樋口です。
>最小のコストでというところを目標としないのが、ザゴール、XP流です。
>また、計測も最低限にするのが理想なんです。
んー、手を抜けるところをとことん抜くことで、
結果的にコストを最適化する(つまり最小化する)のが、
XP だと認識してますけどね。
「最小のコストを実現しようと、あれこれやって逆にコストがかかる :-)」
というお間抜けな事態に陥らないようにするのが XP 流でしょう。
ザ・ゴールとかそのへんの素人向け経営指南書で
経営の極意が分かった気になっているのなら、
かなりやばいです。
(私もザ・ゴールは一応読みましたよ。一応ね。)
んで、一條さんも、濱井さんと同様、
コストの予測可能性を真っ向から否定してますけど、
あなたは一度でも見積もりをしたことがあるのでしょうか?
XP だと見積もりが不要であるかのように誤解していませんか?
「エクストリームプログラミング実践記」は読んでみましたか?
もしも、見積もりをまったくしないで仕事をしているのであれば、
おそらく、かかった時間か書いたコード量に単純比例して給料を計算してくれる
とても幸せな環境にいるのでしょう。 :-)
>単純にベロシティの値を多くしたいなら、理想日を多めにいえばいいからです。
>それを学習することになんの意味もありません。
ベロシティを上げろとは一言も書いてません。
それよりも、XPの本には
「しばらくすると、見積もりの精度が上がっていく」
と書かれているはずですよ。
なぜ見積もりの精度が上がるのか理解できますか?
>このソフトウェアを完成させることで、およそ1億円の経費削減ができる。
>これにより、このソフトウェア開発に予算が下りることになった。
>ついては、5000万円で、このソフトウェアをある一定以上の品質条件で
>ある期日までに納入してほしい。
1億円と5000万円という額はどこから現れましたか?
受注するとして、それがペイするかどうかは、どうやって判定しますか?
そこが一番重要なのに、なぜか無視されているのですよね。
で、こういう最初に価格が決定しているものを「プロジェクト制賃金」と呼びます。
残念ながら一條さんの発明品じゃないですし、これは実際に行われています。
私も、だらだらと工期を延ばして、工期に対して賃金を支払うよりは
プロジェクト制の方が合理的だと思います。
おそらく一條さんはビジネスの上流工程を見ていないので、
こういう契約がなされていることに気が付かないのだと思います。
それから、XP であればビジネス(要件)の選択が可能であるかのように
錯覚してませんか?
もちろん、業務に対する提案を行える立場(アドバイザ、コンサルタント)にあるの
であれば、
ある程度要件の選択は可能です。
しかし、XP の本には業務に対する提案は一切書かれていませんよ。
「要件を選択するのは顧客であり、開発者はそれに従う」と書かれているはずです。
もしも提案をしているところがどこかに書いてあったら
どこに書いてあるのかぜひぜひ教えてください。
コンサルタントはコンサルタントで、ちゃんとそれなりの知識と頭脳が必要です。
提案型のソフトウェア開発ではおそらく必要な技能ですし、
それをまったくやるなと言うつもりはもちろんまったくありません。
ただ、「ソフトウェアの開発手法の改善」という限定されたスコープの中に
それを持ち出すのは反則でしょう。
ちなみに、業務に対する提案を行うためには、
それによって発生する費用と効果(利益)との予測が当然必要です。
それをやらないで「なんとなくこっちの方が儲かりそうですよ」なんていう
コンサルタントにはアドバイスされたくないですねぇ。
でも一條さんの考えでは費用も効果も一切予測できないんですよね :-)
// 樋口 勝也
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