皆様、こんばんは。
奥村です。
少ない盆休みを寝過ごしているうちに
すっかり話題に流されてしまいました。
「適応型ソフトウェア開発」、
実はまだ最後までちゃんとは読めていません。
斜め読み->じっくり読む
で2回読むべし、というのをどっかで読んでやってみたら
じっくり読むまでにえらく時間がかかってしまいました。
# 「複雑系組織論」「収益逓増と経路依存」
# どちらも同じ運命にあります f^_^;
# とくに「収益逓増と経路依存」はチンプンカンプンで
# ちゃんと読める日がくるのかどうか...<何でそんなん買ってんだか
いまようやくちゃんと読みだしはじめられたところです。
この3日でようやく1/3ほど。
これからじっくりと読んでいきたいと思います。
では遅ればせながら混じります。
[XP-jp:04571]赤坂さん:
> ・文章は(ユニークな感じは全くないが、逆に)とても読みやすい。
> ・(複雑系に関わる用語に関する部分[ボリューム:少]) 内容は難しい
> ・ソフトウェア開発の極限状態を、登山に例えた話(メタファー?)は
> とても分かりやすい
> # 奥村さんと私とでは、印象が全く異なりますね(苦笑)
私は2つ目に一番興味があったので、そこを重点的に読んでいました。
...そんなわけです f^_^;
あと、比較対象の対象読者があまりにも違いましたね。
わたしは、「XP入門」「XP実践記」とかほど読みやすくはない
という事を書いていました。何と比べているんだか、ですね。
[XP-jp:04573]山岸さん:
> 訳書の「適応型ソフトウェア開発」を話題に取り上げていただいてありがとうございます。
> この本、なかなかいいでしょう?
とても素晴らしいです。いい本を訳していただいてありがとうございます。
表紙と背表紙が灰色になるまで読み込みます。
# 文庫版とか欲しいです。電車で読みたい。<ありえないって。
[XP-jp:04575]赤坂さん:
> # 私自身はメタという言葉に弱いのですが(^^;;
私もあんまりちゃんとわかってない口なんですが...
思い付いたこのフレーズがあんまりしっくりきたので書いてしまいました。
順番は前後しますがこの話で盛り上がっていたので...
[XP-jp:04574]平鍋さん:
> 生き残れる会社は,3つの価値のうち,どれか一つを決めて,それに注力しないといけない
>
> 1)operational excellence
> 2)product leadership
> 3)customer intimacy
>
> というのが,印象に残っています.
7.6.1ですね。
私のあやふやな理解ですが、
1は、複雑系の世界では常に最適地点が変わるため最適化は不可能
最適化を行うと、変化を起こす柔軟性を失う
そうで、収益逓増経済において最適化は巧く行かない、ようです。
「経営実務面での卓越性」とのことですので、
MSのように一気に市場を支配して自社製品へロックインさせる、
というのもこれに含まれそうな気がします。
そういう意味では最適化経営のみでなく適応型経営も
この価値を追い求めているのではないでしょうか。
適応型経営をここにおくのであれば、
典型はマイクロソフト、トヨタなどでしょうか。
2は、複雑系の世界ではいいものが勝つとは限らない。
のが恐るべきところです。
初期の競争のちょっとした出遅れや、初期購入者の出足の偏り、
あるいは全くの偶然によって勝者が変わってしまう。
それでも「いいものを作り続けている」という評価は
新たな市場を作り出す上でとても大きな優位性になるのでしょう。
ソニーやホンダはこの価値を追いかけるタイプだと思います。
3については、私の考えですが
この方向では市場を支配する、「勝ち」をおさめることは難しい気もします。
新たな市場を作り出すわけではありませんし、
市場を支配するスピードも得るのは困難に思えます。
ですが、「勝ち残る」だけではない、生存競争として考えた時に、
企業の存続を考えた場合、むしろ「勝ち」を追い求める1,2よりも
有利な戦略のような気もします。
1においては「スピードの経営」と言うくらいで
スピード、特に変化に対応するスピードが重要ですし、
2においては「革新的な製品」の仕様が事前に決定できるなんてナンセンス、
3においては柔軟に顧客の要求を汲み取ることが必要
と、少なくとも収益逓増、複雑系経済の支配下にある所では
Agile、XP開発の価値は高いのではないでしょうか。
ソフトウェア産業はほとんどが収益逓増の複雑系経済の支配下にあるのですが、
ソフトウェアを購入する顧客は収益逓減・予測可能の世界にいることも多いので、
現に速度と柔軟性よりも確実性の方が価値が高かったりする、
のがAgileを進める上で難しいところかもしれません。
同じソフトウェアを全く変更せずに使い続ける、なんていう場合
安くて確実に一定水準のものが手に入れば、
初期から使える、拡張性が高い、なんて何の価値もありません。
実際一旦導入すればその後うん年は同じものが使えないと困る、
ということもあるのでしょうし。
収益逓減、静的・予測可能な経済の世界においては
やはりまた別の解があるのでしょう。
そこに対してどうAgileの生み出す価値を還元できるのか、が
Agileが認められていくために必要なのかもしれません。
# なんて言ってみても一介のプログラマなので
# この辺りのことはあんまりリアルには考えられないのですが...
少し遅れた上に長文になってしまい、お目汚しでした。
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奥村 悠
mail: juok@....com
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