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Date:  Thu, 18 May 2000 09:32:27 +0900
From:  佃 軍治 	<tsukuda@....jp>
Subject:  [XP-jp:00349] XP Chapter 24 What Makes XP Hard
To:  extremeprogramming-jp@....jp (extremeprogramming-jp ML)
Message-Id:  <39233A5A.D933BCF6@....jp>
Posted:  Thu, 18 May 2000 09:33:30 +0900
X-Mail-Count: 00349


佃です。

24章の抄訳を送付します。
意訳している箇所がかなりあります。
間違いの指摘、コメントなど、お願いします。


Chapter 24   What Makes XP Hard

<私の思い込みによるまとめ>
  XPの適用を困難にしている要因を感情とプロセスの2つの側面
から説明している。
・ 感情
人に聞けない(技術者として誇りが高い、知らないことがあること
は恥)、人と協調しない(自分の技術力をアピールしたい)、難し
いことをやりたい(これも自分の技術力をアピール)

・プロセス
  軌道修正の方法(driving project)が企業文化に受け入れない。

  つまり、XPを成功させるためには、これらの問題に対処しなけ
ればならない。
  感情面では、「みんなと協調し、協力すれば、生産性が高くなる
こと、プロジェクトが成功すれば個人の評価も上がること、個人の
技術力をいくらアピールしてもプロジェクトが失敗すればその個人
の技術は生かされてなく個人は評価されないこと、を十分に理解し
てもらう。」ということが重要になるでしょう。
  プロセス面では、軌道修正プロセスをいかに上に理解してもらう
かが重要でしょう。
  感情面においては、アメリカよりも日本の方が障壁は少ないので
はないだろうか?日本ではアメリカほど個人が自分の技術力をアピ
ールせず、組織として成果を上げようとするので。

<タイトル直下の要約部分の全訳>
  個々のプラクティスはブルーカラーのプログラマでも実行できる
が、すべてを一緒に利用し、その状態を保つことは困難である。X
Pを困難にしているものは、主に感情、特に不安である。

<本文の抄訳>
  XPのプラクティスは簡単である。XPプロジェクトで貢献する
ために博士号を取得する必要はない。しかしそれを一緒にバランス
よく用いることは困難である。プラクティスはお互いにサポートし
ている(p70の図4に関連図あり)が 、バランスを失わせる多
くの要因(問題、不安、イベント、間違い)がある。 
  必要以上に恐れないで欲しい。XPを実践した多くのグループが
ある。
  XPを困難にする多くの要因は以下のようなものである。
  単純なことにすることは困難である。しかし、あなたがより単純
になることを考え付かなくなるまで、複雑さに満足してはならな
い。
  知らないことを認めるのは困難である。しかし、開発を迅速に進
めるためには、顧客やパートナーに要件や技術を良く聞く必要があ
る。
  協調することは困難である。学校教育や会社では個人で考えるこ
とを奨励している。しかしXPではお互いにインタラクトし、新し
いスキルを学ばなければならない。
  感情的な壁を取り除くことは困難である。XPのスムーズな運用
は、感情のスムーズな表現に依存する。

 XPは多くのバリエーションを許容できるが、小さな変更が大きな
問題になる場合もある。例えば、1.タスクの割り当て 2.担当
者によるタスクの評価 3.誰かの負荷が高ければ再調整 というプ
ロセスを、1.タスクの評価 2.タスクの割り当て に変更した場
合、各担当者はイテレーション開発の度に、どうやって期間内に開
発すればよいのかを最初の1,2日考えなければならない。これは
プログラマにとって最も生産性の高い状態ではない。
  これは、XPを我々が言うように正確に用いるべきである、と述
べているのではない。あなたたち独自のプロセスについては、あな
たが責任を受け入れるべきである。しかしこれがXPを困難にして
いる。
  一度にちょっとだけハンドルを操作(軌道修正)する「driving
project」は、多くの組織で一般に行われている「car-pointing」
(最初に決めた通りに実施)の比喩に反する。XPを困難にする最
後の要因は、多くの企業文化がハンドル操作(軌道修正)を受け入
れないことである。会社があなたに、あなた自身が選択したプロセ
スに反するようなことを求めたとき、あなたには勇気が必要になる
でしょう。

-- 
  佃 軍治  tsukuda@....jp
  日立製作所システム開発研究所第2部