濱井です。
2002/04/28 22:16:12 +0900にakon@....jpさんが送られた
メールに関する返信です。
>> はい、プロダクトやプロジェクトの評価が難しいのは、おっしゃるとおりです。
>> 私が気にしているのは、プロセスの評価が一人歩きしていることです。
>ごめんなさい。他人の評価は興味ないのでは、
>勝手に一人歩きすれば・・・という感じです。
>プロセスって自分のプロジェクトで最善かどうかじゃないですか
顧客側が、ISO9000の認証取得やCMMレベルいくら以上といった要求をしてくる
とそうも言っていられません。
# 背に腹は代えられない。
「王様ははだかだ」と言うのには勇気が必要ですし、それを納得させるには
人望が必要です。
# 勇気はともかく、人望が……。
>> 良いプロセスと良いと評価されたプロセス、悪いプロセスと悪いと評価された
>> プロセスは同じではありません。良いプロセスが悪いと評価されたの
>> かもしれません。悪いプロセスが良いと評価されたのかもしれません。
>> プロセス評価の検証が充分になされていない現状では大いにあり得ること
>> でしょう。
>>
>> 良いと評価されたプロセスだから良いプロセスのはずだと決めつけるのでは、
>> 「はだかの王様」になってしまいます。
>プロセスは人に従属すべきです。
ちょっと話が違います。
私が言いたいのは、プロセスの評価というものは、ある基準、ある条件での
ものであり、基準や条件が異なれば、優劣の評価も変わるべきはずだ
ということです。CMMレベル5のプロセスがレベル3のプロセスより優れている
というのは、あくまで、CMMの基準の下でのことにすぎません。
「CMMレベル5だから優れたプロセスである」というように、権威者や周囲の
言うことに盲従して自分の判断を放棄してしまったら、「はだかの王様」
であるということです。
ワインバーグは、プロセス文化という呼び方で、プロセスのタイプ毎の
優劣を否定しています。『イノベーションのジレンマ』という本では、
優良企業が没落するのはその優れたプロセスのためであると書かれています。
ソフトウェア開発プロセスの環境は、プロジェクト毎に異なります。環境が
異なれば、優劣の評価も変わるべきはずです。
さらに言うと、ソフトウェア開発プロセスの環境は、プロジェクトの進行中も
変化します。したがって、ソフトウェア開発プロセスも変化せざるを得ません。
「変化ヲ抱擁セヨ」抱擁すべき変化は、ソフトウェアの変化だけでなく、
ソフトウェア開発プロセスの変化もそうだと思います。
>ちなみにウォータフォールで開発できるのでしたらプロセスとしては
>完璧です。
ウォータフォールというのは、プロセス改善を否定する考え方だと思います。
実行プログラムという一種のプロセスを一度で作り上げようとするのですから。
完全な開発プロセスで完全なプログラムを開発する、不完全な人間にできる
ことではないですね。