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Date:  Sat, 2 Mar 2002 05:44:50 +0900
From:  "Yoshitake Hiyama" <PXW11067@....jp>
Subject:  [XP-jp:03275] ムダの定義
To:  <extremeprogramming-jp@....jp>
Message-Id:  <003b01c1c161$f2463380$74417c3d@HSCK5MZ0V3LQNT>
References:  <00ba01c1b95f$91442b00$08437c3d@HSCK5MZ0V3LQNT> <200202270252.LAA17460@....jp>
X-Mail-Count: 03275


火山です。

濱井氏より返信を頂戴しましたので、そのレスを。

>濱井さん  お忙しい中、丁寧にコメントを下さりありがとうございます。

また、タイトルがトヨタ生産方式とは、全く関係ない内容になりましたので、勝手で
申し訳ありませんが、「ムダの定義」に変更させて頂きました。
ルール違反なのかもしれませんが、もしそうであれば、管理者の方のご指摘を願いま
す。
XPとは少々かけ離れすぎたテーマになってしまうかもしれませんが、その点、ご容赦
ください。


hiyama> >だからこそ、経済の根幹を覆すような名案(妙案)がこの場で出て来ない
だろうか
hiyama> >と、少し期待してたのですが。。。今は無理でも、遠い未来の話でも理想
論でもなん
hiyama> >でもいいんです。

濱井氏> 個人的には、ワープなどの光速の限界を超える航法ぐらい実現性が低そうに
濱井氏> 思えますが。経済判断には、生物としての本質に起因するものも少なく
濱井氏> ありませんから。在庫のスペースのコスト、時間のコストなどは、生物とし
て
濱井氏> の本質に起因するものだと思います。

すみません。おっしゃってることが、十分に理解できないです。
時間をお金に換算する手段はありますが、お金で時間を買うことはできません。
自由な時間を作り出すことは可能ですが、それでも与えられている時間は、同じで
す。
(タイムマシンとかあれば、別の話ですが(笑))
時だけは、全ての人に平等に存在します。
時の価値基準は、金額(コストや数字)より、その内容で捉える方が、経済効果が期
待できると思います。
スペースも、狭い日本だから土地に莫大なお金がかかるわけであって、土地が有り
余ってる場所(人口密度が極端に少ない場所)であれば、そこにはコストすら存在し
ません。
在庫=コスト 時間=コスト
ある一定のものさしで経済全体を計測し、効果のある評価を導き出す方が、私には
ワープなどの光速の限界を超える航法ぐらい実現性が低そうに思えます。


濱井氏> >> 「作りすぎのムダ」が、トヨタ生産方式では最悪のムダとさえ言われて
います。
hiyama> >豊作貧乏ってことでしょうか。
濱井氏> 違います。「豊作貧乏」は意図以上にできてしまった結果起きるのに対し、
濱井氏> 「作りすぎのムダ」は、意図通り作った結果起きるものですから。豊作貧乏
は
濱井氏> 運ですが、「作りすぎのムダ」は自業自得です。

違いません。

単純に、「豊作貧乏は運」と判断されるのは、濱井氏が工業製品やソフトウェア製品
の経済面のお話中で用いられている分析・判断基準のレベルと比較すると少々短絡的
過ぎるように感じます。
農業も経済活動のひとつなのですもの。
「作りすぎ」という点では、農業も工業も同じ。
農業・工業・商業、あらゆる経済活動において、運は存在します。
運とは、「思いもしない方向に事が運ぶこと」ですから。

結果作りすぎになっても、作りすぎた結果がなければ、作りすぎことに気づかないも
の。
その作りすぎ(ムダ)が、次なる生産性向上策への足がかりになる。
火山が申し上げたいことは、そうした”ムダの捉え方”です。

世の中にムダと思えるものが存在するからこそ、濱井さんもそのムダに気づかれたわ
けです。
そのムダを、どう改善していくか。そこに注目し改善していく。
これからの時代に生きる人間の使命かもしれません。
#至極、当たり前の話ですけどね(苦笑)
自業自得にならないようにするにはどうすれば良いか、皆で知恵を出し合うのが、こ
のMLの存在意義であるようにも感じます。

ある一定の尺度の枠からはみ出ることで、初めてムダの価値を見出せるように思いま
す。
「価値」や「無駄」の定義を固定化することは、ムダを見出す場所に留まること。
その場所に留まっていては、ムダから価値を産み出す場所(その価値を作り出したり
模索したりする行為)には、永久にたどり着くこともないでしょう。

このメールやこれまでの議論も、一見すると結論の出ない、お互い価値観を相容れな
い不毛な議論になってしまいそうですが、こうした時間も、取り方次第で、ムダだと
感じればムダになりますし、全ての経験を何かに役立てようと知恵を使えば、ムダで
はななくなります。
『世の中には、本当のムダなんて存在しない。』というのが、火山の持論です。

時間も限られている(と感じる)からこそ、密度を高めていく知恵が身につきます。
限られていなければ(そう感じなければ)、そういうことも考えなくなるでしょう。
ムダと思えるもの、感じるものがなければ、それを改善しようとする気持ちも起きな
いので、ムダを全て排除したとき(そう思い込んでしまったとき)、ムダの活用に気
づく知恵もなくなるでしょう。
飽食の時代にあふれる無駄の存在に、誰もが気づかなくなってしまったのと同じよう
に。。。

その意味で、濱井氏のコストに重点を置いた数々のコメントは、私にさまざまなムダ
を気づかせてくれています。
全てのメッセージに、ひとつひとつコメントを加えていかれる濱井氏のご努力に、敬
服すると共に、こころから感謝したいと思います。
濱井氏の存在なくしては、私もこの場でこうした意見を述べることもなかったわけで
すから。

hiyama