中藤です。
From: "KURIYAMA, Shigeyuki" <s-kuriyama@....com>
Subject: [XP-jp:04654] Re: アジャイル開発に【自然な役割】は必要? (Re: 「 AnExtremeProgrammingEpisode 」の翻訳版を掲載しました)
Date: Tue, 26 Aug 2003 09:57:52 +0900
> | > > p174
> | > > | 「創発」とは耳慣れない言葉かもしれないが、要するに、何か新しいシステムを
> | > > | 作ろうとする当事者が事前に思い描いた計画や意図とは違う形で、そのシステムが
> | > > | 出来あがっていくことを指す。
> | >
> | > これって複雑系なんでしょうか?
> |
> | ごめんなさい。ちょっとわかりません。
> | 組織の進化論的な話ではあるのですが、本の中には複雑系といった言葉は(見逃し
> | がなければ)出てこないです。
> 複雑系の勉強はしたことがないので分からないですが、「創発」は
> 人工知能的な言葉だったと理解していました。
>
> そのときの「創発」と言う意味は、
>
> 人が意図しなかった仕組みが、ボコボコと湧き出るイメージ
> 英単語にすると emerge という意味。
>
> 以上、ご参考になれば。
私は物理学科だったのに、人工生命(Artifical Life, ALIFE)の文脈で
自己触媒系の定性的性質をコンピュータシミュレーションで解析する、
という怪しげな研究をしてました。(カウフマンの本に出てくる、
A, B, AB, BA ... が線でつながった絵のモデルを使いました。)
人工生命では「創発」が研究方針のキーワードとして取り上げられていました。
生命を「還元」していってみても、分子の化学的反応があるだけで、
その反応を詳しく知ったとしても生命を理解したとはいえないだろう。
そうではなく創発的アプローチで理解しよう。
人工的に起こした複雑な系にも、生命のと同じ法則が働くはずであり、
そういった人工的な系を調べ法則を見つけることで生命を理解していこう。
っていうのですが、具体的にはどうすればいいのかは語られないので
いまひとつ理解できなかった記憶があります。
まあ、だからこそ、その手法の開発も含め研究しよう、ということだった
のだろうと今は思いますけれども。
むりくり XP に引き付けて考えると、従来の手法は、
プロジェクトの内容を徐々に分析・還元していき、
詳細を知ることで理解・制御しよう。
としていたのに対して、XP は
良いプラクティスを組み合わせて良いプロジェクトを創発させ
総体としてバランスをとりながら制御しよう。
ということなのかもしれません。 #適当に言っております。
#思わぬところで昔やっていたことと今やっていることが出会って
#なんか、うれしいので思わず投稿。:)
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中藤 徳和 NAKATO Norikazu @ Qute Corporation.
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