濱井です。
2001/12/05 12:42:26 +0900にy-kamite@....jpさんが送られた
メールに関する返信です。
>> そして、相性が悪いのは、CMMに深刻な問題があるからと私は判断した
>> わけです。
>
>CMM自体には、問題はないと思いますよ。
>
>ハンフリーの書いた「プロセス成熟度の改善」は、昔愛読した本ですが、
>CMMの根っこはここにあるわけで、言っていることは、しごく当然のことばかり
>です。(#現在のCMMはそれからはかなり変質しているとは思います。)
「当然のことばかり」であるかのように*見える*ので、ある意味、たちが
悪いと思っているのですが……。
>また、CMMへのXPの適用も簡単だと思っています。
>具体的には、XPを含めた、開発手法に応じたメトリックスなどのKPAへの適用マッ
>プ(シナリオ)をつくっておき、これを開発組織・プロジェクトごとに選択・カ
>スタマイズできるようにすれば良いと思います。
レベル1やレベル2なら特に問題ないでしょうね。
それ以上にレベルを上げていこうとする場合について言っているつもりです。
>問題は、導入組織の品質管理部とか生産技術部が柔軟な規定をつくれるかです。
>濱井さんがいわれている *深刻な問題* はここに起因している気がします。
規定は変えられますし、「品質管理部とか生産技術部」だけで
決めなければならないものではないのでそれほど気にしていません。
取得のために、規定をでっち上げるというようなことさえなければ大きな
問題にはならないでしょう。
私がCMMに深刻な問題があると言っているのは、「CMMは、ソフトウェア開発
プロセスではなく工場の製造プロセスをモデルにしている」と思わざるを
得ないからです。
[XP-jp:02865]で上げた以外に、もっと重大なものもあります。
それは、CMMというモデルには、企業として最も重要な、「顧客を満足させ、
顧客と自社とに利益をもたらす」という観点からの評価が見あたらないこと
です。
何をつくるか基本的に決められている、工場ならば納期やコストが重要に
なりますが、何をつくるかを顧客と一緒にもしくは自分たち自身で
決められるソフトウェア開発では、そのつくったものが顧客に歓ばれるもの
か、顧客の利益になるものかの方が納期やコストよりはるかに重要です。
顧客にとって何の役にも立たないものなら、いくら予定どおりの納期と
コストで開発できても意味はありません。逆に、顧客にとって多大な
メリットをもたらすものなら、納期もコストも大幅に超過したとしても顧客
は容認してくれるでしょう。
パッケージソフトなら、予定通りの時期に予定通りのコストで開発できたか
よりも、そのソフトがどれだけ売れたかの方が重要です。売れなければ、
開発期間やコストが予定通りであっても意味はありません。開発期間や
コストが2倍、3倍かかっても、売れ行きがそれ以上に良ければ大成功です。
# Microsoftは、開発予定が遅れることで有名ですが、それがMicrosoftの
# 経営に悪影響を与えている気配はほとんどありません。
>現在CMM(日本版SPA)はソフト企業にとって MUST になりつつあります。各社
>ともSPAアセッサーを一所懸命養成しつつある段階で、それなりの企業は2〜3
>年経てば対応せざるを得なくなります。ISO9001を止めて移行する会社も多そう
>です。
そうやって、日本のソフトウェア産業はますます泥沼に:-<