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Date:  Wed, 26 Nov 2003 12:30:08 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部: 2003-24 号】

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                          No.24 2003/11/26

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┣【広告】オブジェクト倶楽部クリスマス会へのお誘い
┗【XP】XP実践家への道 [8] 第八道標 - 「四半期ごとのレビュー」と「4つの価値」 

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┗【広告】オブジェクト倶楽部クリスマス会へのお誘い

拝啓、朝晩が寒くて布団から出辛くなってきた今日この頃、皆様いかがおすご
しでしょうか。

最近は私の周りの開発現場でも、「UML」だの「オブジェクト指向」だのという
単語が、飛び交うようになってきました。Javaを使った開発は以前から皆やっ
ています。J2EEシステムも構築しました。もちろん、UMLだって活用しています。
・・・でも、果たしてオブジェクト指向というものを本当に実践できているの
か、私も、私の周囲も甚だ自信がもてなくて、なにかひっかかるものを抱えた
まま、日々の開発は進んでいます。
先日、こんなイベントを見つけました。「オブジェクト倶楽部」主催のクリス
マスイベント「オブジェクト指向実践者の集い」です。
http://www.ObjectClub.jp/event/2003christmas/

オープニングトークでは、XPで有名な平鍋健児氏が、「オブジェクト指向の本
当の理解とは何か」を話してくれるそうです。私のなかの「ひっかかり」に何
か光明が見えそうな気がします。
また、新人や、協力会社との共同開発でも、頭を抱えています。オブジェクト
指向開発の経験がない彼らに、どのようにしたら、抵抗なくオブジェクト指向
を教えることができるでしょうか。自分達の組織内でのオブジェクト指向の教
育は、頭の痛い問題です。
このクリスマスイベントでは、「オブジェクト指向再入門」の著者、金澤典子
氏の講演や、「オブジェクト脳」の著者、牛尾剛氏の講演があるそうです。オ
ブジェクト指向の教育や、理解を深めるための、面白い話を聞けそうです。

しかし、実装の現場では、もっと深刻です。
設計ミスによる手戻り、大幅な設計変更、腐ったソースコード、そしてデグレー
ドの嵐。(私の周囲では、デフレ・スパイラルならぬ、デグレ・スパイラルと
呼んで恐れられています)なにか根本的な解決はないのでしょうか。
それで最近、「テスト駆動開発」というものに改めて興味を持ち始めました。
最近はその手法やツールにもいろいろとバリエーションがあるようです。
これにも、ぴったりなセッションがありました。「テスト駆動開発テクニック&
最新アジャイルテスティング事情」というセッションがあるようです。実際の
TDDを体験できたり、最新事情が聞けたりするようです。セッションの担当は、
JavaPressのVol.33に平鍋氏と「車窓からのTDD」という記事を寄せていた、北
野弘治氏らしいです。
自分たちなりにも、テストを書いてみていますが、このテストを書くのが意外
に難しく、頭を抱えています。また既に書かれてしまったコードによっては、
テストが書き辛く、テストを書くことが重荷となっています。
クリスマス会では、XPユーザグループで活動されている小井土亨氏が、「テ
ストパターン検討会」というセッションで、良いテストのためのプログラム構
造やテストのパターンを紹介するようです。
さて、TDDといえば、XPですよね。JavaDeveloperの12月号は読まれましたか?
「基幹システム開発へのXP導入法」という面白い記事が載っていました。その
記事を書いた倉貫義人氏が、平鍋氏と一緒に「XPアンチプラクティスを探る」
というセッションをやるそうです。これも面白そうだと思いませんか。

XPだと、みんなで設計を決めていったりするじゃないですか。みんなでなんか
決めるときって誰が音頭をとるかによって、成果の良し悪しが決まったりしま
すよね。生産性もけた違いに良かったり悪かったりするし。
最近知ったのですが、「ファシリテーション」という技術があるそうです。こ
の「ファシリテーション」の国内での第一人者で本間直人氏という方が、「技
術者のコミュニケーションを見つめ直すワークショップ」というセッションを
やるそうです。良い会議の仕方の参考になりそうだし、場を読むための何かを
得られるんじゃないかと興味深々です。

後半に紹介した4つのセッションは、参加するものを、どれか一つを選ばなけ
ればいけないそうです。どれも興味があって困ってしまいます。
よかったら一緒に別のセッションに参加して、後でお互い報告会しませんか。
お返事お待ちしています。

敬具
(いりさ)
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┗【XP】XP実践家への道 [8] 第八道標 - 「四半期ごとのレビュー」と「4つの価値」

 こんにちは、天野勝です。
 今回から読まれる方もいらっしゃると思いますので、簡単にこの連載の概要を
説明します。この連載はRoy W. Miller(*1)の提案しているXPのプラクティス(*2)
を、筆者の解釈のもと、皆様に紹介していきます。

   ☆   ☆   ☆

今回は管理者のプラクティスである「四半期ごとのレビュー」と、プラクティス
というわけではありませんが「4つの価値」について説明します。

■プロジェクトの協力者
突然プロジェクトの状況や条件が変ったことってありますか?
それも見ず知らずの人に勝手に変えられた、なんて思うことは多いのではないで
しょうか。
スコープが増えた、リリースが早まった、予算が削られた、などはソフトウェア
業界の開発プロジェクトでは通常起こっていることですよね。まったく、開発す
るほうの身になって考えて欲しいものです。
でもこれって、その見ず知らずの人がプロジェクトのことを数値や報告書だけで
しか見ていなく、誰がどのようになどといった人を見ていないときによく起こる
のではないでしょうか。
「四半期ごとのレビュー」では、プロジェクトの関係者を集め、顔を合わせて、
プロジェクトの進捗や問題点について報告を行います。このとき特に、顧客の上
司や開発側の上司などの強い権限を持っている人を参加させるのがポイントです。
このような権限者とコミュニケーションをとることによって、プロジェクトは人
が行っているということを強く意識付けられ、スコープに関して助言があったり、
予算やリソースなどの都合をつけてくれるなどの行動を取ってくれる可能性が増
えることでしょう。いきなりプロジェクトがキャンセルされるなどの可能性は低
くなります。プロジェクトの関係者全員が、プロジェクトの協力者になればこん
な心強いことはないですよね。

2階建ての家で自分の子供が2階でドタドタしているのと、マンションで他人の子
供が上の階でドタドタしているのでは感じ方が違いますよね。マンションでも上
の階の子が自分の子供の同級生で、自分の家によく出入りするぐらい仲がよけれ
ば、それもまた感じ方が違いますよね。あまり聞きたくない音も、誰が立ててい
るのかで感じ方が違うものです。

■同じ価値観を持つのが大事
友人や恋人と不仲になる原因にひとつに「価値観が違うから」という理由があり
ます。バンドなんかは、「音楽の方向性が違う」とかの理由で解散することが良
くありますよね。これも一種の価値観の違いでしょう。
表面的な付き合いだけならばいいのですが、深く付き合うほどに、または深く付
き合わなくてはならない状況においては、同じ価値観を持っているかどうかが、
活動に大きな影響を与えるのです。
XPではチームの共通の価値観に「4つの価値」が必要であると説いています。
「コミュニケーション」「シンプル」「フィードバック」「勇気」が、その4つ
の価値です。

上の階の子供がドタドタしているのをやめさせるには、子供に注意することが必
要です。
「拝啓・・・下の階の者ですが・・・」とながながと手紙を書いて上の階の郵便
受けに入れたのでは、読んでくれたかどうか分かりません。そこで、「勇気」を
出して上の階に行き「コミュニケーション」をとって「シンプル」に説明をして
分かってもらえたか「フィードバック」を確認すれば、子供たちも分かってくれ
るでしょう。
ただし、ドタドタしていないときに言ってもあまり効果がありませんので、ドタ
ドタ始めたら「素早く具体的にフィードバック」する必要があります。
 
    ☆   ☆   ☆
 
今回は管理者のプラクティスから「四半期ごとのレビュー」と、プラクティスと
いうわけではありませんが「4つの価値」を説明しました。次回は、開発者のプ
ラクティスの「テスト駆動開発」と「リファクタリング」について説明いたしま
す。フィードバックがあるとこの連載もよりよいものになると思いますので、ぜ
ひこの連載に対するご意見お待ちしています。(天野勝)
 
*1: 「XP エクストリーム・プログラミング 適用編」の著者です

*2: http://www-6.ibm.com/jp/developerworks/java/021018/j_j-xp0813.html
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イマイチ:
http://objectclub.esm.co.jp/cgi-bin/question.cgi?G001+7+2
 
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┗編集後記

はじめまして。編集人パート2のさとみです。
少し前から、編集人いりささんの お手伝いをさせていただいております。

さて、上記、いりささんの記事でもご紹介しました、オブジェクト倶楽部クリ
スマス会の準備も着々と進んでおります。イベント当日には私もスタッフとし
て参加させていただく予定です。今後、メルマガでも、イベントでも、みなさ
まにお会いできることを楽しみにしています。みなさまのご期待にお応えでき
るよう、精一杯頑張ります。

なお、11月22日付けの某@ITに、平鍋さんを含む4名の“革命家”の記事が
掲載されています。題して「オブジェクト指向の弱点」。平鍋さんは永和カ
ラーの黄色で登場です。連載ですので、この続きも大変気になります。
http://www.atmarkit.co.jp/fjava/devs/roundtable01/roundtable01.html

また、オブジェクト倶楽部:2003-11号でも掲載しましたko-chanさん、平鍋
さんの記事 「車窓からのTDD」が、11月18日に発売されたJAVA PRESS Vol.33
(一般記事)に掲載されています。テスト駆動開発を楽しんで体感できます。
既に読まれた方も、まだ読まれていない方もこの機会にどーぞご覧ください。
http://www.gihyo.co.jp/magazines/javapress/contents
(さとみ)

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■ 編集代表:平鍋  健児
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