Index: [Article Count Order] [Thread]

Date:  Thu, 22 Nov 2001 14:17:15 +0900
From:  ono@....jp
Subject:  [XP-jp:02836] Re: 初心者を含むペアプログラミング
To:  extremeprogramming-jp@....jp
Message-Id:  <20011122141715C.ono@....jp>
In-Reply-To:  Your message of "Thu, 22 Nov 2001 12:07:20 +0900"	<20011122111412.4039.GENECH-KAWABATA@....jp>
References:  <20011122111412.4039.GENECH-KAWABATA@....jp>
X-Mail-Count: 02836

小野です。

>> Regarding [XP-jp:02834] 初心者を含むペアプログラミング; Kawabata Mituyoshi <genech-kawabata@....jp> adds:
 > はじめまして、川端と申します。
....
 > 初心者を含むペアプログラミングでも開発効率はあがる!という経験(意見でも)
 > のお持ちの方いらっしゃいませんでしょうか?

現在翻訳中の "eXtreme Programming Examined" 所収論文に、
Ford 社における XP プロジェクト実践録があります。

	The VCAPS Project: An Example of Transitioning to XP 
	Don Wells and Trish Buckley 

このなかに「最初のうちペアの経験レベルはいっしょのほうがよい」
「みんながペアプログラミングになれて来るとランクの問題は消えて行く」
という話があります。ちょっとまだ荒い翻訳ですが一部掲載します。

  > ペア・プログラミングとメンタリング
..........
  > どのようなプロジェクトであれ、ペアを組むことを絶対に避ける人が少しいて、
  > それに本当に意味があるのか疑問を持っている多くの人がいて、そして、やっ
  > てみようじゃないかと興味を示す人が少しだけいるものだ。後者のグループだ
  > けで十分だ。彼らにペアをやらせればよい。相当のことがないかぎり、彼らは
  > ペア・プログラミングを好きになるはずだ。トム・ソーヤーが友達に家のペン
  > キ塗りをやらせたように、他のプログラマたちも、なんか楽しそうにやってい
  > る割には多くの仕事を片付けているペアの連中に興味を抱くようになるはずだ。
  > 彼ら自身もペア・プログラミングをやりたいと思うようになるはずだ。それが
  > 自然に広まるのをまてばよい。
  > 
  > ペア・プログラミングは、VCAPSでは徐々に広がっていった。我々は最終的に、
  > ペア・プログラミングが成功する二つの要因 -- 「教える技術」と「経験レベ
  > ル」 -- があることに気付いた。ペア・プログラミングに対するチーム全体
  > に渡るような抵抗が、熟練者と非熟練者の両方から見られた。ペアのやり方を
  > 学ぼうと言うときには、双方が同じくらいの経験レベルでなくてはならない、
  > ということがわかったのだ。これが、生産性と士気とに大きな違いをもたらす。
  > 教師/生徒関係は、ペアの関係としてあまり効果的とはいえない。若いプログ
  > ラマにペアのやり方を教えようというときにも、大量のアドバイスで相手を圧
  > 倒させてはいけない。初心者と同じレベルに立ち、同じ歩調で進むべきだ。初
  > 心者に間違いをしてもらってもよいから、ペアとしての関係維持に集中すべき
  > だ。解決策にすぐさま飛びつくのではなく、ともに問題を解決するのだ。
  > 
  > また、ペア・プログラミングのやり方を学ぶ一番良い方法は、すでにやり方を
  > 知っている人から学ぶことだ、ということも発見した。ペア・プログラミング
  > は技術的なスキルではない。本を読んでダンスの仕方を学ぶような、社交的ス
  > キルなのだ。すでにやり方を知っている人がそばにいないのならば、似たよう
  > な経験レベルの人間とともにペアを組むべきだ。経験者と新人だと、ペアとし
  > ての関係ではなく教師/生徒関係を築いてしまうだろう。なぜなら、それが彼
  > らが既に知っているやり方だからだ。そのような事態を避けて、似たようなラ
  > ンクにある二人同士をペアにすべきだ。みんなが望ましいペア・プログラミン
  > グのやり方がわかってきたら、ランクの問題はなくなる。誰もが、いっしょに
  > 仕事をすればよりよい結果が出ることを理解するだろう。誰もが、他人の差し
  > 出した貢献を尊重するだろう。そうなれば、ペアという本来的な関係を脅かす
  > ことなく、教師/生徒という副次的関係をつくりあげることもできるだろう。
  > 
  > さらにわかったことは、全員と全員とをマッチングさせることに利点がある、
  > ということだった。非熟練者のペアでも、二人が「安全な」環境で相手から何
  > かを学ぶなかで問題を解決できるという理由でうまくいった。脅されていると
  > 感じたり、やる気を削がれたりそることが少なかったのだ。小さな成功が彼ら
  > の自信を深め、学習を促進し生産性を向上させた。同様に、熟練した開発者も
  > お互い同士のほうが、より大きなチャレンジを受けることになる。似通ってい
  > ないペアで何時間も過ごすと、熟練者と非熟練者の両方が、退屈してしまい、
  > やる気を失い、燃え尽きてしまうのだ。ある程度の時間は、同じランクの人間
  > からのチャレンジを受けるようにさせることが必要である。同ランク同士がペ
  > アとなるよう最初に準備しておけば、後になってからの不均衡なペアも、より
  > 効果的になった。非熟練者はもうやる気をそがれることがなく、自信を持ち始
  > めたからだ。チームの士気は改善しつつあった。


以上です。
小野 剛
e-Communications Dept, Telecom & Service Company /  SONY Corporation 
email: ono@....jp