上原です。
"M.Horiuchi" <horiuchi@....jp> writes:
> ソフトウェアの分析、客観的評価、定量化が真のテーマとするのは
> 画一的な測定項目でソフトウェアを評価する事ではなく、むしろど
> のような事柄に着目すれば、より実態に近い近似ができるか、とい
> うことと思います。その方向に議論が進むのであれば何も口を挟む
> つもりはありませんでしたが、現状の手法の近似精度があまりにも
> 悪いことに絶望し、精度を高めるための議論さえ無意味とするので
> あれば、いったい何が残るというのでしょうか。
濱井さんは方向性のことを言っていると思います。定量化はできなくても定性
的に記述はできる、つまり、何をもって価値とすべきか、という問いに対し
「売上げへの貢献するということをソフトウェアの価値を高めるための1つの
方向性とする」と考えるのは立派な定性的言明だと思います。(売上げに含ま
れる他の諸要素からの分離はできなくても)
特にその言明が社会において認識されていなければそれを知らしめることは有
用な啓蒙といえるでしょう(すくなくとも私はなるほど〜と思いました)。
あと、CMMなどでは客観的評価は、ソフトウェアそれ自体の価値を考えること
を完全に放棄してますよね。近似することすらあきらめているように思います。
CMMのレベルに基づいてソフトウェア価値について言及できるとしたら、「プ
ロセスがよければソフトの質もまあそこそこだろう」とか「反復可能なんだか
ら、前より悪くなることはないだろう」とか、控えめに言っても間接的なもの
であり、ソフトウェアの価値とは何か、という問いに対する答えとしては、濱
井さんのいうように「願望」といわざるをえないぐらい根拠のなさそうなもの
です。まあ、そんな願望は抱く方が悪いです。
ちなみに濱井さんは、パッケージ販売されるソフトウェアの開発について限定
して意見を述べられていると思いますが、もともとそのようなソフトウェアの
開発にはCMMはあまり適用されず、売上げで判断されていると思います。「こ
のソフトはCMMレベルXX企業により開発されました」なんて、悪い冗談です。
誰が買うかってなものです。
ただ、日本であるいは世界で行われているソフトウェア開発の大半は受託型の
開発であり、CMMがDODの調達要件として生まれてきたという経緯から類推する
に、受託型開発にCMMが適用されることはまさにCMMの対象範囲であり、ここに
おけるソフトウェアの価値についても議論すべきだと思います。
思うに、開発する側と、開発を頼む側が分かれた状況、これが諸悪の根源かも
しれません。昔はパソコンを使う、ということはBASICでプログラムを組むこ
とを意味しました。本来一体となるべきものを分けてしまうから、CMMなんて
ものが必要になってきたんではないでしょうか。
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§NTTS○FT 技術開発部エレクトロニックコマース技術センター 上原 潤二 §
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