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Date:  Tue, 16 Apr 2002 01:36:14 +1200
From:  Masaaki Murakami <mmura@....jp>
Subject:  [XP-jp:03351] Re: ソフトウェア職人気質
To:  extremeprogramming-jp@....jp
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In-Reply-To:  <20020415160831.37B6.ANC04864@....COM>
References:  <20020415160831.37B6.ANC04864@....COM>
X-Mail-Count: 03351

村上です。

On Mon, 15 Apr 2002 16:43:50 +0900
ごうぎさんのメールより:
>僕は、仕事が人を作るというか、与えられた役割によって人が作られる所も
>あると思っています。ただ、管理者というのでは、人が作られ難いと思って
>います。下の人たちとの同じ仕事をするなで関われる部分が少ないので。
>なので、現場の仕事もしながら管理というか和を作ったり指導をするような
>役割であるので親方や棟梁は、しっくりくるです。

仕事が人を作るという点は同意します。
ただ,「現場の仕事もしながら」という点にちょっとした引っかかりを
感じたのですが,現場の仕事をする以上,それは「管理者」とは言えな
いのではないでしょうか?
(それとも現場に近いところで管理を行う,という意味合いなのでしょ
 うか?)

本当に現場の仕事を行うのであれば,ごうぎさんの要求されている人材
というのは,実際のところ「管理者」ではなく「開発者」,すなわち熟
練職人なのではないかと思えるのです。 (それであれば親方,棟梁と
いう表現はうなずけます。)

私は,現状の体制において管理者が行っている管理作業を大きく分類す
ると以下の3種類になるのではないかと考えています。

1.ボスとしての役割
  (現場担当者に対する指示系統のトップとなる。)
2.インタフェースとしての役割
  (チーム内外の人間関係を調整したり他システムとのインタフェー
   スを調整する。)
3.庶務としての役割
  (チームメンバの労務管理等)

McBreen 氏の考えを推察すると,管理者は「2」の役割が主であるべき
で「1」の役割については熟練職人に譲るべきであると主張しているよ
うに思えます。
実際,管理者がボス然として開発の意志決定に介入すると,熟練職人に
とっては迷惑であるだけでなく,自らに課せられた責任を全うできなく
なります。
それに「2」の役割を担うというのは,実はものすごいスキルが必要と
なるはずです。 (「人間関係」の扱いというものは,枯れたテクノロ
ジではあるものの,ものすごく大変なことですよね?)
こういったスキルを磨く以上,その管理者がいくら開発者上がりであっ
たとしても,彼の技術知識やノウハウは開発者を辞めた時点で凍って,
「時代遅れ」のものになっているはずです。
つまり餅は餅屋,開発に関する技術上の意志決定は熟練職人に任せる
(つまり「1」の役割を放棄する)のが一番でしょう。
ということで,技術知識やノウハウを知っていることで「物分かりの良
い管理者」にはなれますが,それは必須では無いと思います。

なお,ごうぎさんの言われる「知識さえつけば誰でもきる管理の仕事」
は「3」にあたるんでしょうね。
管理者の仕事がそれだけなのであれば「親方」の下に従属させても良い
と思いますが,「2」の仕事が主であることを考えた場合,McBreen 氏
の主張するように「管理者は職人と対等の立場である」とするのが,し
っくりきそうに思っています。

ところで,星野監督をプレーの参加者(開発者)と見るか,傍観者(管
理者)と見るかについては様々な意見があると思いますが,,,
プロ野球監督は先発投手,打順の決定権を持っていたり,代打,代走等,
試合の流れを左右する戦略への直接介入権限を持っている点から言って
プレーの参加者であると捉えて良いのではないでしょうか。
(実際,乱闘時には蹴りも入れていますし。^o^;)
そういった意味で,彼はプレーヤであり,親方であると思っています。

それでは。

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Masaaki Murakami  mmura@....jp