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Date:  Wed, 17 Sep 2003 12:38:18 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部:2003-14号】

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                          No.14 2003/09/17

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┣【キーワード】知ってるようで分からないビジネスワード勉強会「SCM」
┗【XP】XP実践家への道 [3] 「共通の語彙」と「オープンな作業空間」

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┗【キーワード】知ってるようで分からないビジネスワード勉強会「SCM」

こんにちは。9月になったというのに信じられないくらい熱い日々が続いていま
す。今年の2月に福井から出てきた私にとってはとてもきつい気候です。
毎日、最寄り駅から15分くらい歩いて、家に着くころには汗だくになっていま
す。帰り着くと、いつものように、エアコンの設定温度を18度、風量は最強に
して、体を悪くするような部屋を作り上げます。そんな時、私の左手には最高
の飲み物、「麦酒(ビール)」が握られています。
このビールのおいしさの秘密は、お客様の手に届くまでに徹底的に品質管理を
されていることです。

ITで品質管理をするパッケージに「SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)」
というものがあります。ということで、今回は品質管理という視点からSCMにつ
いてお話したいと思います。

品質管理、それは、商品を常に最良の状態でお客様に届ける、ということで、
ビールで言えば、古い在庫を無くして、常に新鮮な商品をお客様に提供すると
いうことではないでしょうか。あるビール会社の本には、「これから、新鮮な
ビールをお客様に提供し続ける」という目的を掲げた際に、全国の一定期間以
上置かれていた在庫を全て回収し、新鮮なものと入れ替えたと書かれています。
必要とされる量だけを提供し続ければ、余分な在庫は減りそれに関連する経費
も削減され、お客様にも新鮮な商品を提供できる、という好循環が生まれます。
「売るところと作るところをつなげて管理する」、そのような商品管理をする
のがSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)なわけです。

SCMパッケージは、取引先や顧客との受発注や資材の調達、製品の発送までをシ
ステムで管理し、無駄な在庫を無くし、コストの引き下げをします。といって
も、どうやって適正な量の仕入れなどをするのでしょうか。
それには秘密があり、SCMパッケージの中核には数々の要因から適正な仕入れ数
の目安を決定する、SCP(サプライ・チェーン・プランニング)ツールというSCM
ソフトが用意されています。
SCMソフトは、生産管理系ソフトから発展してきたもので、需要予測、物流、在
庫計画、生産計画、納期確認・回答など、SCM導入に必要な基本機能のすべてが
そろっています。

しかし、これではじき出せば、私たちはいつでもおいしいビールが飲めるよう
になると考えるのは甘いようです。SCMは仕入先や、販売子会社など社外との連
携が取れて初めて効率的な商品の提供が可能になります。
他のビジネス情報系パッケージと同様に経営戦略を綿密に立てて、他者との関
連をしっかりと取っていくことが本当の導入成功に繋がるといえます。

一年を通じておいしいビールを飲みたいと思っている人はたくさんいるはずで
す。ビールだけではなく、最適のタイミングで本当にほしいものが手に入ると
いうことが、顧客の求めているものなんだなと考えながら今回は終了します。
それではまた。(hiroshi)

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┗【XP】XP実践家への道 [3] 「共通の語彙」と「オープンな作業空間」

こんにちは、天野勝です。
今回から読まれる方もいらっると思いますので、簡単にこの連載の概要を説明
します。この連載はRoy W. Miller(*1)の提案しているXPのプラクティス(*2)
を、筆者の解釈にもとづき皆様に紹介していくというものです。

   ☆   ☆   ☆

■会話を短くしよう
みなさん、ペアプロしています?ペアプロしていて困ることはありませんか?
ペアに何か説明するのに時間が長くかかってしまうという経験があるのではな
いでしょうか。また、きちっと理解したつもりだけど勘違いしていたという経
験もあることでしょう。「Low-Context」と「High-Context」という考え方があ
ります。
Low-Contextは情報を交換するときにお互いが持っているバックグラウンドが共
有されていなかったりして、1から10まで説明をしなければならないといったこ
とです。
High-Contextは共通のバックグラウンドを持っていて1を聞いて10を知るといっ
た感じに、少ないことで多くのことを伝えられるといったことです。

コミュニケーションのとり方のタイプとして、日本人はHigh-Contextが多かっ
たのですが、最近は少なくなりつつあるようです。
会話を短くするには、やはりバックグラウンドを共有しておく必要があるでしょ
う。デザインパターンを知っている同士と、知らない同士では会話の量と、交
換される情報の密度の違いは明らかです。システムに関するいろいろな用語も、
チーム全員で共有しましょう。

この考えが「共通の語彙」です。短い言葉で、正確に、より多くの情報を交換
できることでしょう。
共通の語彙によりもうひとつ大きな効果が期待できます。それは「より強いチー
ムワーク」です。他の人が知らない言葉を、知っているもの同士だけで使うと
いうのは意外と快感で、団結力を強くします。ちょっと前まで「ギャル語」な
るものが流行っていましたが、これもこのギャル語により強いコミュニティを
形成していたように思えませんか。

■もっと話そう
必要なことはとことん話す必要があります。チームのバックグラウンドは共有
化されてきました。次は、「場」が必要です。チーム同士でいつでも気軽に話
せる環境を用意しましょう。政治的な要因などにより、チームメンバーが物理
的に同じ場所で作業できないこともあるでしょう。そんなときでも、密に話せ
るような環境作りを考えましょう。最近のブロードバンド環境を有効に使えば、
それなりに効果を得ることができます。
一方、同じ場所で作業をしていてもパーティションを取り払っただけでは、効
果は期待できません。如何にチーム同士の心的な距離を近くし、対話できる環
境を用意するというのが「オープンな作業空間」の本質的なところではないで
しょうか。

   ☆   ☆   ☆

今回は共通のプラクティスから「共通の語彙」と「オープンな作業空間」を説
明しました。今までの日本が普通にやっていたことだなと感じた方が多いので
はないでしょうか。次回は、顧客のプラクティスの「ストーリ伝達」と「受け
入れテスト」について説明いたします。この連載に対するご意見お待ちしてい
ます。(天野勝)

*1: 「XP エクストリーム・プログラミング 適用編」の著者です

*2: http://www-6.ibm.com/jp/developerworks/java/021018/j_j-xp0813.html

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┗編集後記

こんにちは、編集人です。
今更暑いです。阪神も優勝しちゃったりして、更に熱いです。
昨日から、どこのチャンネルでも六甲おろしを聞かされていて、未だに頭の中
をぐるぐる回っています。(#いりさは阪神ファンなわけではありません)
因みにうちの事務所の人は福井出身が大半なので、「どちらかというと巨人
ファン」が多いみたいです。

経済効果が何千億だのと言われてますが、これまで「巨人優勝」とか、いろん
なイベントでの経済効果って、実際にあったんですかねえ?あまり経済効果の
結果についてのレポートって聞いたことがありません。
なんにせよ、経済効果があがって、ちょっとは景気が良くなって欲しい、とい
うのは、皆願ってることですよね。

このメルマガ配信前後に、関東に地震が起きるなんて噂が流れてますが、何事
もないことを祈りつつ。(いりさ)

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