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Date:  Wed, 05 Nov 2003 12:31:56 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部: 2003-21号】

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                          No.21 2003/11/05

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┣【Topics】オブジェクト倶楽部クリスマスイベント詳細決定!
┣【プログラミング】ソフトウェア原則 - ちょっと横道 その1 JTP(Joshua Tree Principle)
┗【PM】プロジェクトマネジメント入門 [7]

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 〇  オブジェクト倶楽部クリスマスイベント詳細決定!
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オブジェクト倶楽部では、クリスマスに向けてイベントを開催します。
オブジェクト指向業界での著名人の講演から、ミニワークショップまで、遊び
心を織り交ぜた、楽しい、役に立つ「クリスマス会」です。
多数のご参加をお待ちしております。
また、ミニワークショップの枠をお手伝いくださる方を募集しています。詳細
は告知ページにて。

詳細:
http://www.ObjectClub.jp/event/2003christmas/

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┗【プログラミング】ソフトウェア原則 - ちょっと横道 その1 JTP(Joshua Tree Principle)

前回は、SRP(Single Responsibility Principle)を解説し、抽象(あるいはク
ラス)は一つの責務を持つべきこと、また、よい名前を持つことが本質的であ
ることを書きました。何人かの方から感想を頂き、特に名前の重要性について
賛同していただきました(ありがとうございました)。

さて、そこで今回と次回は趣向を変え、名前についてのエピソードを紹介した
いと思います。
本来のソフトウェアの原則シリーズから逸れてしまうので、「ちょっと横道」
です。

名前に関する横道1 JTP: Joshua Tree Principle

この原則は私が大好きなデザインの本である、"The Non Designer's Design Book"(*1)
の冒頭で、著者の Robin Williams(*2) が述べている法則です。

彼は、自分が住む町の図書館で植物図鑑をたまたま見ているときに、Joshua Tree
という名前の木があることを始めて知りました。図鑑に写真入りで解説されて
いるその木は、彼が長く住むこの町では見たことがない。しかし図書館から自
宅への帰り道、至るところでJoshua Tree を発見する。今まで一度も見たこと
がない、と思っていた木を。

このエピソードの核心は、「名前を知ったとたん、それが見えるようになる」、
ということです。逆にいえば、
「名前がなければ(知らなければ)、それは見えない」ということ(*3)。

例えば、私執筆しているこの原則シリーズでは、ソフトウェアの原則を名前と
ともに紹介していますが、原則に名前があること、これが重要なのです。名前
があるおかげで、その原則の輪郭がはっきりして記憶にとどまることができる。
これは、ソフトウェアパターンやプラクティスも同じですし、より小さいスケー
ルではクラス名や変数名などすべての名前に当てはまるものです。

          *        *           *

名前、それは一番重要な「意図を運ぶメディア」だと思います。
私も今回のエピソードは、この名前(Joshua Tree Principle)があったからこそ
覚えていたものです。(平鍋)

*1: http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4895630072/xpjp-22
*2: あの映画俳優と同姓同名です(私は『フィッシャーキング』が一番好き)。
*3: The Non Designer's Design Book では、この話から始まり、デザインの原
  則を4つ、名前とともに導入します。ちなみにこの本は、デザインに関す
  るすばらしい本です(書名に The を使っても許される!)。
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┗【PM】プロジェクトマネジメント入門 [7]

前回まで2回連続で「5W1H」についてお話をしました。これらは、プロジェク
トマメジメントの重要項目で、言い換えれば、これらの項目に対してプロジェ
クトの計画と実施が行われます。

詳しく説明すると、このプロジェクト計画は、「計画・立案」段階と、この計
画に対して関係する部署やパートナと調整し決定する「調整・計画確定」段階
を経ます。作業項目や内容に漏れがないか、期間やリソース、経費は適当かな
どです。ここで、合意、決定された計画を予実比較で使用する基準となります。
この基準を「ベースライン」と言います。
プロジェクト実施は、先のプロジェクト計画に沿って「予実比較・評価」が行
われ、計画を変更しなくてはならない事態に陥った場合には「計画修正」が行
われます。この予実比較を行うためには実績値が必要となります。この実績値
の収集のために、プロジェクト関係者は作業に費やした工数(時間)を報告し
たり、経費をプロジェクト別に集計・請求します。
プロジェクトが終了を迎えた後に、この予実比較・評価からプロジェクトの評
価が行われます。
このようなプロジェクトマネジメントの概念は、現在では皆さん持たれている
かと思いますが、日本国内においてこのような概念を持たれ始めたのはここ20
年程度と言われており、世界に比べれば遅れているのが実情のようです。

さて、日本で本格的にプロジェクトマネジメントに取り組んだのはエンジニア
リング業界です。エンジニアリング業界は、海外でのプラント工事が多く、こ
れら工事を行う上でプロジェクトマネジメントの実施が必要となったことが理
由と聞いています。エンジニアリング業界で得たノウハウが建築業界などの大
型プロジェクトに波及し、今では、業界を問わずにまた、規模を問わずに普及
しています。私達が従事している情報処理業界でも、システム開発やパッケー
ジ・製品開発などにも適用されています。

次回からは、このような現実のなか、プロジェクトマネジメントの手法を歴史
とともにお話したいと思います。(事務局長)
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┗編集後記

こんにちは、編集人です。
人間は「名前」を得て初めて「認知」する、今回の「ソフトウェア原則」です
が、いりさもこの記事を見て、学生のころを思い出しました。(何年前かは言
えません(笑))(#飲み屋で平鍋さんに同じ話を聞いたときには、思い出せな
かったのは、いかに飲みの会話上では情報が散漫に処理されてるか。。。)

卒業論文で、赤ん坊の学習過程について調べていたことがあるのですが、その
ときにも同じフレーズがありました。同じ人間の「認知」のことですので、同
じであるのは当たり前ですが、赤ん坊(子供)も、物体の「名前」を得た方が
学習、認知が進む、という話だったと思います。

さて、「物体やものごとの認識」といえば、「オブジェクト指向」が、「人間
にわかりやすい」というのは、こういう認知的な側面があるんですね、きっと。
(あたりまえ?)(いりさ)

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■ 編集代表:平鍋  健児
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