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Date:  Wed, 20 Feb 2002 01:07:08 +0900
From:  "Yoshitake Hiyama" <PXW11067@....jp>
Subject:  [XP-jp:03235] Re: トヨタ生産方式と XP
To:  <extremeprogramming-jp@....jp>
Message-Id:  <00ba01c1b95f$91442b00$08437c3d@HSCK5MZ0V3LQNT>
References:  <005701c1b312$91fdb0f0$a6417c3d@HSCK5MZ0V3LQNT> <200202180302.MAA27905@....jp>
X-Mail-Count: 03235


火山です。

濱井氏より、レスを頂戴しました。

稚拙な内容に、ご丁寧なコメントを頂きありがとうございます。


> 濱井です。
> 2002/02/12 00:40:21 +0900にPXW11067@....jpさんが送られた
> メールに関する返信です。
>
> >> 経済合理性の観点からムダを省くのは当然ですが、やる気を高めるという観点
> >> からもムダを省くことは重要です。ムダと思えること、無意味と思えることを
> >> やらされることよりやる気を損ねることはそうありません。
> >
> >一見、誰しもがムダと思えるものから、価値のあるものを作り出す天才もいま
す。
>
> できてしまったムダを有効活用することより、最初からムダができないように
> する方が良いと思います。
> もちろん、それでもできてしまったムダを有効活用することは重要ですが、
> 優先順位は、まず、最初からムダができないようにすることです。

ムダだと決めつけてしまえば、確かにおっしゃる通りかもしれませんね。

しかしながら、ムダ探しやムダを定義することより、どんなものでも有効活用できな
いかと知恵を絞る(知恵を養う)ことこそ、ムダを減らしていく最善策であり、その
優先度も高いように思います。

#ただ、経験則でしかなく、感覚的な話なので、なんとも申し訳ないですが・・・。

ムダだと思えるもの(そう決めてしまったもの)と、有益であったり効果的であると
定義ししたものを、あるいくつかの尺度で測り、篩にかける技(これも知恵かもしれ
ませんが)を身につけてから、ヒトは進化の過程で、無数のムダを作り出してしまう
ようになった・・・、そんな気がしてなりません。


> >> 作るということはお金を在庫に変換する行為であり、売るということは在庫を
> >> お金に変換する行為です。作ることを優先させると売れる以上に作りすぎて
> >> 在庫という形で眠っているお金が増えることになります。
> >
> >在庫という形で眠ったお金を、他に有効に使う手立てとか・・・
> >何か良い知恵はないのでしょうか?

> 無理ですね。それは、お金が天から降ってくるのを望むようなものです。

そうですか・・・。残念です。
濱井氏以外の方で、良い知恵をお持ちの方はいらっしゃいませんでしょうか?

> 利息や配当は、それに近いように思えますが、在庫の場合、利息や配当を受け
> 取る側でなく、支払う側に相当します。以前に述べたことがありますが、在庫
> は負債(借金)のようなもので、放置しているだけでお金が出ていきます。

それは、承知しています。
だからこそ、経済の根幹を覆すような名案(妙案)がこの場で出て来ないだろうか
と、少し期待してたのですが。。。今は無理でも、遠い未来の話でも理想論でもなん
でもいいんです。
濱井氏がご指摘の現実の問題に対する打開策のきっかけになるような・・・、そんな
お話が出てくると嬉しいです。

人に頼ってばかりの話に聞こえるかもしれませんね。(すみません。)
ただ、このMLを、現実問題を説明するだけの場に留めるのではなく、濱井氏の的確な
問題提起の中から、さまざまな突拍子もないアイデアがどんどん出てくるような、読
んでいてワクワクするような・・・そんなMLになればとの思いが強いです。
私の意見が、何かのきっかけになってくれればと、そう思いながら。。。

> そもそも、作ることを優先させる理由など一般はないはずです。
> 原材料の高騰が予想されるような場合は作ることを優先させる理由と成り
> 得ますが、現実には予想の精度が充分に高くなった時には既に高騰している
> のが普通であるため、一つ間違うと、高値で大量に買い込んだ後、原材料の
> 価格が急落するということになりかねません。

すみません。
このあたりの経済理論(市場相場ですか?)には、学力不足・知識不足のため少々つ
いて行きかねるところがございます。
「作ることを優先させる理由など一般はないはず・・・」ということも初めて耳にし
た話です。
#お恥ずかしい限りです。

もし、機会があれば(現実的には、そのゆとりはわずかですが)、勉強し直してか
ら、ご指摘の内容を反芻させていただければと思います。
ご丁寧に説明していただき、ありがとうございました。


> ついでに言うと、「ものをつくる」ことも「ものを買う」ことも在庫を増やす
> ことに変わりありません。
> ソフトウェアの開発もソフトウェアの購入も、それを行う企業にとっては
> 本質的な違いはありません。必要以上に買うことが企業にとって有害なように
> 必要以上に開発することも有害です。


おっしゃるとおりです。
有害・無害・・・難しい定義と言葉です。
どこに基準を置くのか、お金を基準に置くか、お金以外の価値に基準をおくか。
「価値」の定義・・・、奥が深いですね。


> 「作りすぎのムダ」が、トヨタ生産方式では最悪のムダとさえ言われています。

豊作貧乏ってことでしょうか。

#話は全然違う話で、皆さんには、「全くのお門違いな話だろう!」
#と非難される方もたくさんいらっしゃるかもしれませんね。
#とはいえ、せっかくの機会ですから、少しお話させていただけますでしょうか。
#もし、異論・反論がある方もいらっしゃれば、どしどしMLにお寄せください。

たとえば、天候に恵まれ、その年、あまりあまるほどの大根が取れたとします。
しかし、市場では、例年の10分の1の値しかつかず、収穫すればするだけ赤字にな
ります。
ある農家では、大根を収穫することなく、ぐちゃぐちゃにして土に戻しました。
翌年、前年の作りすぎを考慮して少なめに大根を作ったのですが、今度は天候が悪
く、大根は高値となり、大根を減らした分の畑で作った白菜は、悪天候の影響で売り
物にならず全滅し、畑に戻すことになりました。
ある農家では、せっかくできた大根をムダにはしたくない、自慢の畑で丹精こめて育
てた立派な大根なので、豊作で値が下がっても捨てる気になりませんでした。赤字覚
悟で市場に出したり、それでもさばけず余ったので、畑のそばに無人の市場を作り、
集金箱だけ置いて値段は表示せずに、出したいだけのお金を出してもらい、好きなだ
け持っていっていようにしました。取れたての立派な大根です。近所の観光地にドラ
イブに来た旅行客らが、その噂を聞いてたくさん大根を持って帰りました。とてもお
いしい大根で、いつの間にか評判となり、その後、その農家は、商社を通じて産地直
送で契約栽培をすることになり、どんな豊作の年でも、市場に左右されることなく大
根を定価(しかも高値)で売れるようになりました。
ある農家では、大根の根が下がり市場に出しても利益がでない年は、親戚一同を召集
し、大根の多くを漬物にしました。もちろん、そのまま出荷するより人手はかかりま
す。ただその日の親戚への報酬は、大根の漬物で済みました(笑)。
丹精こめて育てた大根を、家族みんなでおいしく食べることができ、大根がムダにな
ることはありませんでした。たぶん、その農家の親戚は、飽きるほど大根の漬物を食
べたことでしょう。(笑)

必要以上に・・・必要の範囲も、ある特定の価値観や枠にとらわれないアイデアがあ
るだけで、いくらでも広げていける、ひとつの良い例のように思います。
ソフトウェアも、畑で育てる作物と同じようなもので、この世に2つと同じものはで
きません。
その価値を、どう広げて、どう変化させていくのか・・・・、
それはこれからのソフトウェア業界に携わる関係者の英知に託されているように思い
ます。

hiyama