!!

アンケート結果はオブジェクト倶楽部サイト上にて公開します。お楽しみに。
なお、前号「あなたのリーダーのリーダーカラーは?」の結果は公開中。ぜひ
ご覧下さい。
⇒http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vol197/PlonePopoll_results2
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■
┗編集後記

こんにちは、編集人です。ゴールデンウイークですね。皆さんはどんな風に過
ごしますか?オブジェクト倶楽部のスタッフは、トークイベントに!夏イベン
トに!といろいろとイベントが目白押し。イベントは毎回生ものなので、いろ
いろとアクシデントもつきもの。しかし、そこで毎回すごく学ぶんですよね。
仕事にも活かせることが沢山あります。だから、やり続けてきたのだと思います。
今年の夏イベントは7月1日。そろそろねじりハチマキで頑張らないと!

■さて、オブジェクト倶楽部カレンダーの5月分の電子データを公開します。
5月は「バーンダウンチャート」です。プロジェクトファシリテーションの中で
も「全体進捗は、『バーンダウンチャート』で見える化、繰り返しのリズムづ
くり」ということで紹介されています。
(参考)プロジェクトファシリテーション プレゼンテーション[最新版]
http://www.ObjeCtclub.jp/community/pf/

カレンダーのダウンロードはこちらから。
http://www.ObjectClub.jp/special/#calendar
(上田雅美)

今週の強引な一言
*** 「ガンダムの性能を当てにしすぎる。戦いはもっと有効に行うべきだ」
                                                 (ブライト・ノア)***
設計、テスト、進捗管理、バージョン管理、バグ管理、そしてソースコードの自
動生成。最近ではシステム開発をサポートし、効率を高める様々なツールがあり
ますが、それは果たしてプロジェクトを成功させるための銀の弾丸たりえるので
しょうか。
圧倒的な性能を持つガンダムであっても、その性能を活かすためにはパイロット
のアムロの成長が必要だったように、ツールや手法もそれを使う人が居て初めて
成り立つものですから、その運用にはチームメンバーとその成長が必要なのでは
ないでしょうか? (dot.)
出典 : 機動戦士ガンダム 第2話

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● ご意見、ご感想は         ⇒このメールに返信ください
〇 配信中止、アドレス変更は ⇒http://www.ObjectClub.jp/community/object_ml/help/
〇 免責事項、過去の記事は   ⇒http://www.ObjectClub.jp/community/object_ml/
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