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Date:  Mon, 11 Aug 2003 13:59:01 +0900
From:  安井 <yasui@....jp>
Subject:  [XP-jp:04568] XP アンギャ東京編参加レポート
To:  XP-jp <extremeprogramming-jp@....jp>
Message-Id:  <3F372295.2050605@....jp>
X-Mail-Count: 04568

安井@Aspacです。

  先週おこなわれた、XPアンギャ東京編に参加させていただきまし
た。二日目だけの参加だったのですが、レポートを書いてみたので
ポストします。長くなってしまいましたが、当日の雰囲気が伝われ
ば幸いです。

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XPアンギャin東京 参加レポート

  以前から楽しみにしていたのですが、今回は二日目のみ参加させ
てもらいました。二日目には計画ゲームとTDDワークショップがあ
ります。
  まず最初にやったことは...席替え。なんとなく会社ごとにまと
まって座っていたりするのを、誕生日で分けてばらばらにして7つ
のチームにします。わたしは第4チームになりました。

○計画ゲーム

  チームごとで、紙とセロハンテープで作る造園をテーマにして、
計画ゲームとイテレーティブなリリースを実践します。チームの一
人が顧客役になって、住人(エンドユーザ)役のスタッフから要求
を聞いてきます。これをチームのメンバーに伝えるわけですが、伝
わり方のあいまいさが絶妙で、「レンガっぽい色で」とか「木かし
げみか草か花が生えてて」とか「そういえばこのへんにも道があっ
て」とか、どう作ろうかみんなで額を集めて悩むことになりまし
た。きっと顧客役の人も大変だったと思います。

  ですが、顧客役が開発(工作)の現場に張り付いて質問に答えた
り、「こんなんでいいですか?」と確認したりすぐにできたので、
試行錯誤しながらも大きく外れることは、あまりなかったように感
じました。うちのチームはなぜか大きさのバランスが悪く、気づい
たら門柱が8mくらいあったり、テラスの椅子が小さすぎたりしてい
ました。

  エンドユーザからのフィードバックもあり、第1イテレーション
終了時の回顧(反省会)で、サイズのバランスを調整する担当を一
人任命しようという案も出ました。しかし最終的には人間のサイズ
がわかるように人形を1つ描いて、それと合わせるように気をつけ
よう、ということになりました。全体を統括する人を立てるのでは
なく、各人が標準を意識して作業するという発想は、とてもXPに馴
染むと思います。ちなみに人形はユースケースのアクターの絵でした。

  第1イテレーションでは、ペアのタスクが終わったときに他のペ
アがまだ作業中で、うまくペアの組み換えができませんでした。そ
こで第2イテレーションではペアを固定にしてみました。結果は、
う〜ん、どうだったかな?やっていることが工作なので、ついつい
「ぼくは切る係、あなたは貼る係」みたいになってしまい、あまり
ペア作業の意味はなかったのかな、という気がします。でも最初に
やり方を相談したりプロトタイプを作ってみたり(スパイク!)す
るときは、やはりペアのほうが良いアイデアが出やすかったです。

  最後に各チームが作った庭を発表しました。同じエンドユーザか
ら同じ要求を受けているのに、出来あがったものは様々。ポイント
はそれぞれ抑えているものの、爽やかな雰囲気あり、一点豪華主義
あり、緑中心のものも緑がないものもあったりして、同じ庭を造ろ
うとしたようには見えないくらいでした。きっとシステム開発でも
同じようなことが起きているのだろうな、と思うと笑ってもいられ
ないのですが...

  個人的な感想ですが、“造園”の計画ゲームは、それ自体がシステ
ム開発の総体的なメタファとなっています。最後にコメントとして
「エンドユーザ(=住む人)の家族構成を意識してましたか?」みた
いな質問があって、それはすなわちシステムのユーザの実像を認識
しているか?という問いにつながります。うまくいったことやまず
かったこと、苦労したことや反省点を、システム開発に当てはめて
考えると、今回実地に得た経験を活かせそうです。

  特に感じたのが、本当にエンドユーザや顧客が重視している箇所
を、開発側が把握していたのか?開発側が自分たちの重視したいと
ころで勝手にがんばってしまっていなかったか?という疑問です。
自分のチームのみでなく、他のチームの作品と紹介を聞きながら、
ちょっと考えてしまいました。

○TDDワークショップ

  こちらはペアでマシンを1台使って、TDDの基本を実践します。
パートナーがJUnitにまだ不慣れだったので、わたしは主にナビ
ゲーターにまわりました。最初が非常に単純な四則演算の問題で、
次にちょっと複雑なスタックの演習が用意されていましたが、時間
が短めで、面白い問題までたどり着けなかったのが残念でした。

  個人的にはTDDというよりはペアプロの練習になってしまいまし
た。お互いにしゃべりながら進めないとすぐに「協働」作業でなく
なってしまいがちなので、コードを書きながら解説をしゃべった
り、ナビゲータは適度にあいづちを入れたり。初対面の人とうまく
やるのは、なかなか難しいかもしれません。

  最後に「受け入れテストフレームワーク」であるFitNesseの簡単
な解説がありました。まだ事例もなく、使い方も完全には分かって
いないということでしたが、可能性を感じます。どっかで実践して
みたいなあ。

○全体に

  とにかくにぎやかでよかったなあというのが印象です。スタッフ
の方の準備や進め方の良さもあったと思いますし、「XPに興味があ
る人」にはなにか性格的な共通項があるのかなあという気もします。
  最後になりましたが、スタッフの皆さん、参加者の皆さん、今回
はどうもありがとうございました。次回も期待しています (^^)

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アジアパシフィックシステム総研 ソリューション3部   安井 力
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