Index: [Article Count Order] [Thread]

Date:  Fri, 28 Dec 2001 09:59:07 +0900
From:  k-hamai@....com
Subject:  [XP-jp:02963] Re: CMM と XP
To:  extremeprogramming-jp@....jp
Message-Id:  <200112280059.JAA29399@....jp>
In-Reply-To:  <u666tl0no.fsf@....jp>
References:  <u666tl0no.fsf@....jp>
X-Mail-Count: 02963

濱井です。
2001/12/27 13:58:19 +0900にuehara@....jpさんが送られた
メールに関する返信です。

>> >開発プロセスの評価というのは、自分たちの開発プロセスを改善するために
>> >こそ行うものだと思います。
>> 
>> それが本筋だと思います。
>> ただ単にCMMはプロセスを組織の外から評価可能にしたいと言う意味で作られた
>> 筈です。それを実際にどう使うかはその組織に任されている話ですよね。
>
>これが一つの逆説ですよね。
>
>開発者としては、評価いらん、と。俺らは最高のソフトを作るぞ、と。
>評価なんかして欲しくない、評価しようなんていうおまえらは何様のつ
>もりだ、と。
>
>でもそれでは、信用してもらえなくて、仕事がもらえなくて、
>御飯を食べられなくなっちゃったりする場合があったりして、
>そんな自分を理解してくれない世の中が悪いと言えばそのとお
>りです。

さらなる逆説は、能力を評価しようとする傾向への対応策として、能力を
高めて評価を高めようとするのではなく、評価だけを高めようとする傾向
がでてくることです。
評価のコストを現実的なものとするため、すべてのことに関して計測する
というわけにはいきません。重要度が比較的低かったり、計測が困難なもの
については計測されません。
評価を手っ取り早く高めるには、評価に反映されないものについては無視する
のが近道です。評価に反映されないものを無視しだすと、能力は向上しない
どころか低下することさえあります。

これが、「機能障害(ディスファンクション)」です。
デマルコが、『デマルコ大いに語る - ソフトウェア24の閃きと冴え -』の
「2. 計測で気がふれた」や『ゆとりの法則』の「第18章 目標管理」に
おいて目標管理を批判している理由です。
『ピープルウェア第2版』の「第29章 プロセス改善プログラム」で警告して
いるのも、プロセス改善が目標管理となり、機能障害を起こす危険性が高い
からです。