Date:  Wed, 01 Mar 2006 15:05:18 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部: 2006-08号】
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                          No.129 2006/03/01

■ I N D E X
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┣【Topics】要求開発サミット2006 3月17日に開催!
┣【ツール】世界初のアプリケーションサーバと、
┃          それに影響を受けたプロダクト(2)
┣【キーワード】知ってるようで分からないビジネスワード勉強会[26]
┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

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┗【ツール】世界初のアプリケーションサーバと、
            それに影響を受けたプロダクト(2)

前回は主題とはあまり関係のないアップルヲタの話題ですいませんでした。今
回はちゃんとWebObjectsについてふれていきたいと思います。WebObjectsの歴
史を簡単に振り返っておくと、誕生は1996年春で、NeXTから世界初のアプリケー
ションサーバとして、その価格なんと5万ドル[*1]で発売されました。この時、
社名はNeXT ComputerからNeXT Softwareに変更され、ジョブスは社員に
「Internet Company」にするとメールしたそうです。結果ジョブスはその後の
インターネット社会の未来を見据えていたわけです。その当時はアプリケー
ションサーバという概念さえなく、C言語などによるプログラミングが一般的だっ
た時代です。

当初の開発言語はObjective-Cベースだったのですが、1997年よりJavaベース
[*2]で開発できるようになっています。WebObjectsは海外を中心に大手企業の
サイト実績もあります。これらの実績情報は公式サイトから入手することがで
きますが、もっとも身近な所ではアップルコンピュータのアップルストア、.Mac
などの自社のオンラインサービスをはじめ、iTunes Music Storeといったとこ
ろまでWebObjectsで構築されているのです。こんな素晴らしいサイトが(簡単に)
作れるならすぐ使ってみたい!と思いますよね。

でも何故かWebObjectsは日本での実績が少ないように思います。これは日本語
の情報が少ない(少なかった?)とか様々な要因があったかと思うのですが、日
本ではSIとAppleという関係が直感的ではなかったからではないかと思います。
AppleといえばMacでメディア関係とか芸術関係という印象が強いからと思われ
ますが、ちゃんとビジネス向け製品だってやっているのです。ただその悪循環
に輪をかけて最新のバージョンでは残念な事に開発環境がXcodeとの総合開発環
境となり開発はMac OSX上でしかできません[*3]。

ところでWebアプリケーションサーバって何???

と思ったことがある人はいませんか?この記事を書こうと思ったときその範囲
が気になりました。WebアプリケーションサーバでググってみるとIT用語集のよ
うなところに当たる事が多いのですが、大体のところ「ユーザからの要求を受
け付けてバックエンド(データベースや業務システム)に橋渡しする機能を持っ
たミドルウェア」といった表現が多いようです。もっとすごい定義があるのか
と思っていたのですが、ちょっと拍子抜けしました。

早速この定義とWebObjectsの特徴[*4]と照らし合わせてみます。
・アプリケーション開発をすばやく
・サービスを動的にビルド
・データアクセスを自動化
・シームレスなページ生成
・手軽な運用

すると単に用語ベースでアプリケーションサーバと呼ぶだけであれば「データ
アクセスを自動化」の中に書いてある「特定のデータベースに依存せず、複数
のデータベースへの同時アクセスが可能」という部分だけでも良さそうですが、
WebObjectsが当初あの価格でも支持され、現在も海外を中心に根強いファンを
持つのには理由があり、それがいまだに他フレームワークの手本とされるほど
の完成度ならびに生産性が高いフレームワークとして知られている所以でもあ
るのです。その理由は徹底したオブジェクト指向、強力なデータべース接続、
高速プロトタイピングを可能とするツール・コンポーネント群を持っている事
で、上記の特徴で言うところの「データアクセスの自動化」と「Webページ生成
の合理化」に関連しています。

ではこの2つについて簡単に紹介しておきます。まず「データアクセスの自動化」
ですが、WebObjectsを使うと既存データベースへの接続に関してSQLやJDBCを記
述してプログラムを作ることはありません。全てGUIベースでオブジェクトと関
連付けでき、ECサイトや企業システムに必要なトランザクション管理も全て自
動的に処理されます。そういう技術なら聞いた事があるぞ!という人も多いと
思いますが、最近のO/Rマッピングフレームワークはこの考え方に影響を受けて
いるのです。ただし、まだWebObjectsの開発効率を超えるところまではいって
いないようです。

次に「Webページ生成の合理化」ですが、WebObjectsを使うとデザイナーの作業
とプログラマの作業を完全に分離できます。これは常に言われてきたことのハ
ズなのですが、未だに実現されるレベルはjsp程度で、結局デザイナーから上がっ
てきたhtmlをjspに変換したりする作業をしているケースが多くみられます。
WebObjectsではオブジェクトはブラウザを通して直接ユーザが操作するという
概念であり、Webページ表示時には、オブジェクトが設定に応じてHTMLに変換さ
れます。またこれらのオブジェクトを操作するにはhtml上にWEBOBJETCSの情報
があれば良いだけなのでデザイナーが編集したHTMLファイルに手を入れること
はありません[*5]。

そして何でまた今WebObjectsなの?と感じる読者の方がいるかと思います。5年
先の技術と言われたWebObjetcsも今年で発売からちょうど10年となります。し
かし未だにWebObjectsの統合度を越える事はどの製品も達成できていないので
はないかと思っています。そこで10年の節目にもう一度見つめなおしてみる良
い機会なのではないかとこの連載を始めることにしました。しかしなかなかMac
OSX開発環境がない場合も多いので、今回WebObjetcsの特徴を見直し、影響を受
けたプロダクトを紹介することで関連技術を体験する機会を増やそうと考えて
います。

おっと今回はそろそろお時間のようで。。次回はこれらの特徴について詳細に
解説していきたいと思います。(きしだ)

[1]:スティーブジョブスは、当時この価格について私たちの製品は5年先の技術
    を得られるから高くないと言っていたそうです。。。WebObjects 発売から
    1年後の97年、NeXTはAppleに正式買収され2000年には699ドルに大幅値下げ
    され、現在では無償公開(Apple Developer Connectionメンバーに配布され
    るXcodeに同梱)されています。

[2]:2000年のバージョン4.5を最後にObjective-Cでの開発はできなくなってい
    ます。SOPEやGNUstepWebが代替になるようです。

[3]:ただし、まだWindowsやSolarisがサポートされる5.2系の販売は継続されて
    います。

[4]:Apple社の公式サイトの特徴と照らし合わせました。
    http://www.apple.com/jp/webobjects/index.html

[5]:もちろん、こういうタグをこの部分にといった取り決めは必要です。ここ
    では、デザイナーが変換した後のページを編集したり(現実にはなかなかで
    きない)htmlとjspを2重管理する必要がなくなることに注目しています。
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┗【キーワード】知ってるようで分からないビジネスワード勉強会[26]- SOX法

hiroshiです。ここ最近は自分の生活を振返り、その中にあるITに関係するトピッ
クスを扱ってきました。今回は僕の生活の中からは外れて、最近耳にするが多
くなってきた「SOX法」についてご紹介できればと考えてます。それでは「SOX
法」とは何なのでしょうか。

●「SOX法」とは
2002年7月末に可決成立した米国連邦法で「証券法に基づいて作成公開される財
務諸表の精度と信頼性を改善することにより、投資家を保護することを目的と
した法律」です。SOX法の名前は、この法律の短い表題が「Sarbanes‐Oxley Act
of 2002(2002年、サーベンス-オクスリー法:略称SOX法)」であることに由来し
ています。この法律が作られた背景には、エンロン事件をはじめとする米国企
業の会計不祥事の続出したことがあります。そのため米国政府は不正会計を防
ぐことを目的に企業改革法として制定しました。企業改革とは、企業に対して
財務情報の透明性と正確性の確保を求めることで、粉飾決算などの不正会計を
防ぐことを指します。さらには、その仕組みとして「内部統制」の設備・評価
を経営者に義務付けています。簡単に言うと、不正会計を防ぐ為の企業ルール
を作ることと、それを守ることを保障する体制を作ることと言えます。日本で
も同様の法律の草案がまとめられており、「日本版SOX法」として早ければ2008
年3月に施行される見通しです。

●「SOX法」とITの関連
それではSOX法の施行とITはどのように関係するのでしょうか。繰り返しになり
ますが、SOX法を遵守する為には、不正会計を防ぐ為の企業ルールを作ることと、
それを守ることを保障する体制を作ることを指します。それは会計システムに
入力されるデータが作成されるまでの業務プロセスが、内部統制の観点から適
正なものか確認することです。SOX法の遵守は今日では、システムとは切っても
切れない関係があることが分かります。

そのため情報システムそのものや、IT部門の業務がSOX法を遵守しているか、見
直しが発生する可能性があります。例えば経理システムと頻繁にデータをやり
取りする販売管理システムや購買システムなどが、処理を適正に遂行している
か調査し、その結果、適正に処理されていない場合には、システムの改修など
が生じることが考えられます。

●まとめ
実はSOX法は米国企業だけでなく、その連結対象子会社ならびに米国各証券市場
で証券を発行、または発行を予定している日本企業も適用対象となります。

今後、SOX法に関連したお話が多くなると考えられます。このメルマガが小さな
お役に立てたら幸いです。(hiroshi)
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┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

今週は「社内にリフレッシュスペースありますか?」のホントのところ。

開発の現場では1日中ディスプレイに向かったまま、体もほとんど動かさないと
いう人も多いのでは?そんなとき社内にちょっとした息抜きの出来る空間があ
れば嬉しいものです。みなさんの社内や作業場所にはリフレッシュスペースっ
てありますか?

  バッチリあります。
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  あるけど、使えない雰囲気です。
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  ぜひ欲しいです。
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  必要ないです。
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  それは秘密です。
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  ちょっと語らせて!
     editors@ObjectClub.jp まで詳細を!!

アンケート結果はオブジェクト倶楽部サイト上にて公開します。お楽しみに。
なお、前号「初めてプログラム(マクロも含む)を書いたのはいつ頃ですか?」
の結果は公開中。ぜひご覧下さい。
⇒http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vol94/PlonePopoll_results2
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┗編集後記

こんにちは、編集人です。2月からオブLOVE編集室のあるフロアの一角には和風
かつアジャイルの香り漂う空間と銘打って、その名も「和ジャスペース」なる
畳敷きのリフレッシュ的スペースが登場しました!当初は、畳の匂による癒し
の空間を期待していたのですが、到着初日にしてhiroshiが早速お酒をこぼして
シミがついてしまい、ちょっと悲しいです。今はまだ空っぽの空間ですが、事
務局長がそのうち卓袱台を運んできてくれるそうです。早く持ってきてくださ
いね、事務局長〜。

さて、オブジェクト倶楽部4月カレンダーの電子データを公開します。4月のテー
マは「アジャツール」。春から心機一転、こうしたツールの活用もぜひ検討し
て見てくださいね。
http://www.ObjectClub.jp/special/#calendar

今週の強引な一言
***降ればどしゃぶり(ことわざ)***
問題が起きるときって、なぜか立て続けに起きませんか。空模様には文句を言
えないけれど、問題にはたいてい原因があります。もしかしたら、ひとつの原
因からいくつもの問題が湧き出してきているのかもしれませんよ。
(まにわ)

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■ 編集代表:平鍋  健児
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