vetteです。
CMMの話です。
"ichijo" <ichijo@....jp> さんの
"[XP-jp:03038] Re: 生産量 (was CMM と XP)" (at 2002/01/18 23:56:56)について
> うーん、結局、ザゴールを読まないと、
> 濱井さんが何を言いたいのかわからないんじゃないかな。
>
> 生産性向上といったとき、受託組織としての生産性向上というのは、
> より短い期間内に同じレベルの仕事を終わらせる速度ベースの生産性向上もあれば、
> より技術難度が高い単価の高い仕事をこなすことによる売り上げ増大による生産性向
> 上もあるわけです。
このあたりは組織の営業戦略ともからみますが、
「前回は単価が低かったが今度は単価が高い仕事だから
(バグ率、手戻り率は全然改善されてなくても）
利益率は高いから生産性があがった」
なんていってもやってる人間がおもしろいわけがないですね。
（経理上はそれでもいいのかもしれませんがが）
現場の人間から「やり方を見直すのは止めて別の仕事探そうぜ」
っていうんでしょうか？
単価の高い仕事を目指すならそれは生産性をあげるためのプロセス改善
とは別の流れで「営業方針・フォーカスを当てる技術分野の転換」を
しないといけないので、また違う話ではないでしょうか？
> ところが、ＣＭＭのようなスタイルでは、単価の高い仕事をこなすというところの視
> 点が出てこないのではないのですか？
単価を上げるというのはプロセスをどうこうするというより
営業努力にもよるので、CMMにかぎらずソフトウェアエンジニアリングの
範疇ではないのでしょうね。
> 私もＣＭＭの生産性って本当に何なのかさっぱりわからない。
SW-CMM V1.1のTR94 日本語訳でわかりにくいところがあるのなら
> 技術的リスクを背負うということは、とりもなおさず、見積もりが立てにくいという
> ことですから、ＣＭＭレベル下がるのはやむなしなわけですが、
> それでいいんじゃないのかな。
>
> ＦＰやＬＯＣ増えれば規模の難度が出てきますので、当然こなせる組織、
> 技術というか事務レベルの水準は高くなるので、ＣＭＭが無意味とはいいませんが、
> 組織として、ＣＭＭでいくと危険だと思いませんか？
CMMはプロセス成熟度を把握するためのモデルですから、
プロセス改善手法も提示していませんし、生産性をあげろ、とも
謳っていません。
技術面や生産性向上のための工夫よりは
品質、コスト、スケジュール、品質（QCD）にブレがなく
見積もり誤差の少ない「管理」に重きを置いています。
「CMMのやりかたではうまくいかない」というよりも
「CMMはプロセス改善手法を提示したものではないし、
現場をハッピーにすることを目指しているわけではない」ので
CMMとどっちがいいかとか、CMMよりこっちがいいからCMM（の考え方）
はいらない、とか言うこともないと思います。
かといってどの組織でもCMMを参考にすべきだというわけでは
ないです。
CMMが手順を示していない以上、
「CMMに取りくむ」「CMMを実践する」といった言葉には
具体的な中身がありません。
間違うと「公式アセスメントでCMM成熟度レベル5の認定を目指す」だけ
になってしまいます。
（CMMに何も手順が書いてないわけではなく、「収集したベスト
プラクティス」が「例」としてあげられていますが、それを実践しろ
といっているわけではなく、TR94でも断り書きがあります）
CMMレベルが低くても、品質が高く士気の高い仕事をしていれば
十分なのでCMMはわしらにいらん、という発想はそれはそれで正しい
と思います。
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MORIOKA Toru 森岡"vette"徹
E-mail:vette@....jp