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Date:  Wed, 5 Mar 2003 20:46:58 +0900
From:  HAMAI Kyoichi <k-hamai@....com>
Subject:  [XP-jp:04170] Re: 記事紹介 	 : ピーター・コードが語る開発プロセスの選び方
To:  extremeprogramming-jp@....jp
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In-Reply-To:  <20030303224001.E4CE.FIRO@....jp>
References:  <20030303224001.E4CE.FIRO@....jp>
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濱井です。
2003/03/03 23:32:09 +0900にHirohide Yazakiさんが送られた
メールに関する返信です。

>k-hamai> >しかし、アメリカは大艦巨砲から航空主兵へ1年ちょっとで戦略を大転換しました。
>k-hamai> >日本にはその国力がなく、指導すべき人たちにその能力が無かったというだけで
>k-hamai> >「変更してはいけない」ということにはなりません。
>k-hamai> 
>k-hamai> 国力の乏しい当時の日本が戦略を転換したところで、国力のさらなる低下を
>k-hamai> 招き、敗戦を早めた可能性すらあります。仮にそうならなくとも、国力に大差
>
>そうならなかった可能性すらあります^^;;
>#これは単なる想像でしょうか?突然「可能性すらあります」って言われても、、
>根拠なく可能性をいわれても、そんなのって議論にならないのでは、

可能性を考慮しないのは、もっと議論にならないでしょう。
矢崎さんや五味さんの戦略を変更するという考えは、戦略の変更により状況が
さらに悪化するという可能性を全く考慮にいれていないように思います。


>k-hamai> のある両者が同様の戦略を採れば、国力に勝る側が勝つのは当然です。
>
>「国力に大差がある場合に同様の戦略へ転換する話」なんて五味さんはおっしゃっ
>ていないと思いますよ。ちゃんと読めばそんな誤解は起きないと思いますが。。

他に選択できる戦略は無かったと思いますが?
大艦巨砲主義を続けるか、航空主兵に転換するか以外に当時の日本海軍に選択
の余地があったとは思えません。


>五味さんがおっしゃっているのは、アメリカが戦略転換できて、日本ができなかっ
>たのは、国力と指導者の能力の差によるもので、日本にできなかった=戦略が転
>換できないなどとと一般化はできんでしょう(濱井さんはそうしようとされてい
>るけれど)、ということではないでしょうか。
>
>k-hamai> >むしろ、「状況の変化」を機敏に察知して柔軟に戦略を変更していくことがよい結果にな
>k-hamai> >るという事例の方が多いと思います。
>k-hamai> 
>k-hamai> そういう事例はほとんど無いと思いますが……。
>k-hamai> アメリカが戦略を変更できたのは、日本も戦略を変更すべき状態だった
>
>だったら、そういう状況変化に対して、アメリカが戦略を変更した(それに対し
>て日本はできなかった)から勝てたといえるのでは?

それは、戦略が変更できたのは相手も戦略を失敗していた、つまり運が
良かったからだということになると思いますが。


>k-hamai> からで、もし仮に日本が戦争前に航空主兵へ戦略転換を終えアメリカが大艦
>k-hamai> 巨砲主義のままであったとしたら、アメリカが戦略を転換しても間に
>k-hamai> 合わなかった可能性が大です。
>
>間に合うかどうか、というのと、戦略を変更してよい結果がでる、というのはまっ
>たく別次元の話では?

?間に合わなければ、意味がないです。
ペーパー上の戦略を変更しただけで状況が良くなることはありません。


>k-hamai> 「状況の変化」を機敏に察知して柔軟に変更すべきなのは戦術であって、戦略
>k-hamai> はむしろ、自分たちにとって都合のいい「状況」に変化させることに本領が
>k-hamai> あります。「状況の変化」を作り出すことこそ戦略です。
>
>戦略が、自分達にとって都合のいい「状況」を作り出す場合があることは認めま
>すが、それすなわち「状況の変化」に応じて戦略を変化させてはいけない根拠に
>はならないのでは?戦略がAである、というとき、A以外の全てを排除すること
>にはならないと思うのですが、、

戦略は、当面変化しないと考えて良いものに基づいて立てるべきもので、すぐ
変化するものに基づくべきものではありません。

戦略は戦術等の基礎となるものなので、戦略の変更は、戦術の柔軟さを
損ねます。戦略の変更と状況の変化の二つに対応しなければならないからです。
戦略が変わらなければ、状況の変化にだけ対応すればすみますから。

柔軟な動きにはしっかりした足場が必要です。足場がグラグラしていては
簡単な身動きすらままなりません。


>k-hamai> 戦術はともかく、戦略の正しさは事前にかなりの程度までわかります。
>k-hamai> 個々の戦闘においては運不運に多分に影響されますが、戦争全体に大きく影響
>k-hamai> することは滅多にありません。
>k-hamai> 
>k-hamai> 戦争の勝敗は戦争前にかなりの精度で予測できます。『孫子』にも以下の
>k-hamai> ように書かれています。
>k-hamai> 
>k-hamai>  それ未だ戦わざるに廟算して勝つ者は、算を得ること多ければなり。未だ
>k-hamai>  戦わざるに廟算して勝たざる者は、算を得ること少なければなり。算多き
>k-hamai>  は勝ち、算少なきは、敗る。いわんや算なきにおいてをや。吾れ此をもって
>k-hamai>  之れを観るに、勝負あらわる。
>
>ビジネスや、ソフトウエア開発にも同様にいえるのでしょうか?もちろん事前に
>きちっと情報収集しそれを分析すれば、かつその時と状況が変わらなければ、も
>し戦略が正しければそれを変える必要もないし、勝つ可能性は高いでしょうが、
>問題は状況変化がおき、その戦略が正しくなくなったときですね。戦争の勝敗が
>かなりの精度で予測できるのは、状況が安定しているときであって、状況がもの
>すごいスピードで変化しているようなときには、かなりの精度で予測するのは難
>しいのでは?

勝敗が予測できなければ、戦略は立てられませんけど。
勝敗を予測して、それに対して戦略がどう影響するかを考察して戦略を決定
するわけです。勝敗を充分に正確に予測できるくらいでなければ、正しい戦略
は立てられません。