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Date:  Thu, 20 Feb 2003 20:12:40 +0900
From:  HAMAI Kyoichi <k-hamai@....com>
Subject:  [XP-jp:04090] Re: 記事紹介 	 : ピーター・コードが語る開発プロセスの選び方
To:  extremeprogramming-jp@....jp
Message-Id:  <iss.50bd.3e54b828.1d996.1@....com>
In-Reply-To:  <20030219001824.88CB.FIRO@....jp>
References:  <20030219001824.88CB.FIRO@....jp>
X-Mail-Count: 04090

濱井です。
2003/02/19 00:52:15 +0900にHirohide Yazakiさんが送られた
メールに関する返信です。

>firo> で、教えていただきたいのですが、元の濱井さんのご意見での「いつでも」とい
>firo> う部分は「成中」という文脈とどのように関係するのでしょうか。私には、正
>firo> 直どのようにしてそれらがつながるかが理解できません。また、理解できないと、
>firo> 濱井さんの「戦略は変わらない」という意見に対する私の「戦略は変わる」とい
>firo> う反論は、結局ズレている、ということにしかならないので、意味がないことに
>firo> なります。申し訳ありませんが、教えていただければ助かります。
>
>が、私の質問したいことです。よろしくお願いします。

「基本戦略はいつでも同じ」というのは、基本戦略はほぼ永久不変だという
ことです。「成中」というのは、戦略はある程度変化するが急速には変化
しない、特に「成中」は変化できないということです。


>k-hamai> >さて、次の話ですが、
>k-hamai> >k-hamai> >k-hamai> 例えば、XPにおいて「変化ヲ抱擁セヨ」という言葉どおりあらゆる変化を
>k-hamai> >k-hamai> >k-hamai> 受け入れるというわけではありません。XPにおいて想定している「変化」は、
>k-hamai> >k-hamai> >k-hamai> 仕様の変化や納期の延長、短縮のような変化であり、開発メンバが大幅に
>k-hamai> >k-hamai> >k-hamai> 入れ替わるような「変化」に対してはXPは不向きです。このような変化に
>k-hamai> >k-hamai> >k-hamai> 対しては、むしろ、従来の重量級プロセスの方が適切です。
>k-hamai> >k-hamai> >
>k-hamai> >k-hamai> >開発メンバが大幅に入れ替わるというような話は出ていないと思いますが、どう
>k-hamai> >k-hamai> >でしょう。
>k-hamai> >k-hamai> 
>k-hamai> >k-hamai> 「例えば」という言葉の通り、戦略を変化させるべきでない一例として挙げた
>k-hamai> >k-hamai> だけです。
>k-hamai> >
>k-hamai> >開発メンバを大幅に入れ替える、というのは戦略の例の1つである、ということ
>k-hamai> >ですね。
>k-hamai> 
>k-hamai> 戦略ではなく、トラブルなんですが、特にXPにとっては。
>k-hamai> 開発メンバが大幅に入れ替わるようなトラブルに対しては、XPより従来型の
>k-hamai> 重量級プロセスの方が対応し易いということです。
>
>よくわかりません。戦略を変化させるべきでない一例なのに、それは戦略ではな
>くトラブルだとおっしゃっている意味がです。私の解釈、おかしいでしょうか?

私が「入れ替える」ではなく「入れ替わる」と書いていることに注意して
欲しいのですが。
プロジェクト管理者が主体的にメンバを入れ替えるケースを言っているのでは
なく、人事異動や退職によりやむを得ず、メンバが入れ替わるケースについて
言っているつもりです。
XPにおいては、メンバを(短期間で)大幅には入れ替えないというのが戦略で、
それが守れないようであれば、むしろ、従来の重量級プロセスの方が適切
であるということです。


>k-hamai> >私は、失敗しない戦略を立案することと、戦略的失敗があった場合に、どのよう
>k-hamai> >に対処すべきかは、別問題であり、どちらも重要だと思います。また、その対処
>k-hamai> >の中には戦略を変える、という選択肢が絶対有りえないとは思いません。これに
>k-hamai> >ついて、そうだ(私の意見)、そうじゃない(濱井さんのご意見)、という場合、
>k-hamai> >どちらかが根拠をきちんと示して相手を納得させない限り、結局は意見の相違と
>k-hamai> >して平行線で終わってしまいますね。それが悪いわけではありませんが。。
>k-hamai> 
>k-hamai> 「戦略を変える」という選択肢を全面的に否定しているつもりはないです。
>k-hamai> ただ、それは戦略的失敗の善後策に過ぎないということです。
>
>善後策=後始末をうまくするための方策という意味でよろしいですね。
>最初の戦略が失敗したら、その後始末を上手くするための別の戦略を立てること
>のみは、ありえる、それ以外、例えばもっと前ムキな戦略への変更は不可能、あ
>るいはやっちゃいけない、というご主張ですね。
>
>つまり、濱井さんのご主張は、最初の戦略が全てで、それが間違っていたら後は
>後始末をうまくするしか道はない、ということですね。

「全て」と言うと少し意味合いが違うように思います。
「戦略が最も重要で、それが間違っていたら後は後始末をうまくするしか道は
ない」というところでしょうか。


>k-hamai> 戦略を変えたりせずにすむようにすることが第一であり、戦略を変えることを
>k-hamai> 前提にしてはならないということです。
>
>変える必要がなければ一番いいかもしれませんが、では変えざるを得ない状況に
>なったらどうするのでしょうか。あるいは、そんな状況になることはない、とい
>うことでしょうか。そんな状況にならないように、片方で神仏に祈るべし、とい
>うことでしょうか(これは冗談)?

変えざるを得ない状況になって変えられるのであれば、戦略は特に重要では
ないということになります。変えざるを得ない状況になったら、ほとんど、
あるいは全くどうしようもなく、せいぜい、失敗を最小化するための後始末を
するしかないから、戦略は重要であるということです。


>濱井さんの、先の2行は、私には、適切に行えさすれば人間の予測は常に正しく
>なされるということと、状況が絶対に変化しないということを前提にしなければ
>成り立たないのではないように思います。濱井さんは、そう考えていますか?

いいえ。「人間の予測は常に正しい」とか「状況が絶対に変化しない」とか
言っているつもりは全くありません。
戦略の失敗は取り返しがつかないのだから、細心の注意を払い、最善を尽くす
べきであると言っているだけです。


>・ゆえに現在その知恵を人間が持っているかどうかはさておき、また、変化が避
>けることができないとすれば、戦略も変化に柔軟に対応すべし。だから変えるこ
>とを前提にしない戦略よりは、変えることを前提とした戦略のほうが(戦略をそ
>のようにできるよう研究するほうが)正しい、と思います。

失敗したら回復するだけの時間的余裕が無いようなことについて決定するのが
戦略ですから、変更できるとしたらそれは戦略ではないでしょう。
戦略レベルで対処していたことを戦術レベルで対処できるようにしようとする
ことは、方向としては正しいと思いますが。XPもこれに近いと思いますし。


>k-hamai> 戦略的失敗を回復をするだけの時間的余裕はないということです。時間的余裕
>
>なぜ、時間的余裕がないのでしょうか?

話が逆で、失敗したら回復するだけの時間的余裕が無いようなことについて
決定するのが戦略だからです。

>k-hamai> があるのなら、そもそも、戦略、戦術の区別など必要ないはずです。YAGNI
>
>戦略と戦術は時間的余裕のありなし、による分類だというわけですね。しかし、
>意味がわからないので、教えてください。
>
>k-hamai> 事前の充分な準備がないと役立たない場合があるから、戦略というものが必要
>k-hamai> になるわけです。
>これもわかりません。事前に十分な準備をする時間がないと戦略は必要ない、と
>いう意味でしょうか?

事前の充分な準備がないとできないようなことがあります。そういうことを
するために戦略が必要ということです。
例えば、戦争における補給がそうです。補給するためには、物資がそこに
なければなりません。物資をそこに用意するために物資を運んでこなければ
なりません。運ぶ物資を用意しておかなければなりません。運ぶための手段を
確保しておかなければなりません。運ぶための燃料なども必要になります。
仮に10万人の軍隊が一ヶ月活動するとすると、食料だけでも千トン程度は必要
になります。簡単に用意できるものではありません。