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Date:  Thu, 27 Feb 2003 16:32:56 +0900
From:  石橋 和洋 <ishibashi.kazuhiro@....jp>
Subject:  [XP-jp:04125] Re: 記事紹介  :	ピーター・コードが語る開発プロセスの選び方
To:  extremeprogramming-jp@....jp
Message-Id:  <217459487020030227163104ishibashi.kazuhiro@....jp>
In-Reply-To:  <20030225223841.F20E.FIRO@....jp>
References:  <20030219001824.88CB.FIRO@....jp> <20030221172700.D8B2.ISHIBASHI.KAZUHIRO@....jp> <20030225223841.F20E.FIRO@....jp>
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いしばしです。


> 私は将棋のプロではないので、上記が正しいかどうかわかりません。
> 
> ・一旦決めたら対戦中に変更するのはまず不可能・・・本当ですか?
> ・(最初にたてた)戦略の失敗は、敗北を意味する・・・本当ですか?
> ・事前に決定され、全ての手の枠組みになる・・・本当ですか?
> 
> 石橋さんが将棋のプロならば私はそれをとりあえずは信じることとします。そう
> でなければ疑問は残ります。

まず、私はプロでもないし、それに準ずるものでもありません。

ただし、戦略・戦術の正しさとは経験の中で検証されていくものであり、
普遍なものではありません。
程度の差はあれ、「正しい」事を証明するのはたとえプロでも不可能です。

従って、おっしゃるような疑問に意味があるかという点において疑問に思います。

> ・石橋さんの考えでいけば、将棋の勝ち負けは最初の戦略で全てが決まる。とい
> うことで、将棋を指すということは最初から決まっている勝ち負けを種明かしす
> るにすぎない、ということになる、という意味で疑問が残ります。将棋って最初
> の戦略をたてるときの運あるいは博打にすぎず、つまりはそんなにつまんないも
> のなのでしょうか。もっとダイナミックに相手の指してをみながら柔軟に対応し
> ていくものではないでしょうか(将棋の素人としてそのように思っているだけで
> すが)。

な、なぜ???私もそのように主張しているつもりなのですが...

ちなみに、戦略が相手に知られてしまっているのはやはり不利です。たとえば矢倉
が得意であったとしても、常に矢倉ばかりでは相手に「次もどうせ矢倉だろう」と
思われてしまって不利になるでしょうね。
これで勝敗が決するわけではないですが、できれば作戦は秘密にしておくモノでは
ないでしょうか。

(一局の将棋を序盤・中盤・終盤という3つのサブコンテキストに分けた場合、私
があげた作戦はあくまでも序盤を支配する枠組みと言えるかもしれません。従って
、それが全体を決定するわけではないと主張されるならその通りかもしれませんが
、すくなくとも序盤を決定します。)

> 
> 仮に将棋の例が正しいとして、それは、全ての場合(どのような戦争、どのよう
> なビジネス、どのようなソフトウエア開発)に当てはまるのでしょうか?

全ての場合に当てはまります。

> ishibashi.kazuhiro> 
> ishibashi.kazuhiro> ・あるコンテキストにおいて、戦略は不変です
> ishibashi.kazuhiro> ・コンテキストが変われば戦略は変わります
> 
> コンテキストというのはどういう意味でおっしゃっていますか?
> コンテキスト=状況という意味ならば、
> 濱井さんはコンテキストが変わって変わるのは戦術で、戦略は変わらないと
> [XP-jp:04023]で主張されています。
> 

すみません。濱井さんの主張を読んでみても、そうは思えません。
本当に、濱井さんはある戦略を立てたら、それを未来永劫変えられないなどと言う
ことを主張されているのでしょうか?

・プロジェクト中においては変えられない

以上のことを読みとれないのですが。

> ishibashi.kazuhiro> 
> ishibashi.kazuhiro> コンテキストというものを理解されていない気がするのですが....
> 

すみません、この部分の発言は軽率でした。
言い訳させていただくと、濱井さんの「変えられない」という主張に対して、「未
来永劫?」と返されるログを見ていて、「そんなはずはないだろう?」と思ったた
めにこのような発言になりました。

> ishibashi.kazuhiro> 例えばあるプロジェクトにおける戦略は、「そのプロジェクト中においては」変
> ishibashi.kazuhiro> 更できないとおっしゃっていると読めますが。
> 
> プロジェクト中に戦略を変えてはいけないのでしょうか?

濱井さんの主張は、変えてはいけないのではなく、変えられないという事だと思い
ます。

なお、私は戦略も戦術も適応プロセスであって、不変ではないとは思います。ただ
し
戦略の場合は大きな変更はありえない(修正程度)だと思っています。

戦略のレベルによるでしょうが。
全体を支配する戦略と、部分を支配する(サブコンテキストの)戦略があります。
全体を支配する戦略は変えられず、サブコンテキストの戦略は、サブコンテキスト
においては普遍ですが、コンテキストの視点から見ればサブコンテキストが終了す
れば終わりです。

サブコンテキストの戦略も「戦略」と言ってしまうから混乱するのかも。
序盤の戦略などと言えばおそらく混乱しないですね。

> ishibashi.kazuhiro> もしくは、あるプロジェクトのあるフェーズにおける戦略
> は、「そのフェーズに
> ishibashi.kazuhiro> おいては」変更できないとおっしゃっていると読めますが。
> 
> フェーズ中に変えてはいけないのでしょうか?
> 
> ishibashi.kazuhiro> 戦略も戦術も、所詮解析解ではないのだから、普遍的でないのは当然。
> 
> この点まったく同意します。また、私が最初から言っているのと同じだと思いま
> す。また戦略については濱井さんの意見とは正反対だと思います。

おそらくこの点は全ての方に同意していただけるかと(^^;;
補足しますと、戦略も戦術も適応プロセスなのですが、

・全体のパターンを最適化する全体適応
・個々のノードの選択を最適化する部分適応

の違いであろうと思っています。
そういう意味で確かに戦略は可変なのですが、問題はゼロ知識ではない場合です。
将棋などでは、競技者はゼロ知識ではなく、はじめにある程度の知識があります。
そして、全体を最適化する事を、パターンの選択として行います。

(ゼロ知識のばあいは、はじめのランダムなせめぎ合いがやがて、秩序だった戦闘
に発展するという、戦略のダイナミックな変化があるのでしょうが...)

従って、ゼロ知識でない場合は戦略は全体に準固定となる気がします。
(選択だから)

> ishibashi.kazuhiro> 解けているのなら変える必要はない(絶対に目的を達成で
> きるのだから)。
> 
> この点は同意しません。状況は偶然に変わることがあると考えます。つまり状況
> が変わらなければ正しい解を得ることは可能かもしれませんが、その解は状況が
> 変われば適合しなくなることがあると思います。
> 
それは...解とは呼ばないのでは...でもまあおっしゃる通りです。
ある意味、「解が変わる」という事ですね。

> ishibashi.kazuhiro> 
> ishibashi.kazuhiro> 例えば「戦闘」レベルの戦略を、成毎に修正し改善しようという意志は「戦争」
> ishibashi.kazuhiro> レベルの戦略。
> ishibashi.kazuhiro> 「戦闘」レベルの戦略は成中に変えられないという主張と、「戦争」の中で個
> ishibashi.kazuhiro> 々の「戦闘」における戦略を変えていくべきという主張は対立しますでしょうか?
> ishibashi.kazuhiro> 
> ishibashi.kazuhiro> (私にはこのような主張をし合っているように聞こえます。
> 
> 僕はそうじゃないと思います。
> 
了解しました。(TT)
そうすると、どういった対立だったんでしょうか...