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Date:  Tue, 18 Dec 2001 16:53:59 +0900
From:  k-hamai@....com
Subject:  [XP-jp:02906] Re: CMM と XP
To:  extremeprogramming-jp@....jp
Message-Id:  <200112180754.QAA28979@....jp>
In-Reply-To:  <20011218111203.68F6.MAKOTAN@....jp>
References:  <20011218111203.68F6.MAKOTAN@....jp>
X-Mail-Count: 02906

濱井です。
2001/12/18 11:23:28 +0900にmakotan@....jpさんが送られた
メールに関する返信です。

>CMMはプロセスの改善モデル

意図としてはその通りだと思います。
CMMはプロセス改善のためのプロセス評価を行うために考えられたモデル
だと思います。


根本的な問題は、ソフトウェア開発は目的ではなく手段なので、それ自体
だけを取り出して評価してもほとんど意味がないということです。

工場において物を作ることは手段であって目的ではありません。同様に
ソフトウェア開発は手段であって目的ではありません。製造プロセスに
おいて約20年前に気づいた間違いに、ソフトウェア開発プロセスに
おいては今もなお固執しているように思います。

[XP-jp:02591]で紹介した『ザ・ゴール』の115ページにこういう登場人物
の会話が載っています。

    「あれは何かね」
    「倉庫です」彼が答えた。
    「何のための」
    「完成品をしまっておくためのです」
    「もし、あの倉庫をいっぱいすることが目的で物を作っているとしたら、
     会社は生き延びることができると思うかね」

開発を目的とするということは、「倉庫をいっぱいすることが目的で物を
作ること」と変わりません。


手段は目的をかなえるためにどれだけ役立っているかで評価されます。
目的からの観点のない評価はほとんど無意味です。
CMMには、この「目的からの観点」が抜け落ちています。

目的は東京から大阪へ行くということ。手段はクルマを走らせること。
だと仮定しましょう。クルマの走った距離だけでは、どの程度大阪に
近づいたかわかりません。これと同じことです。


# 責を問われるべきは、CMMではなくCMMの基礎となっているソフトウェア
# 工学なんでしょうが。