Index: [Article Count Order] [Thread]

Date:  Thu, 17 Jan 2002 18:43:07 +0900
From:  HAMAI Kyoichi <k-hamai@....com>
Subject:  [XP-jp:03013] Re: 生産量	  (was CMM  と  XP)
To:  extremeprogramming-jp@....jp
Message-Id:  <200201170943.SAA09805@....jp>
In-Reply-To:  <000601c19f1c$8ca68af0$4813fea9@....jp>
References:  <000601c19f1c$8ca68af0$4813fea9@....jp>
X-Mail-Count: 03013

濱井です。
2002/01/17 15:02:00 +0900にhoriuchi@....jpさんが送られた
メールに関する返信です。

>ですから私も「価値」を定量化すべきとは述べていないと思いま
>す。価値を算出できるような公式はないとXP-jp:02995で書いてい
>るように(そして濱井さん自身も述べているように)価値は市場
>でしか決まらないのですから、工学が(少なくとも直接)扱うべき
>ものではなく、ソフトウェア工学でもそれは同じです。
>
>濱井さんは何度となく従来のソフトウェア工学の「間違い」とし
>て「売り上げ」を扱ってこなかった点を上げていますが、それは
>「価値」は工学として扱えないためです。無理に組み込めばすべ
>てが不定となり、濱井さんが「客観的には〜できない」を連発す
>ることになるのも当然です。客観的なことを扱うのが工学ですか
>ら。

顧客の価値評価のあらわれとも言える「売り上げ」は、客観的に計れますが?
開発だけでなく、販売力や宣伝力の影響も受けますが、計測に誤差はつきもの
です。それだけでは否定する根拠となり得ません。
[XP-jp:03007]でも述べたように「生産量」が販売力や宣伝力、外部環境の
影響を受けるのは、一般の製品では常識です。ソフトウェアだけなぜ例外で
なければならないのでしょう?


また、価値について考慮しないということは、価値がマイナス、すなわち無い
方がいいようなソフトウェアであっても開発すべきということになります。
そこまで極端ではなくても、開発コストより価値の方が小さいようなケースも
あります。

実際、現在の日本のソフトウェア産業の惨状は、ソフトウェア工学が
ソフトウェアの価値について考慮不足のため、バグ(含むセキュリティホール)
だらけとか車輪の再発明のような、価値が開発コストに合わないような
ソフトウェアを作り散らかして、その尻拭いに追われてきたことによるものも
大きいと私は考えています。さらには、価値の高いソフトウェアを開発しても、
すなわちいい仕事をしても適切に評価されないため、優れたプログラマほど
やる気を失ってしまうという点も大きいと思っています。