濱井さん、今日は、上手です。
> >分類の違うものを比較しても意味はありません。
>
> 比較しているのではなく、相性を議論しているつもりなんですが……。
なるほど。確かに相性は悪いですね。生まれ(出自)と育ちが違いすぎます。
XPはSmalltalkプログラマの開発習慣・環境をベースに下から発生した動き。
CMMはアメリカの国防総省の、発注先のソフト会社の「仕事をする能力があるか」
の評価基準で、ぱりぱりの上からの動きです。
CMMをアメリカのソフト企業の成功したプラクティス集と見ることもできますが、
開発組織全体の時系列的変化を対象にしている点で、「顧客とプログラマから構
成する開発チーム」に焦点を当てているXPとは異なります。
> そして、相性が悪いのは、CMMに深刻な問題があるからと私は判断した
> わけです。
CMM自体には、問題はないと思いますよ。
ハンフリーの書いた「プロセス成熟度の改善」は、昔愛読した本ですが、
CMMの根っこはここにあるわけで、言っていることは、しごく当然のことばかり
です。(#現在のCMMはそれからはかなり変質しているとは思います。)
また、CMMへのXPの適用も簡単だと思っています。
具体的には、XPを含めた、開発手法に応じたメトリックスなどのKPAへの適用マッ
プ(シナリオ)をつくっておき、これを開発組織・プロジェクトごとに選択・カ
スタマイズできるようにすれば良いと思います。
#昔は結構長い間悩みましたが、現在は結論を出しています。
問題は、導入組織の品質管理部とか生産技術部が柔軟な規定をつくれるかです。
濱井さんがいわれている *深刻な問題* はここに起因している気がします。
ISO9001やCMMなどの国際規格に準拠する品質システムを作る時には、階層的に考
えることが必要です。
規格の狙い(意図)/規格の要求/組織の品質システム
メタクラス/クラス/派生クラスとインスタンス、みたいな感じでしょうか?
審査機関は、規格の要求にあっているかどうかしか審査しません。それなのに、
組織の品質管理部が余計な要求を付け加えれば、それが全体としての要求に加わ
り、社内の内部監査の不適合になります。不適合を避けるために更に規定が追加
され、どんどん重くなる。品質管理担当や内部監査員は現場を知らない・・・
一例をあげれば、今時、「○○文書の承認印が無い」などということで規格から不
適合を出すISO9001の審査機関はありません。そんなものは形式上の問題で、品
質に関係ないからで、出てもイエローカード位です。
しかし、社内の品質システムの規定や、部でつくった規定に「試験項目数はxx%
とし、判定会議での承認を得た上・・・」などと書いてあれば、承認印が無けれ
ば、審査員は不適合を出さざるを得なくなります。
規格自体は何も要求していないのに、誰かが規定を付け加え、それがISO9001やCMM
の要求であると、品質管理部や現場が誤解している例です。
規格の狙いと規格の要求を理解し、「規格要求の以上でもないし以下でもない」
スリムな品質システムをつくれば良いのです。品質システムというのは対外的に
公開するものですから、自社ノウハウの部分は分離して、社内に閉じた別システ
ムにすれば良いでしょう。このあたりを誤解しているソフト会社は沢山あります。
現在CMM(日本版SPA)はソフト企業にとって MUST になりつつあります。各社
ともSPAアセッサーを一所懸命養成しつつある段階で、それなりの企業は2〜3
年経てば対応せざるを得なくなります。ISO9001を止めて移行する会社も多そう
です。
というわけで、XPとCMMの共存の道を探ってみました。
#公式見解です。
(では)