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Date:  Thu, 22 May 2003 10:59:44 -0400
From:  4ml <4ml@....com>
Subject:  [XP-jp:04372] Re: XP 伝導テクニック
To:  extremeprogramming-jp@....jp
Message-Id:  <20030522100719.3A0F.4ML@....com>
In-Reply-To:  <EDC32026916659f_kojima@....jp>
References:  <20030521112707.28FC.4ML@....com> <EDC32026916659f_kojima@....jp>
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池田です。

結構反応してもらえてうれしいです。
皆さんにコメントできなくて申し訳ないですが・・・。

小島さん:
> >例えば従来のウォーターフォールって顧客側から見ると「最初に全ての仕様と
> >期間、そして費用をFIX出来る」という大きなメリットがあると思うんです。
> 
> そうですね.
> 
> 最初に本当に顧客の望む全ての仕様と期間,費用が算出出来て,その通りに
> 行くケースであれば,ウォーターフォールの方が良いと思います.
> ウォーターフォールで顧客の望むものが予定通りに顧客の手に入るような
> 場合であれば.
> 
> 但し其れはレア ケースではないでしょうか.
> # 少なくとも私は殆ど経験有りません.
> 
> 私は,最初に FIX した仕様通りに作った場合の最終的な顧客満足度は,
> そんなには高くなりえないと考えます.

すみません。ちょっと言葉が足りなかったかもしれません。
「厳密な仕様を初期段階でFIXすることはほとんど出来ない」という点は
かなり真理に近い気はしますし、私も同意します。

私が言いたかったのは現状は形の上だけでもそれをFIXしたことにし
てしまっている受注形態がほとんどだということです。
実際は仕様に矛盾が生じて品質が落ちたり納期が守られなかったり
するわけですが、それは開発側が責任を負うことになります。
多少の仕様変更でさえ開発側が吸収してしまうことさえ良くあるのでは
ないでしょうか?
つまり最初にFIXした時点で、長期的な成果物に対する責任を開発側が
負っているんですね。


> 理由は以下の三点です.
> 
> 1.) 既存のアプリケーションを移植するような特殊なケースを除き,
> 最初に顧客の望む全ての仕様を作成することには無理がある.
> 
> 開発者は顧客のビジネス上の問題をソフトウェアで解決し,顧客にビジネス
> 上の利益をもたらし其の対価を受け取る.
> だが,顧客のビジネス上の問題点というのは通常暗黙知であり,顧客でさえ
> も形式知の形で表現することが難しい.この状態の顧客のビジネス上の
> 問題点を,開発者が「顧客の代わりに」解決するのは無理がある.
> 
> 2.) 仕様を全て網羅するような仕様書を書くことが難しい.
>     または,十分な精度をもって仕様書を書くことが難しい.
> 
> 3.) 開発期間中に顧客のビジネスが変化することが有る.
> 
> 
> 逆に,もし仕様を最初に FIX しなければ,最初に全ての期間と費用を
> FIX して開発側が常にその高いリスクを全てかぶるということ自体に,
> ビジネス上無理があると思います.
> # 開発側の「ハイリスク&ハイリターン」という形であればビジネスとして
> # 成り立つかも知れませんが,顧客側にはデメリットと成ります.
> 
> よって,ウォーターフォールが顧客側にメリットがあるのはレア ケース
> ではないかと考えます.

この点も同意するのですが、現状は(不確かな仕様でも)期間・費用をFIXして、
長期的成果物に対する責任を負っているソフト屋さんがほとんどですので、
それを顧客に負わせるにはそれ以上のメリットを提示できなければならないと
思うのです。

やはり「仕様の変更に柔軟に対応」出来るというのが大きなメリットだと思う
のですが、それでも「ウチの欲しいものはもう決まっているから」とか言われ
そう・・・。

たとえ話になりますが、大手小売業の会社が通販サイトを構築することに
なったとします。さらに社長から「Amazonに負けないものを作れ」という
命令(?)がでたとします。そしてソフト屋さんに発注するわけですが、
見積もりを依頼して、

A社「Xヶ月でXXXX円で出来ます」
B社「XPなので最終的な期間・コストは出せませんが、仕様変更できてしかも
品質も向上します。開発スピードも通常より早くなります」

っていう2社があると、よほどB社のチームを信用していないかぎり
A社に頼むのではないでしょうか?

私も浅学ながらXPには非常に惹かれていまして、一応白い本(日本語)が
出た頃から追っかけてはいるのですが、それでも上記例の発注者の立場に
なったらA社を選ぶと思います。
だって、XPだからという理由だけでB社信用出来ないですよ。(^ ^;
B社に発注した時点で長期成果物に対する責任を自分が負うことに
なりますし。自分が社長だったらいいかもしれませんが。(^ ^;;

なので、現状XPを適用できるとしたら自社開発か、信用を得ている別の
ソフト屋さんからの下請け受注くらいかな・・・と考えた次第です。
それが前のメールで「XPはチーム単位の期間請負に似ている」と書いた
理由です。

なんだか否定的意見ばかり述べていますが、可能性を否定するつもりは
ありませんので、一般の顧客にどうしたら受け入れてもらえるか?
という議論自体は歓迎です。

たった今思いついたのですが、やはりXPを知ってもらうのと、
信用を得るのが大事だと思いますので、
”XP導入キャンペーン! 今ならXイテレーション無料!”
なんてのはどうでしょうか?(冗談です)

4ml@....com