Date:  Wed, 09 Nov 2005 12:55:34 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部: 2005-41号】
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                          No.116 2005/11/09

■ I N D E X
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┣【Topics】クリスマスイベント詳細公開!
┣【アンビエント】「フリースペース」が「イベント2.0」を実現させる?
┣【設計】ソフトウェアのお言葉[10] - 決定をできるだけ遅らせる
┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

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 〇  クリスマスイベント詳細公開!
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オブジェクト倶楽部2005クリスマスイベントの詳細を公開しました。主賓講演
は、富士通総研の前川徹氏。『ソフトウェアの生産性と品質を向上させる鍵は
何か』をテーマにお話いただきます。気になるセッションの方も決定しました。
毎回好評のライトニングトークスのトーカーも、今回はテーマフリーで募集し
ます!奮ってご参加ください。参加登録はもうすぐです!

http://www.ObjectClub.jp/event/2005christmas/


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┗【アンビエント】「フリースペース」が「イベント2.0」を実現させる?

今年のオブジェクト倶楽部のクリスマスイベントでは「フリースペース」とい
う枠を用意しています。ここでの「フリー」は「フリービール(ビールは無料)」
ではなく、「フリースピーチ(言論の自由)」のほうの「フリー」です。といっ
ても、参加費をいただいている以上、フリービールのほうではありえませんね。
蛇足でした。

さて。フリースペースは文字通り、参加者の皆さんがフリーに(有り体にいえば
勝手に)利用することを目的として提供します。なので、日頃磨いたジャグリン
グの技を(窓や蛍光灯を割らない範囲で)5分といわず披露したり、日頃自分が気
になるトピックに関するミニセッションを開催しても良いでしょう。もちろん、
単に他の参加者とのおしゃべりを楽しんでいただくもまた善し。フリースペー
スでプロジェクト成功の鍵を見つけるも自由。見つけないも自由。勝手にしや
がれ。A Bout de Souffle[*1]。ちなみに"A Bout de Shouffle"とは「息切れ
(するほど疲労困憊)」という意味だそうです。なにやら示唆深いですね(?)

今回のイベントでは参加者同士の交流促進を目的としたコンテンツとして他に
も、前回のメルマガで紹介した[*2]「ワールドカフェ」を実施します。こちら
はフリースペースよりもより「規律」が強く、システム的に交流促進を狙いま
す。一方のフリースペースは基本的に野放しです。

他にもこうした時間と場所の活用法として「オープンスペース」という手法[*3]
があります。「フリー」あるところに「オープン」あり。今回は我われの力及
ばず準備に至ることができませんでしたが、フリースペースの活用法のひとつ
として参考になります。「オープンスペース」は、特定の嗜好を持った人たち
がそれなりの人数で集まる時空間でミニカンファレンスを効果的に自己組織化
させて開催する手法です。イベント当日に、フリースペースでオープンスペー
スを開催してしまうというのも面白いかもしれません。

残念ながら他のセッションのテレビ中継はありません[*4]が、オブジェクト倶
楽部イベントの場を利用して、みなさん自身の手で、みなさん自身が楽しめる
イベントを創りだしてみてください。フリースペースは共通のプラットフォー
ムを基礎に、ユーザが好きなようにコンテンツを組み立てる仕組を提供します。
イマドキの表現に倣うならば「イベント2.0」です;-p) イベント当日にどんな
光景に出会うことができるのでしょうか。今から楽しみにしています。
(かくたに)

[1]:http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B00006F1UY/xpjp-22/

[2]:http://www.objectclub.jp/ml-arch/magazine/121.html#worldcafe

[3]:http://capsctrl.que.jp/kdmsnr/wiki/bliki/?OpenSpace

[4]:http://akiyah.bglb.jp/blog/1112
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┗【設計】ソフトウェアのお言葉[10] - 決定をできるだけ遅らせる

こんにちは、天野勝です。
今回のお言葉は「決定をできるだけ遅らせる」です。筆者がこの言葉を初めて
見たのは、Extreme Programming(XP)について調査をしているときでした。この
言葉は、アジャイル開発の中心的な考え方の一つであり、リーンソフトウェア
開発では、7つの原則のうちの一つとして、位置づけられています。「決定をで
きるだけ遅らせる」というこのお言葉を、今回も筆者の独断と偏見で、解釈、
解説してみます。

○「決定をできるだけ遅らせる」とは
この言葉の意味するところは、重要な事柄であればあるほど、決定する時期を
遅くする方が得をするということです。特にユーザの要求が変わりやすいうえ
に、ユーザの要求を最重要事項として取り扱う場合は、なおさら決定を遅らせ
たいものです。この考えの発展系として、EUC(End User Computing:利用者に
よる積極的コンピュータ活用)があります。多少毛色は違いますが、利用者が関
心を示しやすいユーザインタフェースの外見については、SKINの機能により、
利用者自らが変更できる仕組みなどが提供されているアプリケーションもよく
あります。
当然、どこまでも遅くできるというわけではないので、最終的な決定時点があ
ります。その最終決定時点を遅くするために、決定がなされたらお客さんに成
果物を「できるだけ早く提供する」必要があります。

○どうすれば「決定をできるだけ遅らせる」ことができるか
では、実際にどのようにして決定をできるだけ遅らせるのでしょうか。ぎりぎ
りまで、決定せずに、決定したら素早くそれを実現するための技術の一つとし
て、最近ではDI(Dependency Injection:依存性注入)コンテナがあります。
DIコンテナを使うと、インスタンスの生成をコンテナに任せることができるよ
うになります。これはどういうことかというと、一般的なオブジェクト指向言
語だと、あるクラスのインスタンスを生成するためには、そのクラスをプログ
ラム中に「new クラス名」と指定する必要があります。一方、DIコンテナでは、
プログラム中にはインターフェース名だけを記述しておき、どのクラスのイン
スタンスを生成するかは、設定ファイルに記述します。わざわざ再コンパイル
しなくてもよいので、設定ファイルを書き換えるだけで、その挙動を決定でき
ますので、ぎりぎりまで決定を遅らせることができるのです。

○「できるだけ早く提供する」もう一つのアプローチ
DIコンテナは、どちらかというと保守しやすさを考慮することで、「できるだ
け早く提供する」ようになっていますが、もう一つのアプローチとしては、新
規開発の生産性を向上させるというのもあります。ちまちまと修正するよりは、
作り直したほうがよっぽど早いという考えです。この代表的な技術がRailsです。
実装としては、Ruby on Railsが有名で、コンパイルの不要なスクリプト言語を
使っているところに注目してください。スクリプト言語の場合、コンパイルと
いう工程をほとんど考えなくてもよいので、コーディングと実行の間隔が限り
なく近くなります。つまり、設定ファイルを修正して再実行するのと、プログ
ラムを修正して再実行することの違いがあまりないのです。

○そしてアジャイル開発へ
DIコンテナと、Railsという技術をご紹介しました。このような技術を使うと、
素早く開発できるというのが感覚としてイメージできたでしょうか。そして、
これらの技術により、アジャイル開発が行い易くなるのは事実です。
とは言っても、「スクリプト言語を業務で使うのは無理なのでは」と思う方も
いらっしゃるかもしれません。しかし、これは時間が解決してくれると筆者は
考えています。なぜならば、ちょっと前まではパソコンをサーバにしたシステ
ムや、Javaで業務システムを作るなんて考えられなかったのが、今では一般的
になっているという現実があります。そう遠くはない未来に、スクリプト言語
が世の中を席巻しているかもしれませんね。(天野勝)
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┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

今週は「どちらにお住まいですか?」のホントのところ。編集後記でお天気ネ
タに触れようとした際、みなさんどちらにお住まいなの?とふと思うことがあ
ります。みなさん、どちらにお住まいなんですか?

  北海道
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=82&choice=0
  東北
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=82&choice=1
  関東
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=82&choice=2
  北信越
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=82&choice=3
  東海・近畿
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=82&choice=4
  中国
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=82&choice=5
  四国
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=82&choice=6
  九州・沖縄
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=82&choice=7
  日本国外
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=82&choice=8
  それは秘密です。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=82&choice=9
  ちょっと語らせて!
     editors@ObjectClub.jp まで詳細を!!

アンケート結果はオブジェクト倶楽部サイト上にて公開します。お楽しみに。
なお、前号「秋といえば何ですか?」の結果は公開中。ぜひご覧下さい。
⇒http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vol81/PlonePopoll_results2
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┗編集後記

こんにちは、編集人です。K-1にて、曙の対戦が決定しましたね。倒れても倒れ
ても参戦する曙。その意気込みには感心します。次こそは勝てると言う信念の
現れでしょうか。
今回で第5回を迎えるオブラブイベント。曙にも負けない意気込みで準備中です。
参加登録開始はいよいよ来週の予定です!

今週の強引な一言
*** 薬よりも養生(ことわざ)***
IDEのウィザードで、一時的に開発の生産性を向上することができるかもしれま
せんが、保守が難しくなる傾向があります。生産性を上げるならば、基本的な
プログラミング能力や、コンピュータはなぜ動くのかといった基礎力向上を図
ることこそ重要ですよね。
(さとみ)

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■ 編集代表:平鍋  健児
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