biac です
夏ごろより ROM させてもらってます。 m(_`_)m
昔、製造業に居て図面を引いていたものですから、製造業ネタってことでしゃしゃ
り出てみます。
In "[XP-jp:04003] 日経新聞にアジャイルっぽい記事"
On Mon, 23 Dec 2002 08:35:00 +0900
Shibukawa Yoshiki <yoshiki@....jp> wrote:
> フィードバックを密にして品質を高め、顧客の需要を的確に捉える商品の開発、
> と捉えるとまさにアジャイルですね。
商品の開発は、大量生産の製造業では昔から「スパイラル開発」です。
一回だけ図面を引いて試作してみて、量産スタートなんてことはありません。
これで売れるだろうか、これで上手く量産できるだろうかと、何回か図面を引き
直し、試作品を作り直します。
その繰り返しも、私が居た自動車製造業だと、システム化されていました。 (そ
のほかの製造業でも、きっと同じようなことをしているでしょう。)
大雑把にはこんな感じです。
・一回目の試作 - コンセプト (=要件) の確認が主目的
・二回目、三回目… - 細部設計の熟成、性能テスト
・最終試作 - 量産性の確認と、量産工場 (=ユーザ) への移行
※ ソフトハウスに身を転じたとき (1994年)、ウォーターフォール (モドキ) で
やってるのを見て、すごく不思議でした。 f(^^;
※※ ウィンストン・ロイスが提唱したウォーターフォールモデルでは、一工
程前へのフィードバックが入っていた、ということを最近知って、やっ
ぱりな、と思いました。
製造業におけるアジャイル (俊敏性) というネタで、もうひとつ。
量産工程というとベルトコンベア、というのが常識とされ、ウォーターフォール
の引き合いに出されたりしてきました。 しかし、この 10年ほど、コンベアだけ
じゃダメだ、という認識が、日本の製造業に広まりつつあります。
コンベアを廃止した「セル生産方式」が、例えば HONDA では 1990年から NS-X
の生産に使われています。
http://www.honda.co.jp/50years-history/pdf/p213.pdf
セル生産方式では、コンベアの欠点のうち、
・生産量をアジャイルに変更できない
・作業者のスキルを生かせない (一番遅い人のスピードでしか流せない) (*)
を改善できます。
そのほか、セル生産方式を採用した例 (ダイハツ、プラス、キヤノン) が、日経
新聞で紹介されています。
http://www.nikkei.co.jp/wte/20021107u25b7001_07.html
> しなやかな工場が生き残る(11月7日)
(*) じつは、コンベアで 1台流れていく時間内に、一人がたった一つの作業を行
うだけとは限りません。 一人が複数の作業をこなす工程では、数人の班を組
んで作業にあたり、遅い人の分を他の人がカバーしたりします。 その場合で
は、「一番遅い班のスピードでしか流せない」ということになります。
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