Date:  Wed, 03 Aug 2005 13:41:14 +0900
Subject:  【オブジェクト倶楽部: 2005-28号】

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                          No.103 2005/08/03

■ I N D E X
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┣【Topics】JUDE/Community1.6, JUDE/Professional2.3リリース!
┣【PF】価値と原則[7]
┣【キーワード】知ってるようで分からないビジネスワード勉強会[20]
┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

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 〇  JUDE/Community1.6, JUDE/Professional2.3リリース!
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JUDE/Communityでは今回、操作性や不具合修正を中心に改善を行いました。
JUDE/Professionalではさらに、マインドマップの表現力・操作性を大幅に向上。
エリクソン・ペンカーのプロセス図に対応したほか、ユースケース記述テンプ
レートのカスタマイズ機能も加わっています。詳細は以下のページをご覧くだ
さい。http://www.esm.jp/jude-web/index.html

また、タイムド(動作期間限定)ライセンスやボリュームディスカウントされた
ライセンスパックが登場し、プロジェクトに合わせたライセンス選定の幅が広
がりました。オフショア開発にお使いいただけるように海外販売も始まってい
ます。

       成長を続けるJUDEに今後もご期待ください!

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┗【PF】価値と原則[7]

 前回は、プロジェクトファシリテーションが大切にする5つの「価値(value)」
を実現するための「原則(principle)」の1つ1つを示していきました。今回はそ
の続きです

●名前づけ
チームが改善をかさねて行く過程で、ノウハウ、知識、ナレッジと呼ばれるも
のが「気づき」として蓄積されます。最初、それは個人の中にあり、それを口
に出すことでチームとして組織化されます。問題は、これをチームとしてどう
扱うか、あるいは、チームを超えてどう伝えるか、です。

気づきによって得た知識(ナレッジ)を、チームに定着させたり、チーム外の
人に伝えたりするにはどうしたらよいでしょうか?

気づきによって得た知識に名前をつけましょう。知識を、書き出したり、他人
に伝えたりしていくと、その輪郭が浮かんできます。それに、名前をつけるの
です。名前を付けることによって、その気づきは「ラベル」を得て、次の気づ
きへと進む足場となることができます。他人へ強い印象を与えることもできま
す。名前を付けることで、人間はその存在を認識することができるようになる
のです(この事実には、「ヨシュアツリーの原則(Joshua Tree's Principle)」(*1)
という名前が付いています)。

問題を解決する方法には、ブレークダウンによる方法(Divide and Conquer)と、
もう一つ、名前づけによる方法(Name and Conquer)(*2)があります。名前を付
けることでその存在の輪郭をくっきりと周囲から切り取って示すことができる
のです。ある人は、アイディアを得たときに「名前をつけておかないと、どっ
かへいっちゃう!」という表現をしています。

●初めよければすべてよし
チームでミーティングを行う場合、議題の順序に迷っています。また、チーム
が開発する機能の順序に迷っています。どのようにチームが扱う問題の順序を
選んだらよいでしょうか。

良いこと、心地よいこと、成功すること、を先に行ないましょう。そして、次
にハードな課題を扱いましょう。ミーティングにおいては、場の雰囲気が存在
し、個々人がこの雰囲気にうまく溶け込むことで、よい会議を生み出します。
会議を「安全」で「生産的」に行なうために、アイスブレーカー、よいニュー
ス、褒めること、を議題の先頭に持っていくようにします。

たとえば、Keep/Problem/Tryによる「ふりかえり」を行なう際には、まずKeep
を出します。これは、「良かったこと」を先に口に出すことを意味しています。
自分たちの成功を自分たちで認識することからはじめ、次に問題点を口にしま
す。順序が逆では、全員が問題解決に素直に向えない、という状況が起こりえ
るのです。

また、開発がはじまったばかりのチームで機能に選択の余地がある場合、まず
やさしい問題を1つ片付けてから、次にハードな問題に取り掛かりましょう。
これをAlistair Cockburnは"Early Victory"(早期の成功体験)と呼んでいます。
最初に小さな勝利を味わうことで、チームは一体感を増し、次のハードな問題
の成功率が上がります。

私はかつて週に一度、月曜のチーム会議のときに、「ハイ・アンド・ロー」と
呼ぶゲームを行なっていました(*3)。これは、週末にメンバーが遭遇した「ハ
イ=良かったこと」と「ロー=悪かったこと」を一言ずつ発表するものです。
このアクティビティは、プロジェクトにおいて仕事以外の話題で個々人の価値
観の多様性を受け入れて信頼関係を築くという目的があります。ここでも、ま
ず「ハイ」を先に、次に「ロー」を発表するようにしていました。

さらに、人に対してアドバイスをするときもこの原則が使えます。ハードな批
判を最初に行なうのではなく、まず、具体的によい点に言及してから、次に改
善点に関するアドバイスを行なう。これによって聞き手の受け入れ方が全く違
うことがよくあります。コーチング技法にも、「まず褒める」があります。
(平鍋)

[1]:私の好きなWebデザイナーであるRobin Williams(映画スターではありませ
    ん)が、著書Non-Designers' Design Bookの前書きで、「ヨシュアツリー
    の原則(Joshua Tree’s Principle)」という原則を書いています。著者は、
    ヨシュアツリーという木があることを図書館の本で知り、「こんな木は見
    たことないな」と思います。ところが、図書館から自宅への帰り道、この
    木がたくさん生えていることを発見します。人間は、名前を得ることで、
    その存在を発見する、というのがこの原則です。

[2]:平鍋が命名した問題解決法の1つ。

[3]:初は「グッドアンドバッド」という名前でしたが、あるアメリカ映画で家
    族がこのゲームをやっているのを見て、「ハイアンドロー」という名前を
    知りました。(この映画名をご存知の方、教えて!)
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┗【キーワード】知ってるようで分からないビジネスワード勉強会[20]「ITIL」

今回はITILについてご紹介します。皆さんご存知でしょうか。少し前から、こ
のキーワードを耳にしていたのですが、最近になってやけに他のメルマガやWeb
ページで目にする機会が多くなってきたなと思っていました。システムの運用
に関することだとは知っていましたが、内容までは分かっていませんでした。
ITILとは?、その背景、ITILの内容をご紹介します。

●ITILとは?
ITILとは(Information Technology Infrastructure Library)の略で、いろいろ
なWebページでは「ITILとはシステム運用管理、ITサービス管理に関するベスト
プラクティスを集めた手引集」と紹介されています。アイティル、イティル、
アイティアイエルなどと読み、ITインフラストラクチャ・ライブラリと呼ばれ
ていたりします。現在、国際標準的なガイドラインとして、欧米企業を中心に
活用が進んでいます。

●その背景
その背景には、自社の情報システムの運用管理・サポートに多くの企業が注目
してきていることがあります。企業のIT部門の予算のうち、新規システム開発
に占める割合は3割前後で、残りの7割は運用管理やサポートに関する支出だと
いわれています。運用管理の充実で、保守(機能改善・拡充など)の生産性向
上や顧客満足度のアップ、もしくは品質を維持しながらのコストの削減が実現
できれば、経営に大きな影響を与えることは想像がつきます。ITILは、運用手
順、運用管理手法を与えてくれます。

●ITILの内容
ITILの内容とはどのようなものなのでしょうか。ITILは7つの分野で構成されて
いますが、「サービスサポート」と「サービスデリバリー」の2つの要素が中心
になっています。概要を以下に列挙します。

・「サービスサポート」(日々の運用手順)
  サービスデスク   → ユーザーとの窓口に関する事柄
  インシデント管理 → サービスを速やかに回復させる為の手順、管理方法
  問題管理         → 頻発する問題の根本原因をさぐる手順、管理方法
  構成管理         → IT環境の構成要素の把握
  変更管理         → IT環境に対する変更管理
  リリース管理     → ITサービスの優先順位、リリース計画

・「サービスデリバリー」(サービスの管理手法)
  サービスレベル管理   → IT部門が締結したサービス内容を管理
  ITサービス財務管理   → IT資産と財務を管理し費用対効果の管理
  ITサービス継続性管理 → ITサービスを継続する為の手段の整備
  キャパシティ管理     → 現在と将来に対しITのキャパシティを管理
  可用性管理           → 事業目標達成のためにIT能力を最適化する

ITILが普及している背景や、その内容から考えると中心的な要素では以下のよ
うな目的があるのではと思っています。

・サービスサポートでは
  運用手順を整備して、効率的・高品質な運用サービスを定着させること

・サービスデリバリーでは
  運用しているITサービスの費用対効果などを管理、将来へのITサービスを計
  画すること

企業のIT予算の多くが運用・サポートに使われている現在では、いかにして運
用・サポートの効率を向上させるか、さらには運用しやすいシステム開発がいか
に必要かを感じました。以前のメルマガ記事「運用が最上流」(下記URL参照)を
思い出しました。
http://www.objectclub.jp/ml-arch/magazine/98.html (hiroshi)
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┗【アンケート】気になるシステム業界 ホントのところ

今週は「ペアプロしたいですか?」のホントのところ。前号第68回の質問で、
ペアプロをしたことがないと回答くださった方が過半数を占めました。この結
果に驚いています。では質問です。経験ありの方も、経験なしの方も、ペアプ
ロしたいですか? 

  猛烈にしたいです。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=69&choice=0
  たまにはしたいです。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=69&choice=1
  経験してみたいです。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=69&choice=2
  ペアでもシングルでも構いません。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=69&choice=3
  絶対したくありません。。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=69&choice=4
  プログラムを実装していません。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=69&choice=5
  それは秘密です。
     http://www.ObjectClub.jp/special/kininaru/vote?vol=69&choice=6
  ちょっと語らせて!
     editors@ObjectClub.jp まで詳細を!!

アンケート結果はオブジェクト倶楽部サイト上にて公開します。お楽しみに。
なお、前号「ペアプロしてますか?」の結果は公開中。是非ご覧下さい。
⇒http://www.objectclub.jp/special/kininaru/vol68/PlonePopoll_results2
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┗編集後記
こんにちは、編集人です。8月に入り、夏真っ盛りですね。田舎にいると、都会
にはない日常に気が付きます。山や田畑の深い緑、セミの鳴き声、蚊取り線香
の匂い。こういった日本独特の四季を、いつの間にか感じることなく過ごして
きた気がします。日々の仕事に追われていたとしても、季節を感じるゆとりを
持ってすごしたいものですね。

さて、オブジェクト倶楽部カレンダー8月の電子データを公開します。7月のテー
マは「設計サイクルの図」です。ダウンロードは下記からどうぞ。 
http://www.ObjectClub.jp/special/#calendar

今週の強引な一言
*** 8月は暑いから酒が飲めるぞ(岡本圭司)***
8月も飲んじゃいますか?ビールのおいしい季節ですね。でもお酒に頼ってばか
りでは解決できないこともたくさんあります。時には正面からぶつかってみて
はいかがですか?
(さとみ)

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■ 編集代表:平鍋  健児
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