釘本と申します。
島田さん、こんにちは。
今BPR案件をやっているので戦略に関するお話面白いです。
ML汚しの投稿を。
On Fri, 24 Jan 2003 03:16:12 +0900
Hiroyuki Shimada <shimaden@....jp> wrote:
> 軍事の手法を応用したのにランチェスター経営というのがあります。
> これによれば、戦術は実際に体を動かして行うもの、戦略は体は動かさないも
> のだそうです。
大体そう考えてOKですが、正確に全くその通りとは思いません。
ランチェスターについてのそのご表現は、あえて分かりやすい表現をしているの
だと思います。
> ビジネス・システムそのものは戦略です。フランチャイズ・システムは戦略で
> す。
確かにビジネスの仕組みのうち、「組織」は戦略が体現化している代表的なもの
と言えます。
このお話には、「組織は戦略に従う」という有名な命題があります。
(更に、「戦略は組織に従う」という逆命題もあり、面白いですよ。二つ合わせ
てBPRの発想につながる重要な命題です。)
更に聞かれても居ないのにペラペラとお喋り。
ご興味ある方へ。
上で「組織」というのは、フランチャイズのように企業外部のリソースを利用す
る事も多い現代企業では企業外部も含めた「組織」です。
人と人の役割分担の仕方を「組織表」に書いたもの、と思って下さい。
> マクドナルドのマニュアルは戦略です。
これはどうでしょう。
バイトや現場従業員の作業マニュアル自体はもう珍しくありません。
統一のマニュアルによって多様化した労働資源で質の高いサービスを継続的に提
供するという事、そのようなマニュアルがあるという事自体、は戦略性の高い話
ですが、そのように考えると
> お客さんにはがきを出したりする
のも戦略性が高い場合があると思います。
更にハンバーガーショップがあえて
> 外回りで営業をしたり
すれば、通常そこにも重要な営業戦略が隠されている、といえるでしょう。
もちろんマニュアルで成功するというのはマクドナルドがはしりだったので、20
年ぐらい前?の当時には戦略的意思決定だったのだろうと思いますが。
少し気になったのは、島田さんのお話には「戦略」ではなく「戦略が具体化・体
現化したもの」が書かれています。
読まれる方は、「戦略」について語るのと、「戦略が具体化・体現化したもの」
について語るのは意識の上では区別された方が良いのでしょう。
(時々これで訳分かんなくなる議論もあります。ミッキーマウスは戦略だ、とか。)
いずれにしても「戦略」「戦術」の区別すら本質的には相対的です。ある外部環
境と自己の技術力(知識や物理的体力など)全体世界を想定(仮定)したときに
自然に導かれるのが戦術、かなり頭をひねって出すのが戦略、とも表現できます。
信長が長篠の戦いで鉄砲を用いた行動は「いくさ」に関するパラダイム変換であ
り戦略的ですが、明治政府が日清戦争で鉄砲を使う事を考えつかなかったらただ
のアホです。第一次大戦の飛行機による爆撃もそう。「戦略核兵器」っていうの
もそう。「戦術核兵器」の時代が来たら怖いよマッカーサー。
日々の行動判断で「言われんでもわかるやろ」っていうのが戦術レベルの判断で
す。行動そのものではなく行動には判断を含むので、その判断が戦術的か戦略的かで
す。したがって体を動かさない頭脳判断も含みます。
また、同じ物事についてもある程度の視点の違いによって戦略と戦術を分ける事
が出来ます。
桶狭間の電撃戦にしても、より戦略的といえる行動は斉藤道三に対してのように
「戦わずに友好関係を結ぶ」とか、足利将軍に対してのように「アライアンスに
よって外部のリソース(この場合ブランド力)を利用する」といったもので、戦
いの方法の選択は戦術レベルと割り切って考える事も出来ます。
やや語弊がありますが、
「このインデックス項目はマージソートで一日1回メンテナンスする」
っていう記述に対してマージソートのアルゴリズムをどうコードに落とすかは戦
術です。これを一々聞くのは半人前でしょう。
一方、データ構造(組織論に相当)とアルゴリズム(業務の機能(=職能、
Functionの訳語)配置に相当)の大枠を決定するのが戦略的意思決定です。
オブジェクト指向は、戦略レベル(クラス抽出と主要なメソッド配置)と戦術レ
ベル(メソッド内容の詳細記述)がシームレスに行え、また戦術レベルの活動実
行中に必要を感じたらすぐ戦略レベルの判断の修正が行える面白い発想だと思い
ます。
システム工学40年ほどの歴史は、経営学100年の歴史から考え方を借りてばっか
りです(これ知らないシステム工学ご専門の方やや多し)。結局ウォーターフォー
ルは広義のテーラリングの一種。
でも最近の特にOO回りの概念は、そろそろ親である経営学を追い越したのかなぁ
と感じさせられます。
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釘本浩樹
<kugimoto@....jp>