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Date:  Mon, 24 Apr 2000 15:52:04 +0900
From:  Hada Akihiro <Akihiro.Hada@....jp>
Subject:  [XP-jp:00253] Re: Chapter 3 Economics of Software Development  の解説 V1.1
To:  extremeprogramming-jp@....jp (extremeprogramming-jp ML)
Message-Id:  <4.2.0.58.J.20000424150848.00b47580@....jp>
In-Reply-To:  <B50CE5B6.B8A%khosokawa@....com>
Posted:  Mon, 24 Apr 2000 15:50:45 +0900
X-Mail-Count: 00253

はだです。

ホソカワさん、とても遅い返答ですいません。なかなか時間が取れないもので。

$7.87 の簡便計算方法はこのようなものではないか、という案ができました。
改修の cost =$10
改修の return = $15
で、return は、下記の記述から、$0-$30 間で変動するようです。
"its value to the customer could vary as much as 100% from your estimate."

そこで、今改修しないで、1年後に改修するかどうか決定するする(待ちのオプショ
ンを取る)
と、どうなるか、というのが問題です。

オプションでは、この変動が正規分布に従うとするので、3σ=$15 と置きます。
# σは標準偏差。3σ内の範囲に、ほぼ100%(99.87%)のデータが入ります。
# 最大の変動が $15 なので、3σ=$15 とおいていいでしょう。

return が $0-$15 の間は、改修しても利益がないので、改修しないとします。
# $10-$15 の間が微妙ですが、簡単のため、改修しないことにします。

1σ内 84% ,2σ内 97%, 3σ内 に100% のデータが収まります。
# つまり、return が $15,$20,$25になる確率が、84%,13%,3%ということ。

そこで、それぞれの間の面積を、台形として計算します。
例えば、1σのところは、$15-$20(儲けは$5-$10) ですので、
(0.84*5+0.84*10)/ 2 = 6.3
とします。すると、他の部分も入れると、
((0.84*5+0.13*10+0.03*15)+(0.84*10+0.13*15+0.03*20))/2
=8.18
となります。
# このような計算は、excel でもっと簡単にできるのでしたっけ?
これは将来価値なので、金利 0.05 で、割り戻すと、現在価値は、7.8 になります。

先程は、台形で計算しましたところを、ちゃんと計算して、割り戻すと、おそらく
7.87 になるのでしょう。

実際は、改修コストは緩やかにせよ増えているのですが、ここでは無視します。

数学に強い方の検討をお願いします。

ポイントは、価値が下がった場合改修しなくてよいし、今より価値が上がることもあ
る。
ということです。
そして、改修のコストは緩やかにしか増えない。
# これが、最後の2段落の内容です。

単純な割り戻しとオプションに比較は、xp の特徴をよくあらわしていると、
思います。
単純な割り戻しは、
現在において、将来のリスクを勘案し、一度に意思決定するのに
対し、
オプションでは、段階的に意思決定をする、ということです。
そのことにより、単純な割り戻しより、現在価値が高くなります。

xp でいう”明日のことは、明日決定せよ”というのは、このことだと考えます。

At 午後 06:38 00/04/02 +0900, Kaoru Hosokawa wrote:
>ホソカワです。
>
>上手さん、はださん、コメントありがとうございました。optionsの意味がわかって
>この章が理解しやすくなりました。勉強になりました。解説は、「選択」を「オプショ
>ン」に変更したり、$7.87のところは、(計算が大変ということで)「options
>theory calculatorを使用して」を付けたりしました。
>
>----