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Date:  Fri, 23 May 2003 14:22:37 +0900
From:  Takashi Yoshizawa <kurohime@....jp>
Subject:  [XP-jp:04377] Re: XP 伝導テクニック
To:  extremeprogramming-jp@....jp
Message-Id:  <44C320EB528A31kurohime@....jp>
In-Reply-To:  <EEC320D6161CDDf_kojima@....jp>
References:  <EEC320D6161CDDf_kojima@....jp>
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吉澤です。

小島@福井コンピュータ writes:
>>たとえ話になりますが、大手小売業の会社が通販サイトを構築することに
>>なったとします。さらに社長から「Amazonに負けないものを作れ」という
>>命令(?)がでたとします。そしてソフト屋さんに発注するわけですが、
>>見積もりを依頼して、
>>
>>A社「Xヶ月でXXXX円で出来ます」
>>B社「XPなので最終的な期間・コストは出せませんが、仕様変更できてしかも
>>品質も向上します。開発スピードも通常より早くなります」
>>
>>っていう2社があると、よほどB社のチームを信用していないかぎり
>>A社に頼むのではないでしょうか?
>
>それはそうでしょう.池田さんの仰るように,A社が「(不確かな仕様でも)
>期間・費用をFIXして、長期的成果物に対する責任を負」い「多少の仕様
>変更でさえ開発側が吸収してしまう」のであれば…
>
>例えば,もっとずっと単純化した以下のような比較の場合,
>
>A社 (ウォーターフォール方式): リスクは全て開発側が負うものとする
>B社 (XP 方式): リスクは開発側と顧客側の双方が負うものとする
>※ 他の条件は同等だとするか考慮しない

ユーザの目的はリスクを押し付けたいのではなくて、開発した製品で利
益を上げたいのだと思います。

たとえば、Xヶ月を12ヶ月とした場合、ウォーターフォール方式では最初
の3ヶ月程度で仕様を決定し、その後は仕様の変更をしにくくなると思い
ます。それに比べ、XPの場合は随時仕様の変更が可能です。
また、参入しようとしている市場は、12ヶ月のうちに必ず変化があるこ
とは容易に推測できると思います。

つまり、以下のようなことが言えると思います。

目  的 :開発したアプリケーションで利益を上げること。
必要状態 :開発したアプリケーションが市場に対応していること。
事実・実態:市場は変化しやすい。

[A社]
利点
・開発が完了するまでの費用のリスクは開発側が負う。
欠点
・仕様は最初の3ヶ月で確定してしまい、9ヶ月先の市場の変化を
 見越した仕様を作成しなければいけないため、9ヶ月先に市場が
 変化し、開発が完了したものが使い物にならないとしても、そ
 のリスクはユーザが負う。

[B社]
利点
・仕様は随時変更可能であり、随時、市場の変化に対応できるため、
 開発が完了したものが市場に対応していないということは少ない。
欠点
・開発が完了するまでの費用のリスクは双方が負う。

リスクの押し付け合いではなく、P/PCバランス(投資とそれに対する効果
のバランス)をとりやすいのはどちらかということを基準に考えればB社
のほうが良いということになると思います。

>A社が優位なのは誰が見ても明白です.誰だってA社に頼むでしょう.
>
>併し,これらの例は意図的にアンフェアです.A社だけが自社に不利な
>条件を飲んでいます.

アンフェアということですが、上記のような理由から、ユーザの目的に
対するリスク(P/PCバランスによるリスクか、開発完了のリスクか)をど
のようにカバーしているかということを基準に考えれば、アンフェアで
はなくなるかもしれないと思いました。

-- 
吉澤 尚志 (Takashi Yoshizawa)
http://kurohime.pos.to/